観光ルート、舗装林道に続いて、今回はダート林道から魅力的なルートを3つ紹介します。
ダートでありながら適切に管理された初心者にも走りやすい道で、なおかつ絶景に出会えるルートを関東甲信越から選んでみました。
現状では、通行止めで走ることができないルートがたくさんありますが、ここに挙げているのは、今年実際に走ることができるルートです。
ダート林道を走る
山中を走る林道の多くはダートで、舗装されている道が特別と思ったほうがよいと思いますが、近年は整備された道も多くなり、走りやすいルートが増えています。
一方、災害などをきっかけに通行止めが続いていたり、荒れたままで廃道状態になっている道もあったりして、道路状況は本当に様々です。
そんな中から、現状で走ることができる道であり、景観的にも魅力あるルートを選んでみました。いずれも四輪車でも走ることができるルートです。
走りを楽しむ道
元々林道は森林や藪の中を通っていて、林道ツーリストはダートの道を走ること自体を楽しんでいるので、景観についてはあまり期待していないのが普通です。
しかし、そんな中でも場所によっては絶景が広がるルートは数多くあり、そういう道はやはりライダーたちに人気のルートになっています。
ここに挙げたのは、魅力的な景観に加えて、道の整備もされている走りやすい有名なルートなので、初心者の方も走りやすいコースだと思います。
しかし、それなりに荒れた路面であることはまちがいないので、しっかりとした装備(車両)と共に楽しんでください。道の状態がよければ普通の車両で走れないことはありませんが、オフロードバイクまたはSUV車での走行を強くおすすめします。
なお、今回は「行き止まり」になっていて同じ道を引き返すルートは除外しており、すべて通り抜けができるルートを選んでいます。
大弛峠(林道川上牧丘線)
「大弛峠」は長野県と山梨県の県境にある標高2365mの峠で、自家用車で走ることができる日本最高所の峠です。
「大弛峠」からは、徒歩で15分ほど登ると「夢の庭園」といわれる花崗岩の巨石の上を行く遊歩道があり、ここは富士山をはじめ金峰山や遠くアルプスの山々まで見ることができる絶景ポイントです。このあたりの標高は2450mもあります。
峠には舗装された30台ほど駐められる駐車場があり、いつもたくさんの車が駐車しています。山梨県側から観光ドライブで訪れた人や、峠まで車でアプローチを稼ぎ、周辺の山々に登る登山者がいたりするためです。
その他、トイレやバス停、「大弛小屋」という山小屋もあります。
峠の両側で異なる道路状況
「林道川上牧丘線」のダートは長野県側のみで、峠の山梨県側は舗装された道路が続いていて、林道というのは名ばかりの整備された道路です。
長野県側も、ダートではありますが道幅があり、大型の四輪車の走行も問題のない広さなので、四輪で山岳ドライブを楽しむ人にはおすすめかもしれません。
ダート部分は長野県川上村の金峰山荘への分岐の上から峠までの区間で、傾斜はありますが、距離的には10kmほどでそれほど長くはありません。初めてで自信がない場合は、山梨県側から登り、長野県側のダート部分は下るのが走りやすいと思います。
ダート林道の途中ではあまり展望はありませんが、ところどころで金峰山周辺の岩峰を仰ぎ見ることができます。
「林道川上牧丘線」は、かつては埼玉県の「旧中津川林道(現在は秩父市道大滝幹線17号線)」から長野県との県境にある「三国峠」を越え、さらに「大弛峠」を越えて山梨県に出るロングルートの一部として走るライダーも多かったのですが、ここ数年は埼玉県内の秩父市道大滝幹線17号線の通行止めが続いており、関東方面から通り抜けることはできません。
長野県側の麓には、TV番組「ヒロシのぼっちキャンプ」にも登場した「廻り目平キャンプ場」があり、白樺林の広がる美しいキャンプサイトが人気です。
林道川上牧丘線の詳細は、下記の記事で紹介しています。
