東京都心の北部、荒川区~新宿区を走る「都電荒川線(東京さくらトラム)」。
小さくレトロな車両がかわいい地域の足です。
今回は、都電荒川線(東京さくらトラム)の様子を紹介します。
路面電車のある街
路面電車については、それがある街で育ったか、ない街で育ったかで、感覚はだいぶ違うと思います。
路面電車を知らずに育った人は、「電車が道路を走る」ということに、かなり違和感があると思います。
そうでなくても、実際に車で道路を走っている時に隣に路面電車がやって来ると、併走するのはちょっと緊張します。
東京もかつては都内各所を路面電車が走っている街だったのですが、現在はそのほとんどが廃線となり、今では道路上を走行する「併用軌道」は、都電荒川線の一部に残るのみです。
併用軌道では、車も電車も一緒に信号待ちをしていたりしますが、路面電車は車両や駅との距離感が近く、気軽に乗り降りできる「地域の足」という感じがします。
今ではその手軽さが見直され、宇都宮のように新たに路面電車が整備されている街もあるようです。
東京さくらトラム
「都電(東京都電車)荒川線」は、東京に残る唯一の都電路線で、「三ノ輪橋」から「早稲田」の間(距離12.2km、30停留場)を運行しています。
都電荒川線は、「飛鳥山」付近の併用軌道を走っている車両を見たことはあったのですが、これまで乗ったことはなかったので、今回が初乗車でした。
愛称の「東京さくらトラム」は、沿線に桜の名所がいくつかあることにちなんだもののようですが、小ぶりの車両が下町の街中を走る姿はかわいらしく、沿線には名所も多数あるので、生活の足としてだけでなく、街歩きを楽しむ観光客の利用も少なくないようです。
走行区間と乗り方
都電荒川線は荒川区の「三ノ輪橋」から北区、豊島区を通り、新宿区の「早稲田」までを走る全長12.2kmの路線です。
全線を乗り通すと、所要時間はおよそ1時間です。
運行は、朝夕を除く10時から16時の間は時刻表はなく、およそ6~7分間隔で運行しています。
運賃はどこまで乗っても1回170円(IC 168円)で、乗り降り自由な1日乗車券は400円です。
車両はワンマンカーで、前乗り前払いです。
三ノ輪橋を出発
今回は東側から出発することにし、始発駅の「三ノ輪橋停留場」へ向かいます。
レトロなアーチの向こうに、一両だけのかわいい車両が見えてきました。
ホームは乗車専用と降車専用に分かれています。
しばらくすると、降車ホームで乗客が降りた派手なラッピングの施された車両が、乗車ホームに入ってきました。
前側のドアから乗車し料金精算機に170円を入れると、どこまで乗っても同一料金なので、チケットなどはなく、そのままどこでも下車できます。
下車したい停留場が近づいたら、バスのようにボタンを押して知らせ、後側のドアから下りるだけです。
車内は横幅が狭く、列車よりもバスに近い感じです。
「飛鳥山公園」へ向かって、西へ進んでいきます。
途中の「荒川車庫」から、ちょうど電車が出てくるのが見えました。
「王子駅前」を過ぎると、JR線の下をくぐり南へ曲がっていきます。
「飛鳥山公園」を回り込むようにして、明治通りの坂道を登っていきます。
そして、この辺りはこの路線で唯一「併用軌道」になっている部分で、車と一緒に走っていきます。
都電荒川線の軌道の幅は、JRなどで採用されている「狭軌」より広く、新幹線などの「標準軌(広軌)」よりは狭い独特な規格です。
これは、かつての「馬車鉄道」の時代の規格が今に残っているためです。
色とりどりの様々な車両が走っていきます。カラフルな車両の色合いも、この路線の魅力だと思います。
JR山手線と交わる「大塚駅前」で下車しました。
終点の「早稲田」まで行くつもりでしたが、早稲田停留場まで行くと、他の交通機関へのアクセスがよくないので、少し時間が足りなくなりそうでした。
早稲田停留場から移動する場合、東京メトロ東西線の「早稲田」が一番近いと思いますが、それでも早稲田大学を通り抜けて、南側へ数百m歩くことになります。
JRへ移動しながら、大塚駅前から走り去る電車を見送りました。
東京の下町を走る、小さな「路面電車の旅」でした。