中央アルプスの盟主「木曽駒ヶ岳」は、2956mという標高にもかかわらず、初心者でも登りやすい山として知られています。
その理由は、ロープウェイで一気に1000m近く登ってしまうため、ロープウェイ終点から2時間程度の歩行で頂上に立つことができるからです。
今回は、ロープウェイを利用した「駒ヶ岳」「宝剣岳」の日帰り登山(8月)の様子と、自家用車利用の場合の、駐車場や交通機関の利用案内も合わせて紹介します。
アプローチ

菅の台バスセンター ~ しらび平
まず、ロープウェイ乗り場のある「しらび平」をめざしますが、交通規制があるため、自家用車では「しらび平」まで行くことはできません。
路線バスに乗り換えて行きますが、自家用車の場合「駒ヶ根IC」を降りてすぐ近くにある「菅の台バスセンター」に駐車し、路線バスに乗り換えるのが便利です。
駐車場
「菅の台バスセンター」には、300台収容の24時間営業(機械式)の駐車場があり、満車の場合には、臨時で近くの駐車場がさらに300台分開場しますので、駐車場に困ることはないと思います。
駐車料金は、普通自動車1日(24時間)800円、バイクは1回200円です。
路線バス
「菅の台バスセンター」から「しらび平」までの時間は、およそ30分です。
時刻表は、時期や曜日によって異なりますので、カレンダーで確認してください。最も早い始発は、5時15分(7月~11月夏ダイヤの特定日)です。
「菅の台バスセンター~しらび平」間の運賃は、往復で大人1,660円、小人840円です。
こちらの「乗車券発売所」で、バスのチケットだけでなく、ロープウェイの乗車券を購入することもできます。

ロープウェイの概要

中央アルプスの通称「千畳敷カール」(標高2,612m)まで架けられた山岳ロープウェイ(乗車定員61人)で、運転所要時間7分30秒で高低差950m(日本最高)をかけ上がります。
また、ロープウェイは通年営業で冬も運行していますので、冬期間にスキーや冬山登山を楽しむという利用もできます。
時刻表
しらび平駅の発車は、バスの到着に合わせて運行されます。基本は毎時00分、30分発となっています。
運賃
「しらび平~千畳敷」間の往復で、大人2,540円、小人1,260円です。
ここまでの運賃等を合計すると、大人1人で自家用車を駐車し、千畳敷カールまで往復すると、ちょうど5,000円かかることになります。
中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイHP https://www.chuo-alps.com/
※掲載されている情報は、すべて2020年9月時点のものです。
ロープウェイで千畳敷カールへ

まずはロープウェイに乗って、標高2,612mの千畳敷カールをめざします。高度差950mを歩かずに登れるのはありがたいことです。

千畳敷から乗越浄土へ


ロープウェイ千畳敷駅を出発し、まずは稜線をめざします。「乗越浄土」まで、高度差約250mの登りです。





宝剣岳の麓方向に向かって、カールの中腹を横切っていきます。雲海の向こうには、富士山が頭を出していました。


カールのトラバースが終わると、「八丁坂」の登りが始まります。岩峰の間に見えている鞍部をめざして、石のゴロゴロした道を登っていきます。



登山道の周囲にはお花畑が広がり、様々な花が咲いていました。


高度が上がって、岩峰が近づいてきました。見下ろすとカールの広がりが見渡せます。




岩峰の間を進むようになると、乗越浄土まではあと少しです。



やがて空が広くなり、「乗越浄土」へ飛び出します。乗越の北には、なだらかな「中岳」が、南には急峻な「宝剣岳」が聳えています。
千畳敷駅からここまで、およそ50分の道のりです。
乗越から駒ヶ岳へ


ルート最大の坂道を登り切り、この後は気持ちの良い稜線歩きになります。中央アルプスの盟主「駒ヶ岳」をめざして、中岳を登っていきます。


広々とした緩やかな登山道を登っていきますが、頂上付近になると、岩だらけの道になってきます。


頂上は大きな岩で、その傍らに「駒ヶ岳神社」が祀られていました。



北側にはすぐそこに「駒ヶ岳」が、また西側には、雲海の向こうに「御嶽山」が聳えています。北の稜線の向こうには、北アルプスの山々も見えていました。


中岳を下り、今度は駒ヶ岳に向けて、石のゴロゴロした広い稜線を登っていきます。
標高は2,800mを超えていますが、なだらかで広々とした稜線が続き、展望も素晴らしい開放感にあふれた道です。


