長野県北部の最深部を走る通称「奥志賀林道」。携帯も繋がらない山深い道ですが、全行程舗装されており、長野方面から秋山郷への最短ルートでもあります。
今年は、カヤの平~野沢温泉間は工事のため全面通行止めになっていますが、秋山郷方面への通行は可能です。
そこで、県道66号「豊野南志賀公園線」で笠ヶ岳を越え、国道292号志賀草津ルートを経由し、県道471号「奥志賀公園線」から県道502号「奥志賀公園栄線」を走り、「林道秋山線」で栄村までのツーリングに行ってみました。
豊野南志賀公園線(県道66号線)

今回の林道ツーリングの始まりは、長野市から30分ほどの「高山村」。群馬県との境を走る「上信スカイライン」(通称万座道路)のスタートもこちらです。
笠ヶ岳を越え、奥志賀を通り、秋山郷から新潟県まで抜ける100km近い秘境の道ですが、観光地でもあり全行程「舗装道路」ということで、スタートの時間は遅めです。


高山村から、「山田温泉」方面へ進みます。


「山田温泉」の温泉街をぬけると、道路情報の掲示板があります。特に問題となる情報はなさそうです。




谷に沿って進んでいくと、道路沿いには展望台や露天風呂などが点在しています。「五色の湯」を過ぎると、道は折り返しながら斜面を登るようになります。




「七味温泉」への分岐を過ぎ、折り返しながら坂を登って行くと、「山田牧場スキー場」のペンション街があらわれます。その中を直進すると、道はやがて牧場(スキー場)の中を登る道になります。







見晴らしの良いスキー場の中の道を登っていくと、道沿いに大きな望遠レンズを付けたカメラを構えた人たちがあらわれました。「タカ」の写真を狙っているようです。
北信濃地方はタカの渡りのルートになっており、秋になると北日本から南下してきたタカが、タカの渡りの観察地として有名な北アルプスの「白樺峠」を目指して飛んでいきます。9月も中旬になり、いよいよ渡りのシーズンを迎えたようです。


牧場の上部を登り切ると、目の前には横手山など志賀の山々が見えてきます。そしてカーブの先には「笠ヶ岳」(2,076m)が聳えているのが見えてきました。

「笠ヶ岳」は見る角度によって形が変わり、北側の志賀高原からは丸いドーム型に見えますが、南側からは、遠い麓からも富士山のような三角錐の形に見えます。
笠ヶ岳の鞍部には「笠岳峠の茶屋」がありますが、営業はしていませんでした。
数台の自動車が駐まっており、笠ヶ岳への登山者が入っているようです。頂上までは30分ほどです。



峠を過ぎると道は山ノ内町に入り、「熊ノ湯スキー場」方面へ下っていきます。



林を出て道が広くなると、間もなく国道292号「志賀草津ルート」に合流します。県道471号への分岐まで、しばらく志賀草津ルートを走ります。
奥志賀公園線(県道471号線)











両側にスキー場が次々とあらわれる道を進み、志賀高原の最奥部にある「奥志賀高原スキー場」への分岐が「奥志賀公園線」の終点です。
大きな電光掲示板が、「秋山郷方面への通行可」と「野沢温泉方面への通行止」を表示しています。
奥志賀公園栄線(県道502号線)

ここまでは「スキーリゾート」の道でしたが、この先はいよいよ「林道」の様相を呈してきます。





起点からしばらくの間(山ノ内町内)は、1kmごとに大きな看板で起点からの距離を示してありました。
この道は、以前「雑魚川林道」と呼ばれていたように、道のすぐ脇を「雑魚川」が流れています。道から近いため雑魚川には多くの釣り人が入っており、道路脇に駐車している車に頻繁に出会います。
道沿いには、20cm以下のものは放流するように、あちこちに看板が立っていました。






道は「木島平村」に入り、さらに進むと「栄村」に入ります。
栄村に入ると、すぐに「野沢温泉方面」への分岐になりますが、野沢温泉方面は「全面通行止」の案内が出ています。(カヤの平牧場までは行けるようです)
秋山郷へ向けて、「林道秋山線」を進みます。
林道秋山線


林道に入ってすぐに、「大滝」への下り口にある駐車場があらわれます。こちらにも数台の車が駐まっていました。
案内板の最後には、「この遊歩道は、自己責任でお楽しみください」の文字が。クマが心配なので、単独での行動はためらわれます。
この先、林道は川を離れ、山の中腹を辿っていきます。



