先日「アプトの道」を歩いた際、お土産に荻野屋で「峠の釜めし」を購入してきました。
釜めしの容器は陶器製で、これを使って実際にご飯が炊ける、ということだったので、試してみました。
今回は、峠の釜めしの空き容器とミニストーブを使って、固形燃料でご飯を炊いてみた様子のレポートです。
峠の釜めし
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横川駅の「峠の釜めし」は、全国に数ある駅弁の中でも、最も有名なもののひとつだと思います。
その特徴は、釜めしの名の通り、容器に釜形の陶器を使っていることです。
お土産として持ち帰るには、けっこう重量もあるし、かさばるので考えてしまうのですが、やはり碓氷峠のお土産の定番ということで、購入する人も多いと思います。
食べ終わった後の容器は、処分にちょっと困る、という面もありますが、実はこの容器を使って、実際にご飯が炊けるということが荻野屋のホームページに紹介されています。
そこで、この容器を使い、「ミニストーブと固形燃料で実際にご飯を炊いてみる」ことを試してみました。
釜飯の容器とミニストーブでご飯を炊く
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まずは、ホームページに掲載されているご飯の炊き方を確認してみます。
1.峠の釜めしを食べ終わった釜容器を洗います。
2.洗った釜容器を乾燥させます。
すぐに使いたい時は外側を良く拭いてください。
3.お米1合(約150g)を研ぎます。
4.研いだお米とお水180ccを釜容器に入れ蓋をし、5分から30分浸漬します。
(茶飯の場合は、調味料と昆布も入れます。)
5.4をガス台に乗せ、弱火にかけます。
(約8分から10分で吹きこぼれてきます。)
※容器が割れることがありますのでご注意下さい。
6.吹きこぼれたらすぐに蓋を1cm程ずらします。
その後さらに火を弱めとろ火(最弱火)にします。
7.吹きこぼれが収まったら開けた蓋を0.5cmくらいまで閉めます。
8.ご飯の表面の泡立ちがなくなり水たまりがなくなったら、蓋を完全に閉め、
火を止めます。
(5で火をつけてから火を止めるまでの時間は、約15分程です)
9.火を止めた後、15分以上蒸らします。
このときは絶対に蓋を開けないでください。
10.しゃもじやお箸でふっくらと攪拌し、出来上がりです。
炊飯ジャーではなかなか味わえないお焦げも楽しめます。
なお、このレシピは一般的な炊き方なので、お米が新米と古米では水の量なども多少変わってきますので、ご注意してください。
※空き釜は耐熱容器ではございません。直火調理をすることにより容器が破損する場合がございます。
※荻野屋ホームページより引用
ホームページで紹介されている方法は、コンロを使った炊き方なので、ミニストーブと固形燃料で行う場合には、多少アレンジが必要かと思います。
また、吹きこぼれ対策のためか、状況を見て蓋の開閉をこまめにやるようになっていて、メスティンの時のような半自動炊飯という感じではないので、ちょっと面倒かもしれません。
そこで、これまでのミニストーブでの調理の経験から、できるだけ簡単に炊ける方法を考えてみました。
陶器での炊飯はどうなのか
メスティンで調理した時は、100均の固形燃料1個でちょうどよかったのですが、熱効率を考えると、陶器のこの容器では、アルミ製のメスティンよりもう少し火力が必要な感じがしました。
炊飯にはしっかりと沸騰状態で炊く時間が必要で、これが十分でないと芯のあるご飯になってしまうのですが、固形燃料1個だとしっかりと沸騰状態をつくることができるのかが心配です。
「固形燃料1個では足りないのでは?」と思いつつ、2個だと火力が強すぎると思われ、火力の微調整が難しい固形燃料ならではの悩みどころです。
そこで、とりあえずメスティンの時と同様のやり方で1回試してみることにしました。どのくらいの状態に炊けるのかやってみます。
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検証スタート
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今回試した方法を簡単にまとめると、以下のようになります。
① 米は1合。
② 固形燃料は100均のものを1個使用。
③ 燃料に火を点けてから燃え尽きるまで、蓋は閉めたままで操作はしない。
基本的にメスティンの時と同じになりますが、これで様子を見ることにします。
米の準備
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まず、米の準備をします。
1合の米を研ぎ、容器に入れ、水を加えます。
ホームページの説明では、水は180ccとなっていますが、入れてみるとどうも水が少ないような感じがして、少し水を足しました。
