標高1,900mの白馬山麓に広がる「栂池自然園」。
間近に白馬連山を望み、高山植物が広がるこの湿原には、ロープウェイを利用して気軽に訪れることができます。
そのため、湿原の景観や高山植物の花々を楽しむハイカーや、アルプスの自然を満喫したい観光客が多く訪れています。
今回は、夏の花の季節を迎えた「栂池自然園」の様子を紹介します。
栂池自然園とは
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「栂池自然園」は、白馬山麓の高層湿原に設置された自然公園で、四季折々の自然を気軽に楽しめる施設です。
栂池自然園には、この湿原を巡る一周約5,5kmの散策コースが整備されていて、そのほとんどが木道を歩く、初心者向けのハイキングコースになっています。
栂池自然園の開園期間は、雪融けの6月から雪が訪れる前の10月までで、春のミズバショウや秋の紅葉が有名ですが、どの季節も四季折々の美しい自然を楽しむことができます。
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栂池自然園は「楠川」を挟んで二つの湿原に分かれていて、二つの間には多少の標高差があります。
自然園の西端まで行く場合は、高度差100m以上の登りになり、コースがすべて平坦というわけではありません。
自然園を一周すると、距離約5、5km、歩くだけでも2時間程度は必要で、ゆっくり自然観察をしながら歩くと、3~4時間は必要です。
服装と準備品
栂池自然園は気軽に訪れることができる場所ではありますが、標高2,000mほどの高山であり、それなりの準備が必要です。
ほぼすべて木道歩きなので、普通の運動靴で歩くことも可能ですが、一周するなら、しっかりしたトレッキングシューズなどを用意することをおすすめします。
服装などは季節や天候にもよりますが、一周するなら一般的な登山と同様の準備が必要で、食料や飲料水などの他、雨具や防寒具なども持参する必要があります。
アプローチ
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ロープウェイ乗り場は「栂池高原スキー場」にあるので、まずはこのスキー場を目指します。
ここからゴンドラとロープウェイを乗り継ぎ、標高1,829mの「自然園駅」まで一気に登ります。
ロープウェイを利用すると、栂池スキー場から栂池自然園入口の間は数百m歩くだけですが、時間的にはロープウェイの乗車時間と移動時間を合わせると40~50分ほどかかり、乗車待ちなどがあるともっとかかります。
行動時間には、自然園の散策の他に、往復で1,5~2時間程度はかかることを計算しておく必要があります。
入園料と交通費
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自家用車で訪れた場合、麓の駐車場(冬はスキー場用)には無料で駐車できます。
栂池自然園を訪れる方は、ほぼすべてロープウェイ利用の方々なので、ロープウェイのチケットは、料金と入場料がセットになったものが販売されています。
入園料込みの場合、ロープウェイ料金は大人往復3,700円、こども(小学生)往復2,100円です。(入園料だけだと、大人320円、こども(小学生)260円です)
※ 料金等の情報は、すべて2023年9月時点のものです。
栂池ロープウェイ
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栂池自然園へ行くには、ゴンドラリフトとロープウェイを乗り継いでいきます。
まず、栂池スキー場の乗り場で、これらの乗り物と自然園の入園料を合わせたチケットを購入します。
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チケットを購入したら、ゴンドラリフトの乗り場へ向かいます。
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ゴンドラの始発時刻は、夏や紅葉シーズンは7:00、それ以外は8:00です。(詳しくは下記HPをご参照ください)
つがいけロープウェイHP
https://www.nsd-hakuba.jp/green/tsugaike/panoramaway.html
栂池ゴンドラリフト「イヴ」
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まず、ゴンドラリフトで「栂池高原駅」から「栂の森駅」へ向かいます。6人乗りゴンドラリフト(現在は定員4名で運行)で、乗車時間は約20分です。
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栂池ロープウェイ
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「栂の森駅」からは、約200m歩いてロープウェイの「栂大門駅」へ移動します。
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栂池ロープウェイは定員71名で、終点の「自然園駅」までの乗車時間は約7分、20分間隔で運行しています。
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ロープウェイの終点「自然園駅」から栂池自然園までは、500mほど歩きます。
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坂道の車道を登って行くと、「栂池ヒュッテ」などの建物が見えてきます。
栂池ヒュッテ、栂池山荘の前を過ぎると、「栂池自然園ビジターセンター」があり、こちらで共通チケットを見せて自然園に入園します。
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かつて白馬大池へ向かう際、この前を通り過ぎたことはあったのですが、中に入るのは初めてでした。
なかなか充実した施設で、展示だけでなくボルダリングウオールなども設置されていました。
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園内に入った所に、「旧栂池ヒュッテ」の建物が残されており、内部はかつての栂池の様子をまとめた資料が展示されている記念館になっています。
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旧栂池ヒュッテ記念館を出ると、彼方には白馬の峰々が聳えていて、ここから自然園の木道が始まります。
栂池自然園
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ここから園内を一回りしますが、分岐では右側へ進み、時計とは反対回りに進んで行きます。
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この日は白馬の峰々に雲がかかり、山の姿の全景を見渡すことはできませんでした。
みずばしょう湿原
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入口を入って最初にある湿原は「みずばしょう湿原」と呼ばれるものですが、夏の季節は一面の緑に覆われています。
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この周辺の木道はバリアフリーで、車イスでの通行にも対応しています。
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ロープウェイの駅で販売していたA42枚の簡易図鑑を購入したのですが、それなりに役に立ちました。また栂池自然園のHPからも図鑑を見ることができます。
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みずばしょう湿原の先で道は分岐し、さらに奥に進む木道が続いていますが、車イス対応の広い木道はここまでです。