道路脇の斜面に草の生い茂る場所もありますが、路面は整備されており走行に問題はありません。道沿いでは、大学による植生調査も行われていました。





道は「鳥甲山」の南斜面を縫うように進んでいきます。樹林の間から周囲の山々が見えるようになってくると、秋山郷が近いです。



鳥甲山(2,038m)への登山口(ムジナ平登山口)を過ぎると、間もなく「切明」方面への分岐です。
いわゆる「秋山郷」へ行くには、切明方面に進み、中津川を渡って国道405号線に出ます。国道405号線沿いには集落があり、わずかですが観光客向けの飲食店やおみやげ店などがあります。


今回は国道には向かわず、鳥甲山の麓を進んで行きます。鳥甲山は険しい岩山で、所々でその様子を仰ぎ見ることができます。

林道では携帯の電波は圏外でした。もし車両にトラブルがあった場合、雑魚川沿いは釣り人がいるので何とかなりそうですが、林道秋山線では救援を呼べるかわかりません。
ただ、奥志賀のホテルのワゴン車を見かけるなど、林道にもそれなりに人は入っているようです。いずれにせよ、山深い道では注意が必要です。
秋山郷まで来るとアンテナもあり、携帯は問題なく通じました。





鳥甲山「屋敷登山口」を過ぎると、道沿いに柱状節理の岩壁が見えてきます。近くの分岐に「布岩山の柱状節理」と言う案内板が設置されていました。
この先で林道は、「県道507号線」に合流します。
県道507号線





県道507号線は、山深い地域としては意外なほどしっかりした道路で、中津川の対岸の集落や苗場山を見渡しながら、快適に走ることができます。




しばらく行くと、折り返しながら坂道を登りはじめ、やがて「五宝木トンネル」へと続いていきます。
「五宝木トンネル」はけっこう長い一直線のトンネルですが、内部に電灯がないため真っ暗でちょっと怖いです。
トンネルを抜けると、道は五宝木の集落に向けて下っていきます。その坂道の途中に、表示も何もない右側に入る細い道があります。ここを右折して「鳥甲牧場」へ向かいます。注意していないと通り過ぎてしまいそうです。
秘境 鳥甲牧場へ

表示も何もない、くねくねと細い道を進んでいきます。こんな山奥に本当に牧場があるのか、と心配になりますが、途中から電線があらわれ、何かの施設があることは確かなようです。



坂道が終わると、その先に平坦な台地が広がっていました。そして牧場のサイロが見えてきました。
牧場に人影はなく、廃墟のようです。




秘境に忽然と現れた、風の音だけがする高原でした。


ここから北に向かって、高倉山の麓を下っていきます。
すぐに県境を越え、新潟県に入りますが、県境の表示等は何もありません。
トドの展望台




高倉山を過ぎてしばらく行くと、道の傍らに「トドの展望台」の看板が見えてきます。おもしろい名前ですが、その由来はわかりませんでした。
木々のトンネルになった歩道を2~3分歩いていくと、板敷きの展望台があらわれました。谷を挟んでその向こうに、山頂が平らな「苗場山」の姿が見渡せます。
津南町周辺は、河岸段丘や苗場山のようなテーブルマウンテンなどの独特な地形が見られる場所で、「ジオパーク」にもなっています。
この地形を巡る旅も、おもしろいかも知れません。



「トドの展望台」から下っていくと、宮野原方面への分岐がありますが、右方向へ進み、少し回り道をしてもう一つ牧場を訪ねます。
しばらく段丘のふちの道を進みます。木々で隠れていますが、右側は谷に向かって絶壁になっています。
妙法育成牧場

段丘のふちを離れしばらく行くと、緑の草地が広がる牧場の道になります。



「妙法育成牧場」というめずらしい名前の広大な牧場が広がっています。こちらは牧場として現在も営業しているようです。
牧場に沿って下っていくと、また一つ段丘を下る坂道になり、途中で水田が広がり池が点在する景色が見えてきます。
この台地をもう一段下ると、志久見川沿いの谷に降り、ここを北に向かい国道117号線に合流します。


国道117号線に合流するのは、長野県と新潟県の県境にある「千曲川が信濃川に変わる橋」のたもとです。すぐ近くにある「道の駅信越さかえ」で今回のツーリングは終了です。
おわりに
9月中旬の平日、晴れ、山間部は曇りの日の記録です。
長野県高山村から、栄村および新潟県津南町までの山深い道ですが、全行程が舗装道路です。距離約93km、4時間ほどのドライブです。
今回のルート上には店舗等は皆無なので、途中での補給はできません。秋山郷周辺で違う道を行けば食事のできる場所はあります。
奥志賀の道は観光や釣りの道であり、栄村、津南町の道は生活道路でもあるので、交通量はそれなりにあるようですが、とにかく山が深いので、備えをしっかりとしてお出かけください。


