日本を代表するビーチのひとつである「湘南海岸」周辺には、鎌倉や江の島など、古くから人気の観光地があります。
コンパクトな地域なので、これらは自転車利用で巡ることも可能です。
今回は、鎌倉の古寺を巡りながら、湘南海岸を走り、江の島まで行くサイクリングの様子を紹介します。
湘南のミニサイクリング
海辺のサイクリングというのは「夏」が似合うと思いますが、湘南周辺は大変な人気スポットなので、のんびり走るなら、人の少ない冬の時期がよいと思います。
湘南海岸は相模湾に沿ってずっと砂浜が続いており、本格的に走るならかなり距離を延ばせるのですが、砂浜の海岸沿いは単調で面白味には欠けるので、走り以外に周辺の観光も合わせるのがおすすめです。
江戸時代から「江の島」へ参詣する人々は、「鎌倉」や「大山」の寺社参拝とセットで訪れることが多かったそうです。
今回は、湘南海岸のサイクリングの前後に「鎌倉」と「江の島」の観光をプラスして計画してみました。
走る距離は短いですが、鎌倉と江の島の間を走って海辺の雰囲気を満喫し、その前後でそれぞれ神社仏閣を訪ねる海と歴史のサイクリングです。
今回のサイクリングも、走ることが目的と言うよりは、観光のための足として自転車を利用し、あわせて海岸も走るといった感じです。
北鎌倉の古刹を巡る
鎌倉は鶴岡八幡宮をはじめとして、古い神社や寺院が集まる街なので、見所はたくさんあります。
これらを巡るだけでも十分に1日コースになってしまうので、今回は3箇所に絞ります。①円覚寺 ②建長寺 ③高徳院(鎌倉大仏)の3つの寺院です。
なお、自転車で巡る場合は、「駐輪場」がない寺社もあるので注意が必要です。今回利用した駐輪場についても記事内で紹介しています。
円覚寺
日差しが暖かくなった10時頃、JR大船駅に近い駐車場に車を駐め、自転車を組み立て、まずは「北鎌倉駅」を目指して走り出します。
JRの線路を東側へ渡ると、踏切の目の前に「円覚寺」への入口があります。
円覚寺には自転車用の「駐輪場」はないので、すぐ近くにある「北鎌倉サイクルパーク」を利用しました。
県道21号線沿いにあるこちらでは、自転車なら1日150円で駐輪できます。
円覚寺は「鎌倉五山」のひとつで、鎌倉幕府第8代執権北条時宗によって1282年に創建された臨済宗の寺院です。(拝観料500円)
総門を入り境内を登って行くと、円覚寺の紹介では必ず登場する「山門」が見えてきます。
山門は江戸時代に再建されたものですが、屋根の反った壮麗な姿は、武士の時代を象徴しているかのような力強い印象です。
境内は奥に長く広がっていて様々な堂塔がありますが、国宝に指定されているものもあります。
ゆっくり見ていると時間が足りなくなるので、境内を一回りして再び走り出します。
途中で、あじさい寺として有名な「明月院」にも立ち寄ってみました。谷間の奥まった場所に佇む明月院は、門の前の道沿いに「駐輪場」が用意されていました。
建長寺
続いて「建長寺」へ向かいます。
こちらは「鎌倉五山」の第一とされている古刹で、1255年に創建された我が国最初の「禅寺」です。(拝観料500円)
建長寺は天下門の外に、駐輪用のスペースがありました。
こちらの「三門」も有名で、江戸時代の再建ですが国重要文化財です。
こちらの「法堂」には、天井絵の他にも千手観音菩薩像や釈迦苦行像なども安置されているのですが、写真の撮影は自由でした。
円覚寺もそうでしたが、国宝や国重要文化財が多数ある寺院ですが「撮影」を制限していないのがありがたく、開かれている感じがしました。
高徳院(鎌倉大仏)
鶴岡八幡宮に沿って、県道を下っていきます。
鶴岡八幡宮周辺にはかなりの人出があり、賑わっていました。