私は普段のアウトドアでの炊飯では、容器にならした米の面のおよそ2倍の高さまで水を入れるのですが、水を足しても、それに比べるとやや少ない水量という感じでした。
そして、吸水のために30分ほど置いておいたのですが、炊飯の場所を屋内へ移したりするのに時間がかかり、結局小一時間ほど吸水させることになりました。
炊飯開始
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屋外はけっこう風があったので、風の影響をなくすために、急遽屋内で行うことにしました。
蓋をしてミニストーブに載せ、固形燃料に火を点けます。
吹きこぼれ対策のため、ミニストーブの下に段ボールを敷いておきましたが、今回の炊飯では吹きこぼれはまったくありませんでした。
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10分ほどすると、ぐつぐつと煮える音が聞こえてきました。
蓋を開けたくはなかったのですが、状態を記録するために、1回だけ蓋を開けてみました。表面が泡だって煮えている様子がうかがえます。
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その後も、蒸気が噴き出してきて、加熱は順調に進んでいるように見えました。しかし蒸気は蓋を動かすほどではなく、やはりもうちょっと火力が欲しい気がします。
結局、蓋がずれたり、吹きこぼれたりする場面は、一度もありませんでした。
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そのまま加熱を続けていると、炊いたご飯の匂いが漂い、さらに焦げたような匂いも漂ってきます。
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火を点けてから約23分で、固形燃料の火は完全に消えました。そして、そのまましばらく蒸らします。
さて、炊きあがりはどうなっているでしょうか。
炊きあがり
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15分ほど蒸らしてから、いよいよ蓋を開けてみます。
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蓋を開けてみると、見た目にはまずまずの炊きあがりで一安心です。
しかし、一見してやや堅いであろうことが見て取れ、沸騰が足りなかったか、水が少なかったかなどの考えが巡ります。
また、表面の中心部分に、少し茶色い焦げた色が見えました。
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しゃもじですくってみると、第一印象よりはよい感じで、それなりに食べられる状態になっていることがわかります。
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ご飯を茶碗に取りながら掘り進んでいくと、焦げた部分が何箇所か出てきました。
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さらに掘り進むと、底の部分の中心が、見事に真っ黒になっていました。
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固形燃料の火が、一カ所だけを熱し続けた結果、けっこうな焦げ付きができてしまいました。
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ご飯は、上部の白い部分はちょっと固めだけれど普通に食べられる状態で、底面周辺のおこげは、けっこうな焦げ付き具合でした。
この後、実際に食べてみましたが、まずまずの炊きあがりで「思っていたよりもよく炊けたかな」といった感じでした。
おわりに
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陶器だとどうなのか、と思っていましたが、固形燃料1個でもそれなりにご飯を炊くことができました。
しかし、陶器はメスティンに比べるとけっこう面倒かな、とも感じました。
この容器は完全に乾いていないと割れる危険性もありますし、金属のメスティンほどには熱が容器全体に広がって温まる感じではないので、火の当て方にも多少の配慮が必要かと思います。
釜飯容器での炊飯はミニストーブでも可能ですが、やはりコンロを使って、できれば具材なども混ぜて、炊き込みご飯風に楽しみながら炊く、というのが一番のように思います。
いずれにしても、「釜のメシ」というのはちょっと魅力的なので、「峠の釜めし」を食べたのならば、その空き容器でご飯炊きを楽しんでみるのもおすすめだと思います。