表参道イルミネーションや灯明祭りなど、冬の間もイベントが行われる善光寺ですが、こうした夜のイベントに訪れる場合、昼間の時間の過ごし方もこれまでとは違った行動を考えなくてはならない時かも知れません。
コロナ禍の昨今、密を避けることが求められているので、人の集中する観光地の訪問もできれば控えたいものです。
そこで、参拝と合わせて少し山歩きを楽しむというのも、信州ならではの楽しみ方ではないかと思い、低山歩きに出かけてみました。
今回は、善光寺の裏山である「地附山」にトレッキングコースが整備されているので、その様子を紹介したいと思います。
善光寺詣と合わせて

地附山は善光寺の背後に聳える標高733mの松などの林に覆われた山で、善光寺北側の駐車場からは、車で5分ほどで登り口に到着できる距離です。
善光寺参拝の前後に数時間で歩けるコースがいくつもありますので、冬の信州の低山歩きを楽しんでみるのもよいのではないでしょうか。
人里に近く、雪の季節でも安心して歩けるコースなので、四季を通じて山歩きを楽しむことができると思います。
アプローチ

善光寺の北側を見ると、地附山の中腹に「雲上殿」が建っています。その近くにスタート地点があるので、そこへ向かって善光寺北参道を進みます。
つづら折りの道を登っていき、十字路を直進して「地附山公園」へ向かってさらに登っていきます。
トレッキングの出発地となるのは、春から秋の間は広い駐車場があり遊具や展望台なども整備されている「地附山公園」がよいと思います。
しかしここは、11月24日~3月31日の間は閉鎖されてしまうので、冬の間は「駒形嶽駒弓神社」参道から登ることになります。
参道の入口には駐車場(未舗装)があるので、ここに車を駐めることができます。
跳駒トレイル

冬の間のスタート地点は、こちらの駒形嶽駒弓神社入口になります。
ここに至る車道はこの先も続いていますが、すぐにゲートがあり、11月24日以降はその先には進めません。(この日はたまたま開いていました)
春から秋の間はゲートが開いており、この先の地附山公園に駐車することができます。


山中にはコースがいくつも設定されていますが、どれも冬の入山口は駒形嶽駒弓神社入口だけです。
看板のとなりの箱にパンフレットが置かれており、看板のものと同じ地図が載っていますので、この地図は必ずもらっていきましょう。
ここのコースはいわゆる遊歩道ではなく「山道」といったもので案内板も多くはありません。全体の様子を掴むために便利で、国土地理院の地図にも載っていない道なので、このイラストマップは重宝します。

未舗装の駐車場は10台ほど駐めることができそうです。
駒形嶽駒弓神社

駐車場から参道を進むと、駒形嶽駒弓神社の鳥居が見えてきます。ここから坂道になり、神社までは手すり付きのコンクリートの階段を登ります。




社務所の脇に小さな案内板があり、ここから山頂へ向かう山道が始まります。
金比羅宮



10分弱で「金比羅宮」に到着します。山の中に海にゆかりの金比羅宮があるのは不思議ですが、社殿前の看板に由緒の説明があります。

金比羅宮は南に突き出た小さな尾根上にあるので、ここから少し谷沿いの道に戻ります。
地附山の山頂周辺はわりと平坦なのですが、山の上に出るまでしばらく急な登りが続きます。

道ははっきりしていて、季節がら全面落ち葉に覆われています。しかし木の根などところどころに現れている地盤は白い凝灰岩で、南向き斜面ということもあり山全体が明るい様相です。

林の中の道を進むと、こんな看板もありました。
パワースポット

急な登りが終わり、道が平坦になってくると「分岐2」に到着します。金比羅宮からは15分ほどです。


分岐2から等高線に沿って平らな道を進むと、視界の開けた平坦な広場があります。ここが「パワーポイント」といわれる場所でした。
パンフレットにも説明がなかったので、いわゆる「パワースポット」的なものを想像してしまいますが、見晴らしのよい展望台です。志賀高原方面を見渡すことができます。

山頂トレイルA郷愁コース


パワースポットからなだらかな坂道を登っていくと、朽ちたコンクリートの建物跡が見えてきました。「動物園跡地」という小さな看板が立っています。

ここにはかつて「動物園」があったそうですが、当時を偲ぶものは何も残っていませんでした。
そしてここから、「山頂トレイルA郷愁コース」が始まります。かつての様子を知っている人たちには、郷愁をそそる場所なのでしょう。
ロープウェー山頂駅跡



このあたりからは平坦な台地状になっていて、松林の中の道を進んでいくと様々な遺構が現れてきます。


そして、台地の端に「ロープウェー山頂駅跡」があります。
ここにはかつて、観光用のロープウェイが架かっていました。雲上殿近くの麓の駅からここまで上がり、周囲の展望を眺めたり動物園を楽しんだりする観光地になっていたのでしょう。
かつての観光地が、今はトレッキングコースになっていることに時代の流れを感じます。





山頂駅跡の上にはテレビ局のアンテナが立っており、そのすぐ横は、長野県警のモトクロス練習場とのことです。
スキー場跡


このあたりの道はほぼ平坦ですが、標識があり道がはっきりしているので迷うことはありません。


5分ほど歩くと、「スキー場跡」のリフトの遺構が見えてきます。ここにかつてTバーリフトが設置されていたそうです。

この斜面がかつてスキー場だったということです。今は木々に覆われて往時の面影はありませんが、なだらかな斜面が広がっています。
地附山山頂




地附山山頂に向かって、緩やかな登り道を行くと「ヤッホーポイント」に到着です。スキー場からここまで5分ほどです。
飯縄山など、北側の展望が開けて見渡せる場所で、雪の付いた妙高山も頭を出しているのが見えました。

