JR東日本が、期間限定のお得な切符を販売していたので、これを利用して日帰り旅に出かけてみました。
今回は、1日乗り放題のパス券を使った、青森への日帰り旅の様子を紹介します。
冬はお得な切符の季節

観光閑散期の冬の間、JR各社では期間限定のお得な切符を発売することが多いです。
今年は3月の北陸新幹線の敦賀延伸がありダイヤ改正が行われるため、やや控えめな感もありますが、大変お得な切符があったので利用してみました。
(今回紹介するパスは、すでに販売期間を終了していますが、今後同様の切符が販売されたときの参考になればと思います。)
旅せよ平日!JR東日本たびキュン 早割パス
JR東日本が発売したこちらの切符は、
①新幹線・特急列車などの自由席を含むフリーエリア内が1日乗り放題!
②あらかじめ座席の指定を受ければ、新幹線・特急列車などの普通車指定席に2回乗車可能
というもので、価格は10,000円(子ども設定はなし)。さらにJR東日本全線に加え、一部の第三セクター路線も利用可能になっています。
一般的に「お得な切符」には様々な利用条件があるのですが、この切符にも多くの条件があります。
購入編
①利用できるのは、2/14~3/14の平日のみ(期日を指定して購入)
②購入できるのは、利用開始日の1ヵ月前から14日前まで
(具体的には1月14日から2月29日まで)
③「えきねっと」限定での販売
利用日がかなり限られているので、見通しをもって計画する必要があります。また購入できる日も14日前までなので、旅行当日から逆算して半月以上前には購入手続きを済ませる必要があります。
とりあえず切符を購入しておいてあとから計画を考える、というタイプの切符ではありません。
また「えきねっと」での限定販売なので、事前に会員登録を済ませる必要もあります。こちらは登録、会費ともに無料なので、とりあえず会員になっておいて損はないと思います。
利用編
利用に関してもいくつか制約があります。
①駅で紙の切符を発券しておく必要がある
②指定席が利用できるのは2回まで
購入はネット上で行いますが、実際に利用するには、駅の券売機などで「紙の切符を発券」する必要があります。(利用当日でも可)
また、指定席は2回まで利用できますが、最近は高速の列車は「全車指定席」になっているものが増えているので、新幹線などを3回以上利用する場合は、乗り放題とはいえ自由席のある列車を選ぶ必要が出てきます。
時間のない人にこそおすすめ
以上のように、平日限定や「えきねっと」での限定販売など制約は多いですが、とにかく格安なので利用する価値は大きいと思います。
このチケットは「1日用」で、しかも「平日限定」というものなので、いつでも時間が自由になる人よりも、むしろ日頃忙しい人が、ご褒美としてこの日だけは休んで「ビュンと遊びに行こう」というような時に、とても有効だと思います。
「ちょっと旅気分」というときは、JRのホームページなどを覗いてみると、お得なチケットに出会えるかもしれません。
青森への日帰り旅

今回は、このパスを使って「青森」への日帰り旅行に出かけてみました。
「東京から青森」まで、東北新幹線「はやぶさ」を利用して行った場合、通常運賃は17,670円で往復だと3万円以上かかるのですが、このパス券だと1万円で行って来られるので、破格といってもよいと思います。
普段は主に車で旅をしているので、青森にも行ってはいるのですが、青森市内は「三内丸山遺跡」など周辺部ばかりで、街の中心部には行ったことがありませんでした。
そこで今回は、「青森駅周辺」に絞って青森観光に出かけます。
1日だけの休暇なので、日程もゆったりにして、無理に予定を詰め込むことはしません。東京~新青森間は最速で3時間なので、日帰りでゆっくり出かけたとしても、滞在時間が5時間程度は確保できると思います。
ねぶたの家 ワ・ラッセ

お昼過ぎに青森駅に到着し、駅周辺で昼食を摂ってから観光に出かけます。

まずは青森駅前からも見えている「ワ・ラッセ」へ行ってみます。

「ねぶたの家 ワ・ラッセ」は、青森のねぶたについて展示見学や体験ができるミュージアムで、青森駅から徒歩数分という至近距離にあります。


入口は2階で、1階にあるショップには入場しなくても行けます。

こちらの入場料は大人620円ですが、周辺にある3つの施設の共通券(大人1380円)があったので、こちらを購入しました。ベイエリア周辺を観光するなら、この共通券がお得です。

暗い館内に入ると、まずは2階フロアから巨大なねぶたを見下ろします。

大きなねぶたの舞台が暗闇に浮かび上がり、その迫力を間近に体験できます。

一階に下りると、太鼓やお囃子の体験コーナーがあり、たくさんの人が順番の列に並んでいました。



暗闇に浮かび上がる様々な「ねぶた」が色鮮やかで美しく、祭りでなくても、これを観るだけで価値があると思います。
年に1回の祭りのために「ここまでやるんだ」と、そのエネルギーと祭りへの想いに改めて感心します。


光と色彩の演出で、ねぶたの魅力を十分感じることができた見学でした。

出口はそのままミュージアムショップに続いていて、こちらで様々な「ねぶたグッズ」を入手できます。
「ワ・ラッセ」は駅のすぐ近くにありそれほど広い施設ではないので、列車の待ち時間にちょっと訪れるということも可能ですが、十分に時間を確保してゆっくり見学するのがよいと思いました。
青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸