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右へ進んで、「わたすげ湿原」を目指します。
わたすげ湿原
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わたすげ湿原も、今は一面の緑でした。
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湿原の周囲には、ところどころベンチが設置されていて休憩ができます。
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わたすげ湿原を過ぎると、道は「楠川」に向かって下っていきます。
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楠川は自然園の真ん中を流れる渓流で、川岸には水遊びをする子どもたちの姿も見られます。
楠川を過ぎるとこの先は、自然園の西端まで登り坂が続きます。
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楠川を過ぎてすぐの所に、園内唯一のトイレがあります。
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坂道を登りながら振り返ると、ビジターセンターやみずばしょう湿原が遥か下方に見えます。
浮島湿原
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楠川からの坂道を登り、自然園西側の台地の上に出ると、間もなく「浮島湿原」があらわれます。
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浮島湿原周辺には、花が咲く高層湿原らしい景色が広がっていて、たくさんのハイカーが休憩したり写真を撮ったりしていました。自然園の滞在中に、園内で最も賑わっているスポットでした。
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浮島湿原を後にし、自然園の西端にある「展望湿原」を目指して進みます。
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道の周辺には、ニッコウキスゲがたくさん咲いていました。
展望湿原までの道は、それほど急ではないですが、ずっと登り坂が続きます。
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途中に「銀命水」という水場があり、採水できます。
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登り坂が一段落すると、「モウセン池」があらわれます。
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こちらの池には、食虫植物「モウセンゴケ」が自生しているそうですが、ここ以外にも園内の各所でモウセンゴケを見ることができます。
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ロープウェイに乗っている時から見かけた「青い松ぼっくり」はオオシラビソの球果で、今年は当たり年なのか、至る所で見られました。
オオシラビソは「ツガ」とも呼ばれ、これが栂池の名前の由来と言われています。
展望湿原
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木道の坂道を登り切った自然園の西端に、白馬連山を望む展望台があり、白馬の峰々を背景にして「展望湿原」が広がっています。
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この日は雲がかかっていて、山は大雪渓の下部しか見えませんでしたが、テラスではたくさんの人々が休憩し、展望を楽しんでいました。
その人々に混ざって、景色を見ながら、少し早い昼食を食べました。
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雲の切れ間から、少しだけ「杓子岳」を見ることができました。
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尾根上の木々の上を行く木道は「空中回廊」のようで、途中には小さな展望台がいくつかあり、格好の撮影スポットになっています。
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「雁股池」を望む展望台を過ぎると、道は「ヤセ尾根」と呼ばれる急な坂道を下っていきます。
しかし、ずっと木道なので、歩きにくさはありません。
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ヤセ尾根を下り切ると、「浮島湿原」のほとりに戻ってきます。
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ここからは、分岐では右方向へ進みながら、来た道を入口へと戻って行きます。
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途中に「風穴」がありましたが、木道上ではあまり涼しい風を感じることがなく、なんとなく通り過ぎてしまいました。
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みずばしょう湿原まで戻ってくると、旧栂池ヒュッテの赤い屋根が見えてきて、栂池自然園一周ハイキングを終了しました。
園内一周は、ゆっくり観て回って、3時間半ほどの行程でした。
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園内から出ると、栂池山荘の売店には、長い行列ができていました。
一番の人気は「さるなしソフトクリーム」のようで、行列に並んで味わってみました。
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「さるなし」はマタタビの仲間で、ちょっとキウイフルーツに似ています。
さるなしソフトクリームは、爽やかな酸味があっておいしかったです。
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自然園の上には雲も湧いていましたが、下界に下りると夏の空が広がっていました。
関連情報
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栂池自然園の散策は、ほとんどが整備された木道歩きになります。
多くの方が高原のハイキングを気軽に楽しめると思いますが、体力に自信がなく坂道は避けたい、という方は、散策は「みずばしょう湿原」と「わたすげ湿原」までにしておくのがよいかもしれません。
みずばしょう湿原までは、軽装で観光として訪れることができます。
しかし、この自然園のハイライトは「浮島湿原」や「展望湿原」だと思うので、しっかりと準備をして西側の湿原も訪れてみたいものです。
また、白馬岳中腹の湿原にあるこの自然園は、植物が好きな方にはよいと思いますが、山岳らしい景観は今ひとつなので、山登りをしたくて坂道を登る体力もあるという方には、こちらより「白馬大池」へ行く方が満足感があるかと思います。天狗原を経て稜線に出れば、こことは違った楽しみがあります。
「栂池自然園」は公園内なので、急な坂道や危険な箇所はありませんが、一周するとそれなりの距離を歩くので、十分な準備をしてお出かけください。
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