京都の夏の風物詩、「五山送り火」。
通称「大文字焼き」で有名なこの行事は、「大」の字だけではなく、他に4つの山でも行われています。
今回は、それらの送り火が、たくさん見られる場所をめざして京都へ行ってみました。
送り火が見える場所

京都のお盆の夜を彩る「五山送り火」は、今や世界的にも有名なイベントといっても差し支えないと思います。
「五山」送り火というように、この行事は5つの山で行われており、午後8時の「大文字」からスタートし、続けて「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」と5分おきに点火されていきます。
しかしこの送り火は、1ケ所見られればOK、複数見られればラッキーというくらいに意外と見えにくいもので、8月16日の夜、京都にいればどこでも見られるというものではありません。
送り火自体が、あまり高くない山というか丘のような斜面で行われるものが多いので、周囲に高い建物がなくてもそもそも見ることが難しいですし、それを複数ヶ所見ようとすると、かなり場所が限られてしまいます。
京都の街の東、北、西にある5ヶ所すべて見ることができる場所を探すと、京都駅あたりまで離れることになり、すべて見えるけれど、豆粒のように小さい送り火を見ることになります。
そして、そうした場所には人々が殺到するため、大混雑を覚悟しなくてはなりません。
そこで、もう少し「送り火」に近い京都市北部で、できるだけたくさん見られる場所を探してみました。
4ヶ所みられる場所
京都市街北部の送り火が行われる山々に近づくと、嵯峨野方面のちょっと離れた場所にある「鳥居形」を見ることは難しくなります。
そのため、「鳥居形」はあきらめて、とりあえず4つの送り火が見られる場所を探します。
候補はいくつもありますが、まず挙がってくる場所に「船岡山」があります。
実は以前に「船岡山」から送り火を見たことがあります。
ここは「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」の4つを一度に見ることができる絶好のスポットなのですが、とにかく混雑が激しく、明るいうちから場所取りをする必要もあったり、複数の送り火を観るためには山の上で移動する必要があったりして「ゆっくり送り火を眺めるという感じではなかったなぁ」という記憶があります。
その他、大学やホテルなどによい場所があるようですが、一般の人々が訪れるのはなかなか難しい場所が多いです。
そんな中、有料ではあるけれど、多くの送り火が見られるという場所を訪ねてみることにしました、
西陣織会館

京都市街地の北部にある「西陣織会館」では、例年送り火の夜に屋上で鑑賞会を行っています。
この送り火鑑賞会がいつから行われているのかはわかりませんが、けっこう以前から続いているようで、様々なところで紹介されています。
ここからは「鳥居形」は全く見えませんが、それ以外の4つはよく見えるとの評判で、実際テレビ局のカメラも来ていて、送り火の様子を撮影していました。
この「送り火鑑賞会」は、例年6月中に応募受付が始まるのですが、すぐに定員いっぱいになるので、参加したい場合は西陣織工業組合のホームページで募集日程を確認し、応募初日に申し込む必要があります。
春になったら時々ホームページを確認して、募集開始の日を把握しておくとよいでしょう。
なお、申し込みは電話のみとなっており、そのためなのか、参加者はほぼ日本の方で、外国人は見かけませんでした。
2026年の参加費は1人4500円で、定員160人とのことでした。

こうした鑑賞会のよい点は、定員がゆとりをもって定められているために、無理のない人数でゆっくり鑑賞できることです。
広い屋上が会場になっていて自由に動き回ることができ、「大文字」方面から「左大文字」方面へと場所を変えながら見ることができます。
フェンスに沿った特等席を確保できなくても、それなりにそれぞれの送り火を楽しむことができました。
そして参加者には、オリジナルの缶バッジが渡されるので、これもよい記念になります。
送り火点火まで
会場には駐車場はないので、地下鉄で「今出川」駅まで行き、そこからしばらく歩きました。

1階のエントランスで受付を済ませると、周囲では様々な西陣織の実演が行われており、その工程を学ぶことができます。2階には広いお土産コーナーもあり、早く到着しても時間を持て余すことはなさそうです。


当日は20時まで館内の営業が延長され、西陣織の資料が展示されたり職人による実演が行われていたりするので、送り火だけでなくこちらも併せて楽しむことができます。

屋上への案内は19:30からなので、それまでは館内に展示されている西陣織の作品を観たり、売店でお土産を探したりして過ごします。
19:15になると案内に並ぶ列ができ、19:30から順番にエレベーターで屋上へ上がっていきました。

点火まで少し時間があるので、京都の街を見渡してみました。
送り火の夜は明るい照明は落とすのが習わしで、全体的に暗い夜景の中で、京都タワーの航空障害灯が唯一高く輝いていました。
送り火開始

午後8時になり、大文字山で明かりが灯り始めました。

だんだんと「大」の字が出来上がってきます。

はるかに望む東山の如意ケ岳に「大」の字が浮かび上がりました。

ここから見る「大文字」は、少し距離はありますが障害となる建物はなく、形も美しく良い鑑賞スポットだと思います。

続いて北側にある「妙」「法」が点火されました。


「妙法」が行われる場所は標高が低いので、「大文字」に比べると見えにくいのですが、ここからはきれいに見えていました。

続いて「船形」にも点火されました。

「船形」は下の方が建物の陰になってしまいますが、距離も近く、鮮やかに輝いて見えました。

点火から15分が経ち、まだまだ大文字が光る中で、今度は西側にある「左大文字」にも点火されました。



「左大文字」方向にも障害となる建物はなく、距離も近くて、明るく輝いて見えました。
最後はあちこち移動しながら、それぞれの送り火が消えていくのを見送りました。
観覧の終了時刻は決まっておらず、それぞれに見終えた方からエレベーターで1階へ下っていきます。
この対応も、急かされることなく余韻に浸れるゆとりがあって、ありがたかったです。
天候にも恵まれ、4つの送り火を堪能することができました。案内の方も「今年はとてもきれいに見えましたよ」と語っていました。
今回のまとめ

一度にたくさんの送り火を観たい、そして混雑の中ではなく、ゆとりをもって眺めたいという方にはよいスポットだと思いました。
参加者はほぼ日本の方々だと思われ、地元の方も含め、全国から訪れている様子でした。観覧のマナーもよく、フェンス際は混みあいますが、落ち着いてたくさんの送り火を眺められました。
以前は参加費が2000円位だったようなので、近年急に値上がりしているようですが、多くの送り火をしっかり観たいのであれば、その価値は十分にあると思います。
ここでたくさんの送り火を観た後は、1ヶ所に絞ってじっくり見るのもよいかも、と思うようになりました。
それぞれの送り火を守ってきた地元の皆さんにとって、それぞれが愛着のある送り火であり、それを共に見送るくらいの余裕のある送り火鑑賞もよいのだろう、と思いました。

