今回の「青春18きっぷの旅」の目的地は愛媛県松山市だったのですが、「なぜ松山なのか?」と問われれば、答えは「道後温泉に入りに行く」ということになるか・・と思います。
もともと「できるだけ遠くへ行こう」と思って始まった旅でしたが、昨年保存修理を終えて新しくなったという「道後温泉本館」を見てみよう、と思ったことも、動機のひとつになりました。
今回は、夜に訪ねた「道後温泉」の様子を紹介します。
道後温泉とは

道後温泉は「日本三古湯」のひとつとされ、万葉集にもその名が登場する歴史ある温泉です。あの聖徳太子が滞在したという記録も残されているそうです。
松山市街のすぐ東に位置し、「道後温泉本館」を中心に多くの旅館やホテルが集まる温泉街は、全国屈指の知名度を誇っています。
明治27年に建てられた現在の本館は、昨年130周年を迎え、その保存修理が5年半に渡って行われてきました。
昨年修理が終了し、全館で営業を再開したという道後温泉本館の様子を見に行ってみました。
宇和島風鯛めし

2日目の夕方に松山に着いた後、まずは夕食を摂るために、松山の繁華街「大街道」を訪ねました。

松山の名物「鯛めし」を提供する店はたくさんあるのですが、今回は地元の老舗すし店で「宇和島風鯛めし(ひゅうが飯)」を食べてみました。
落ち着いた雰囲気の広い店内は、まだ混んではいませんでしたが、地元の方が多い印象でした。
観光地周辺の鯛めし専門店は、観光客の行列ができていることも珍しくないので、ゆっくり食べたい時には、地元で親しまれる店を選ぶのがおすすめです。

鯛めしというと、鯛を米と共に炊き込んで身をほぐしてご飯に混ぜて食べるものが一般的かと思うのですが、今回の鯛めしは「宇和島風鯛めし」と言われるもので、鯛の切り身をだし汁に絡ませ、ご飯にのせて食べる、鯛茶漬け風のものです。
鯛めしを注文すると、食べ方を説明した紙を持ってきてくれるので、初めてでも安心です。

卵の入っただし汁には玉ねぎや海藻も入っていて、鯛と共にご飯にかけていただきます。
鯛の刺身は新鮮で量的にもボリュームがあり、これだけでお腹がいっぱいになりました。
こちらはいわゆる観光客向けの店ではない地元の寿司店ですが、郷土料理を味わう旅姿のお一人様も何人かいて、観光客にも丁寧に対応されている感じでした。
夜の道後温泉

道後温泉へは市電で行くのが便利で、これに乗るのも旅の楽しみのひとつです。

市電の「道後温泉駅」を降りると、道後温泉本館へ続くアーケードの入り口が見え、そのすぐ右側には「坊ちゃんカラクリ時計」があります。

坊ちゃんカラクリ時計

こちらは道後温泉本館100周年を記念して作られたカラクリ時計で、1時間ごとに夏目漱石の小説「坊ちゃん」のキャラクターが登場して場面を再現します。(8:00~22:00)



光に浮かび上がる様子が幻想的で美しく、こちらは夜に訪れるのがおすすめだと思います。


賑やかなアーケード街を進み、一度直角に曲がると、その先に「道後温泉本館」が見えてきます。

道後温泉本館

本館前は、浴衣姿の観光客が記念写真を撮っていたり、入館待ちの行列ができていたりして、たくさんの人で賑わっていました。
営業時間は6:00~23:00、料金は入浴だけなら大人700円(60分)ですが、サービス内容によって料金は変わります。

人ごみを離れ、本館を一回りして外観を見てみました。

「道後温泉本館」は国の重要文化財に登録された歴史ある建物ですが、建造物だけでなく温泉という文化を今に伝える貴重な施設です。

窓から光が漏れ、本館の姿が美しく浮かび上がります。夜の温泉の風情もよいものです。

どのように変わったのか内部の様子はわかりませんでしたが、「ザ・温泉」の雰囲気とおもてなしは変わっていないのだろうと思います。
空の散歩道(足湯)

本館の南側の丘の上に「空の散歩道」という遊歩道ができ、足湯もあるようなので行ってみました。




ライトアップされた遊歩道を登ると、駐車場に隣接した温泉街を一望するテラスに「足湯」がありました。(ここは無料で利用できます)


足湯からは、すぐ目の前に「道後温泉本館」が見えます。


本館を見下ろすと、入館待ちの列が長く延びていました。
「冬の夜なのに人気」なのか、「冬の夜だから人気」なのかはわかりませんが、並ぶ気にならなかったので、こちらでの入浴はせず、他の施設へ向かうことにします。
飛鳥乃湯泉と椿の湯

道後温泉の公共浴場には、本館の他にも「飛鳥乃湯泉」と「椿の湯」があります。
「飛鳥乃湯泉」は飛鳥時代の雰囲気を取り入れた建物で、こちらには露天風呂もあり、本館と同じような休憩やおもてなしもあります。もう一軒の新しい本館といった感じです。
営業時間は6:00~23:00、料金は入浴だけなら大人610円(90分)ですが、こちらもサービス内容によって料金が変わります。

さらにもう一軒「椿の湯」があり、こちらは地域の方が通う地元の入浴施設といった感じで、特別なものはありませんが、利用料金も安いので、温泉を楽しむだけならこちらが手軽です。
営業時間は6:00~23:00、料金は大人450円(1時間以内)です。

三館とも泉質は変わらず、すべて「源泉かけ流し」です。道後温泉の泉質は癖がなくとても入りやすいので、どなたにもおすすめだと思います。

温泉で温まってから駅へ戻ると、カラクリ時計の周りには、遅い時間にもかかわらずまだけっこうな人出がありました。



道後温泉から市の中心部までは3kmほど。体も温まったし「歩いて帰ろうか」とも思いましたが、夜の市電の郷愁あふれる佇まいに惹かれ、電車に乗り込み帰っていきました。


