【筒石駅】秘境感漂う地下40mの無人駅 新潟のモグラ駅を訪ねる

【筒石駅】秘境感漂う地下40mの無人駅 新潟のモグラ駅を訪ねる

新潟県のえちごトキめき鉄道ひすいラインにある「筒石駅」は、地下40mにある知る人ぞ知るモグラ駅です。

今回、近くをサイクリングで走る機会があったので、この秘境駅を実際に見てみようと思い訪ねてみました。

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めずらしいトンネル内の駅

国土地理院地理院地図より引用

鉄道マニアというわけではないのですが、今回の旅の途中に「珍しいスポットがある」ということで訪ねてみました。

場所は新潟県糸魚川市の筒石地区にあり、かつてのJR北陸本線、現在は第3セクターとして運営されている「えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン」にある無人駅です。

この駅の特徴は、地下40mのトンネル内にあるということです。

何故このような場所に駅があるのか、ということですが、かつての北陸本線が新しいルートに変更になる際、この周辺はトンネルになるため筒石駅も廃駅になる計画だったのですが、地元から存続の強い要望があり、トンネル内に設置することで駅を存続させたということのようです。

調べてみると、トンネル内に設置された駅というのは他にも何ヶ所かあるようで、JR上越線の「土合駅」(群馬県みなかみ町)や 北越急行ほくほく線の「美佐島駅」(新潟県十日町)など、この周辺にもいくつかあるようでした。

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筒石駅

山間の駅舎

筒石駅への入口は、筒石の集落から山に向かって800mほど登った山の中にあります。

けっこうな登り坂で、自転車で行く場合はそれなりの体力や時間が必要になります。ちょっと寄るという感じではないので、それなりの想定で行った方がよいと思います。ちなみに私は、自転車ではなく車で訪れました。

道沿いには、ところどころ案内が出ているので迷うことはありません。

カーブの多い道を登っていくと、道路から分かれて少し下った広場に、プレハブのような簡素な駅舎がありました。

駅の上の道沿いには民家もありますが、駅に滞在した30分ほどの間、誰にも会うことはありませんでした。

待合室には時刻表や運賃表、観光案内などが掲示され、運賃箱も設置されています。

ホームに入る場合には、運賃箱に入場料を入れることや、列車の往来に注意し運転手に向かってフラッシュ撮影をしない、などの注意書きが貼られています。

緊急時連絡用の電話の隣に貼られた、指名手配犯の大きなポスターが、やけに目立つのは気のせいでしょうか。

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トンネル内へ

駅舎の裏にあるトンネルの入口から、地下へ降りていきます。

けっこう長い階段が地下深くへと続いています。

階段を降りるとトンネルは直角に曲がり、今度は長い下り坂のスロープが続いています。

スロープの途中に、直江津方面のホームへの降り口があり、まずこちらへ行ってみます。

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地下40mの駅

再び階段を下って行きます。下の方には待合スペースらしき場所が見えています。

階段を下りきると、イスの並んだ待合スペースがありました。なぜか机も1つ置かれています。

ホームへ出る扉には、「必ず閉めてください」と書かれていますが、トンネル内を通過する列車の風圧を遮るためのようです。

「列車通過時のホーム立ち入りは禁止」との表示もあり、狭いトンネル内の駅では安全への配慮が欠かせないようでした。

監視カメラも付いているようですが、何かあって助けを呼んでも、来てくれるのはいつになるのだろう、と思います。

扉を開けてホームに出てみました。斜め向かい側に、反対方向のホームが見えています。

ホームの幅は狭く2mもないくらいで、ここを列車が停車せずに通過していけば、近くてけっこう怖いだろうと思います。

薄暗いホームには、駅名を示した看板があるのみで、特別なものは何もありません。ホームの先は、真っ暗なトンネルが続いているだけでした。

階段を上って、反対側のホームにも行ってみます。

こちらの待合スペースもまったく同じ造りです。

ホームから見る景色も、反対ホームから見たのとまったく同じものでした。

ダンジョンの探検を終えて地上に出ると、「戻ってきた」という感覚になります。

この立地、この構造は、やはり独特でした。

秘境感あふれる駅で、探検気分で訪れるにはよいかもしれませんが、日常で使うには不便で、安全面でも心配な部分があります。おそらく女性や子どもは一人で利用することはないだろう、と思います。

誰一人会うこともなく地底駅の探検を終え、静かに筒石駅をあとにしました。

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有間川駅

今回の日本海沿岸のサイクリングの際は、鉄道も利用したため、他にもいくつかの駅を訪れています。そんな中で、たまたま訪れたのが「有間川駅」でした。

駅が道路より一段上の高台にあり、駅舎やホームから海がよく見える駅で、どことなく予讃線の下灘駅を思い出させるロケーションです。

けっこう映える写真スポットかもしれないと思ったので、合わせて紹介しておきます。

有間川駅は無人駅で、サイクリングの出発時と戻ってきた時の2回訪れたのですが、出発前に一人だけ乗車していくのを見かけただけで、その後は人影は皆無でした。

おかげで、ゆっくりと駅を見て回ることができたのはありがたかったですが。

ホーム側から入口を振り返ると、古い駅舎の佇まいの中に、切り取られたような青い海の風景が浮かび上がります。

遮断機のある通路を渡って、反対側のホームへ行ってみました。

木造の駅舎の向こうに青い海が広がり、郷愁をそそる光景が広がっていました。

電化されていたり、ホームにフェンスがあったりするのが景観的には少し残念かもしれませんが、海を見渡す絶景スポットの駅だと思います。