周辺には「駐輪場」はなく、遠くから社殿を眺めるだけであとにしました。
鶴岡八幡宮周辺で駐輪したい場合には、三ノ鳥居前にある「鎌倉有料駐車場」に、2時間200円で駐めることができます。
「若宮大路」を離れて踏切を渡り、市役所通りを西へ向かって進みます。
観光地から離れると、周辺は静かな街並みです。長谷方面へ下っていきます。
県道32号に合流すると、すぐ北に「高徳院」があります。
高徳院には、入口の脇に駐輪場が設置されていました。
仁王門を入っていくと、広い境内の向こうに「鎌倉大仏」が見えてきます。(拝観料300円)
何回か訪れていますが、鎌倉に来るとやはり訪ねてしまうスポットです。青空に大仏様の端正な佇まいが映えます。外国人の参拝者も多かったです。
ゆっくり巡っていた訳ではありませんが、すでに昼時を大きく過ぎた時間になっていました。由比ヶ浜へ向けて坂道を下っていきます。
由比ヶ浜から江の島へ
冬の由比ヶ浜
江ノ電を横切り、「由比ヶ浜」の海辺にやってきました。
浜辺ではウインドサーファーたちが準備をしており、沖にはたくさんの帆が行き交っていました。
国道143号に沿ってきれいに整備された歩道が海沿いに続いています。さらに西へ進むと「稲村ヶ崎」が近づいてきます。
切り通しを抜けた所には海浜公園があり、江の島に続く景色が広がっていました。
稲村ヶ崎
古くは新田義貞の鎌倉攻めに登場する「稲村ヶ崎」は、今も桑田佳祐の作品に登場するなどして、多くの人に知られた場所です。
いくつかの碑が立つ公園からは、江の島や富士山方面の展望が広がります。
この日は残念ながら富士山は見えませんでしたが、たくさんの観光客が訪れていました。
七里ヶ浜
七里ヶ浜の海岸線に沿って、江の島へ向けて走って行きます。
やがて「江ノ島電鉄」が並行して走るようになります。
江ノ電「七里ヶ浜駅」の近くにはコンビニがあり、この海岸線でほぼ唯一の補給スポットです。この日もたくさんの観光客で賑わっていました。
こちらの駐車場は20分まで無料、駐車場のみの利用は10分500円とのことです。
浜辺では、たくさんの人が江の島の景色を楽しんでいました。
江ノ電鎌倉高校前駅踏切
江ノ電や海辺の景色を満喫しながら走って行くと、ひときわ人集りのできた踏切がありました。
おそらく日本で一番有名な踏切であろうと思われる「鎌倉高校前駅」の踏切です。少し坂を上がって見てみました。
あのアニメのオープニングのモデルになった風景が広がっていました。
訪れているのは、ほぼ外国からの観光客と思われる若い人たちです。警備員の方もいて、車道に出ないように注意していました。
江の島
歩道づたいに江の島へ渡ろうとすると、左側の歩道は橋の手前で途切れてしまうので、少し戻って橋の右側へ渡りました。
目的地「江の島」に到着しました。日暮れまでにはまだしばらく時間があるので、「江の島」を巡っていきます。
自転車は、江の島に入って左側へ進み、駐車場の手前にある「北緑地駐輪スペース」に駐めることができます。
江の島の参詣は途中にアップダウンがあるので、走り足りないのを補うのにちょうどよい感じです。
江の島の南端にある「岩屋」まで行き、急ぎ足で一廻りしてきました。
江の島から戻ると時刻はすでに5時。帰りは江ノ島駅近くの駐輪場に自転車を駐め、「湘南モノレール」で大船に戻り、車で自転車を回収しに行きました。
サイクリングとしてはお手軽なコースですが、見所はたくさんあるのでどのようにでもアレンジできると思います。
冬の鎌倉、湘南は思っていた以上に観光客も多く、それなりに行楽気分で楽しめました。海風が強いと大変なので、風のない日がおすすめです。