ヤッホーポイントのすぐ後ろが「地附山山頂」(733m)で、小さな祠があり、脇に標識が立っています。

山頂からの緩やかな坂道を下りると「分岐3」の標識があり、ここで「郷愁コース」は終了です。
山頂トレイルBいにしえコース

分岐3から「いにしえコース」が始まります。平坦なはっきりした道が続きます。

台地の端を進む道で、途中で「旗立岩」という斜面に突き出した岩がありました。鉄柵が付いており、かつては岩の上に立つことができたと思われますが、現在は立ち入ることはできません。
このあたりは崖になっているようですが、木々に覆われて麓からは見えないようです。

このあたりには釣堀もあったようで、遺構が残っています。道は古墳に向かって緩やかに下っていきます。
前方後円墳


林の向こうに「前方後円墳」が見えてきました。分岐3から10分弱で到着です。



全長36mという、このあたりでは大きな古墳だと思いますが、正式な調査はされていないとのことです。このあたりの盟主の墓であろうと推測されています。
枡形城跡


古墳から先は一気に下り坂になり、標識もなく心配になりますが、どんどん下っていくと5分ほどで車道に出ます。
この車道はかつての「戸隠バードライン」で、戸隠に向かう観光ルートとして知られた有料道路でした。
しかし、昭和60年の地滑り災害によって一部が崩れ落ち、現在この区間は廃道となっています。


バードラインを横切り、「枡形城」に向かって登っていきます。


ここは戦国時代の山城の跡で、土塁や曲輪などが残っています。


曲輪からいったん下り、「主郭」に登っていきます。


城の中心「主郭」は平坦な広場になっていて、今は松林になっています。木々の間から善光寺平を見渡すことができました。

城跡の道は一方通行で、帰りも案内板に沿って進みます。
「枡形城跡」を一廻りするのに要した時間は15分ほどです。

バードラインに戻ると往時のオーバーブリッジが残っており、バードラインの先へ歩いて行ってみたくなります。
六号円墳

再び山道に戻り、六号円墳をめざします。斜面に沿ったなだらかな道です。



六号円墳も調査が行われておらず詳細はわかりませんが、出土品からは朝鮮半島からの渡来品とみられるものも含まれているようです。
バードラインから六号円墳までは10分弱です。



六号円墳から「分岐1」まで下ると、「いにしえコース」は終了です。

この下りの途中にこのような看板がありますが、冬の間はこの先の「つづらトレイル」で「地附山公園」に下りることができないので、「跳駒トレイル」へ戻ることになります。
今回、公園には入らずに山道を進んで下りようと思い、そのまま「つづらトレイル」を進みましたが、地附山公園の中にしか道がなく、周辺に歩ける道は皆無でした。
今回は冬季閉鎖が始まったばかりで整備を行っていたため、たまたま柵が開いていて通ることができましたが、地滑り災害のあとに整備された場所であり、昔からの山道などはいっさいないので注意が必要です。
つづらトレイル




斜面に続いている長い坂道を、折り返しながら下っていきます。足元は一面の落ち葉の絨毯でした。
途中、随所にショートカットできる階段があります。長い下り道に飽きてしまい通りたかったのですが、通行禁止になっていました。
地附山公園



「地附山公園」も「つづらトレイル」のスタート地点になっているので、パンフレットや杖などが用意されていました。
しかし、ここを閉鎖されると、周囲に道はまったくありません。


「地附山公園」は地滑り災害の跡に整備された公園で、遊具や芝生の広場、展望台などがあり、子ども連れも楽しめる場所になっています。
根子岳、四阿山の向こうに、浅間山もちょっとだけ頭を覗かせていました。
関連情報
準備品
街からは本当に近いですが、山道歩きになるので、準備品としては冬に山歩きするを服装、装備が必要です。
雪がある場合はトレッキング用の装備に加え、防水性のある靴やスパッツも必要です。
この山はかつて大きな地滑りを起こしていますが、地質は白く柔らかい凝灰岩質のため全体的に明るい山様ですが、歩く場合には滑りやすいようにも思います。
駒形嶽駒弓神社からの急坂の上り下りでは、濡れると滑りやすいので注意が必要で、滑らないしっかりとした靴を用意した方がよいと思います。
携帯電話は問題なく使えます。
設備
このトレッキングコースは、コース上にトイレがありません。「地附山公園」の敷地内にはトイレがありますが、冬期間は使えませんので、近隣で使用できる最も近いトイレは「雲上殿」のものになります。
案内の掲示板などそれほど多くはなく、普通の登山のように地図で確認することもできない(地図には載っていない道)ので、跳駒トレイル入口でイラストマップを入手しておくことをおすすめします。
善光寺周辺からここへ向かう途中には、コンビニなどの商店はほぼありません(菓子店や食事のできる店はあります)ので、善光寺から直行する場合は、事前に食料や飲料水を用意しておく必要があります。
おわりに
今回4つのコースを通して歩きましたが、2時間30分ほどでした。出かける場合は3時間程度で予定しておけばよいと思います。雪があるともう少し時間がかかるかも知れません。
平日の午後でしたが人はそれなりに入っており、数名の年配の単独ハイカーに出会いました。
密を避けることを求められる昨今ですので、善光寺の参拝と合わせてトレッキングを楽しむというのもありかなと思います。