続いて、お土産店などが入るA-FACTORY(エーファクトリー)の前を通り、海辺にある旧青函連絡船「八甲田丸」へ向かいます。
駅の周辺にはお土産を買える場所が多数あるのですが、エーファクトリーは他のお土産店に比べておしゃれな品が多い印象なので、用途に応じて各店を使い分けるのがよいと思います。

ここにはかつて線路が通り、列車をそのまま連絡船に積み込んで津軽海峡を渡っていました。

今は内部が博物館になり、往時の資料が展示・保存されています。
「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」の観覧料は大人510円です。

見学順路に沿って巡っていきます。まずは3階へ上がります。


最初は、昭和の時代の青森港周辺の様子を再現した展示が並びます。

「青函鉄道連絡線記念館」に入ると、青函連絡船関係の資料が展示されています。





4階に上がると操舵室などがあり、周囲の様子も見渡せます。雪の降る季節は屋外の甲板に出ることは制限されていました。

エレベーターで1階に下りると、車両搭載スペースがあります。


かつての古い車両が、当時のようにいくつも搭載されていました。

こちらは一廻りすると、移動も含めて最低でも1時間程度は必要かと思います。
国を貫く大動脈が、船で「海を渡る」という方法しかなかった時代の、独特の旅情を感じることができました。
青森観光物産館アスパム

歩道専用の「青森ラブリッジ」を渡って、対岸の「青い海公園」へ向かいます。


青い海公園のすぐ隣に聳える、三角形の独特な建物が「青森県観光物産館アスパム」です。
観光物産館なのでお土産の購入などができる施設ですが、他にも「展望台」があったり、「360°3Dデジタル映像シアター」があったりして、観光としての見所もあります。
有料スペースである「360°3Dシアター」と「展望台」がセットになったA券の料金は、大人850円です。


展望台からは、天気がよければ下北・津軽半島や八甲田山など360°の景色が見渡せるようですが、この日は雲が広がり見ることはできませんでした。

2Fにある「青い森ホール」では、360°3Dデジタル映像の上映が30分間隔で行われています。(360°3Dシアター単独の料金は650円)
開始時刻が近かったので入場しようとすると、受付の方が「これから始まるのは2Dで、3Dは次回の上映になる」と教えてくれました。
上映は3Dと2Dが交互に行われていて、せっかくなので時間調整をして、3Dの方を観ることにしました。1Fでお土産を見ることができるので、時間調整はしやすいです。
メガネをつけて3Dで観る「ねぶた」や「八甲田山」の映像は迫力があって、本当に「30分待ってよかった」と思いました。
こちらを観るなら、ぜひ3D映像を選択することをおすすめします。
余談ですが、教えてくれた受付のお姉さんの言葉が、青森弁特有のイントネーションだったことにハッとして、今回の旅で一番「青森に来ている」ことを実感した瞬間でした。(お土産店などでの対応は、皆さん標準語です)

2Fには「津軽こぎん刺し」の実演コーナーや手作り体験コーナーもあり、興味のある方にはおもしろそうな場所です。

2Fのホールには休憩できるスペースもあるので、時間調整にも使えそうでした。
駅前の3つの施設を巡りましたが、どこもそれなりに見所があって充実した見学になりました。
観光資源としての「ねぶた」や「青函連絡船」などをしっかり紹介し売り出していて、3Dの迫力ある映像も見応えがあり、青森の魅力を伝えようとする青森県の観光戦略がうかがえました。
青森滞在数時間の小さな旅でしたが、充実した日帰り旅でした。
煮干し中華そば

到着したのはお昼を過ぎた頃だったので、まずは「どこかで昼食」を摂ることにしました。
青森のグルメといえば「青森魚菜センター」の自分でネタを選んで海鮮丼を作る「のっけ丼」が有名ですし、他にも鮮魚市場にある食堂でも「海鮮丼」などをいただくことができますが、同じ列車にはたくさんの観光客が乗っていたので、おそらく多くの皆さんがこちらへ向かったのではないかと思われ、やめておきました。
「駅前に鮮魚を扱う市場がある」というのも青森らしいので、帰る前にちょっとだけ覗いてみたのですが、市場があったのが駅のすぐ前にある「市役所庁舎の地下」というのはちょっとびっくりでした。
今回は海鮮ではなく、青森発祥といわれるご当地ラーメン「煮干し中華そば」を食べてみようと思い、駅前にある「長尾中華そば」の青森駅前店を訪ねてみました。
今では濃厚な煮干し味のラーメンもめずらしくありませんが、本場青森の味を試してみます。

店の前にある券売機でメニューを選びます。麺やスープがいくつかの種類から選択できるのですが、これが「基本かな」と思った「こく煮干し」の「手打ち麺」を選びました。

行列などはありませんでしたが、10席もないくらいのカウンターのみの狭い店内はほぼ埋まっていました。


煮干しの効いた塩分高めな濃厚スープが、極太の手打ち麺にからみ、チャーシューやメンマも合っていて、これぞ「煮干しラーメン」と言えるよくできた一杯だと思いました。
ごはんもセルフで無料で食べられますし、麺もスープもいろいろと選択肢が多いので、ラーメン好きにはおすすめだと思います。