傾斜が増し、「木曽小屋」を見下ろすようになると、間もなく頂上です。


朝の時間帯ですが、すでに山頂はたくさんの人々で賑わっていました。


なだらかな山頂には、伊那側と木曽側にそれぞれ「駒ヶ岳神社」が祀られています。古くから里人の信仰を集めてきました。

下山の途中、岩の間に「コマクサ」が咲いていました。
乗越浄土から駒ヶ岳山頂まで、およそ50分です。
宝剣岳へ

稜線を「乗越浄土」への分岐まで戻り、今度は「宝剣岳」をめざします。宝剣岳はすぐ目の前に聳えています。







岩の上の道を登っていきます。ところどころ鎖などもありますが、ルートはしっかりしており、歩行に心配な場所はありません。
岩の折り重なる尖端に頂上がありました。
南側には「空木岳」方面への稜線が続き、北側には宝剣岳とは対照的な、なだらかな駒ヶ岳がどっしりと裾野を広げています。分岐から頂上まで、20分ほどです。



宝剣岳を後にし、下山を始めます。
千畳敷に戻ってくると、周辺には観光客などたくさんの人が訪れていました。ロープウェイの混雑を避けるため、午前中にしらび平へ下山しました。
注意点
登山
体力的な負担が少なく、景観も素晴らしい人気の登山ルートです。
ルート上の山小屋も多く、子どもから年配者まで3000m近い山々に比較的安全に登ることができる魅力的なコースですが、高山であることに変わりはなく、しっかりした装備のもとで出掛けるのは言うまでもありません。
山小屋は、乗越浄土周辺に「宝剣山荘」「天狗荘」、中岳~駒ヶ岳間に「頂上山荘」、木曽側の頂上直下に「木曽小屋」と多数あります。
「宝剣岳」へは、距離は短いですが岩場の道になります。特に難しくはありませんが、岩稜歩きに不安のある方は避けた方が良いかも知れません。
交通関係
駐車場は広く、臨時駐車場もあるので心配はないと思います。ただし乗り換えるバスの始発時刻は時期や曜日によって頻繁に変わるため、朝の予定を立てるためにはしっかり確認しておく必要があります。
ロープウェイは観光客がメインですので、シーズン中の昼間は大変混み合います。登山者は、朝早い乗客が少ない時間帯に登ることが多いと思いますが、早めに登り、早めに下るのが混雑を避けることになります。
周辺情報
ソースカツ丼
駒ヶ根名物と言えば、最初に挙がるのが「ソースカツ丼」。駐車場周辺にも有名店があります。
まずは「明治亭」。駒ヶ根ソースカツ丼の代表店として軽井沢や長野駅にも支店があります。「中央アルプス登山口店」は菅の台駐車場から徒歩数分です。
甘めのソースがたっぷりかかった、ボリュームのあるカツは登山後にぴったりです。

「明治亭」の道を挟んだ向かいには、こちらも人気の高い「ガロ」があります。
そそり立つカツが有名ですが、ビジュアルだけでなく味も評判です。このカツ丼を目当てに駒ヶ根を訪れる人も多く、いつも大変混んでいるので、登山帰りのついでに寄っていく、というのは難しいかも知れません。

営業時間 11:30~14:00 17:30~21:00(LO20:30 )
定休日 毎週火曜日 毎月第1・3水曜日
その他、駒ヶ根周辺では、どこの食事場所でもたいてい「ソースカツ丼」がメニューにあります。
こまくさの湯
登山帰りの入浴施設で、最も近いのが「早太郎温泉こまくさの湯」。こちらも駐車場から徒歩圏内です。

最近は「ゆるキャン△」のロケ地になったことで、新たな観光客も増えているようです。
新型コロナウイルスの影響で、営業時間等が変更になっているようですので、HPで確認してからお出かけください。
※掲載されている情報は、すべて2020年9月時点のものです。