乙見山峠(林道妙高小谷線)
景観的に印象深いルートは、やはり高い山の稜線や峠を走る道が多いのですが、続いても峠越えのルートです。
新潟県と長野県の県境にある「乙見山峠」。ここを越えるのが、妙高山、火打山といった頸城の山々の麓を通っていく「林道妙高小谷線」です。
峠はトンネルになっているので、新潟県側から来てここを通り抜けると、長野県側ではアルプス方面の展望が一気に開けます。
そのため、景観的には新潟県側から走るのがおすすめかと思います。
妙高高原から小谷へ
ダートコースのスタート地点である「笹ヶ峰キャンプ場」からは、乙見湖周辺の平坦で走りやすい道が続いています。
峠越えにさしかかると道は崖沿いを走るつづら折りの道になりますが、側壁面はコンクリートなどで整備されている部分が多く、落石への対策もしっかりとされているようです。
峠からの長野県側は、山腹を緩やかに下っていく道がずっと続いていて、路面の凹凸も少なく、岩が転がっていることもまれです。林道終点までの4分の1ほど下ると道は舗装になり、かなり山の上の方まで舗装化が進んでいる印象です。
どちらから走っても、終点近くには温泉があるのもありがたいです。
林道妙高小谷線の詳細は、下記の記事で紹介しています。
万沢林道
ここまでの2つは比較的標高の高い峠道でしたが、最後は関東の林道ツーリングでは外せない「万沢林道」です。
万沢林道は全長が21kmほどで、途中に一部舗装部分もありますが、国道353号線の東にある「秋鹿大影林道」と合わせて関東屈指のロングダートコースとして人気があります。
景観的にはほぼすべて林間を走り展望はありませんが、林道の西端部分に通称「万沢ストレート」と呼ばれる1km以上続く真っ直ぐなダートの道が走っており、ここを一気に走り抜ける爽快感は他ではなかなか味わえません。
また林道の始点と終点が、「四万温泉」と「野反湖」であるというのも魅力です。
四万温泉から野反湖へ
ここはやはり、最後に「万沢ストレート」を走るのがよいと思うので、四万温泉からスタートするのがおすすめです。
万沢林道は「走りを楽しむ道」で、ずっと雑木林の中を走り景色を見るような場所はまったくありません。景観的には最後の「万沢ストレート」と、「野反湖」や「奥四万湖」などで楽しんでください。
スタートは四万温泉から新湯川に沿って遡っていきますが、国道353号線からの分岐には案内などはまったくないので、初めての人は地図で確認する必要があるかもしれません。
スタートすると、すぐに林の中のダートが始まります。道はあまり広くないので、四輪車の場合、対向車があるとすれ違いに苦労する場合があります。
道沿いの壁面には、石垣やコンクリートを吹き付けたところもありますが、剥がれ落ちている部分もけっこうあります。
砕石が敷かれた硬い路面がずっと続いていて、所々大きな水たまりなども出てきますが、凹みのある路面などには石を入れて補修したりもされていて、道の整備はしっかり行われているようです。
道の両側がササ藪や雑木林という場所も多く、道幅が狭いため、四輪車だと車両の側面を頻繁に擦ることになるであろうと思われます。
万沢ストレートを走る終えると、間もなく国道405号線に合流し、「野反湖」までは5kmほどです。
万沢林道の詳細は、下記の記事で紹介しています。
おわりに
現在、名の知れた林道でも、通行止めになっているところはかなりの数にのぼります。そして今走れる林道も、いつ通行止めになるかわかりません。
林道ツーリングは「走れる時に走ってみる」「だめなら仕方ない」というくらいの、ゆとりある心構えで行うものだと思います。
そして地図上で、現地で、自分なりに新たなルートを探したり、見つけたりしながら、走って楽しみたいものです。
コロナ禍の今だからこそ、山中や原野の林道を走るという楽しみに目を向ける人もいるかも知れません。感染予防にも配慮しつつ、安全な林道ツーリングを楽しみましょう。