関東のダート林道の中でも人気の「万沢林道」。21kmにわたる長さと、通称「万沢ストレート」と呼ばれる1km以上続く真っ直ぐなダートの走りが魅力のルートです。
四万温泉と野反湖を結ぶ山深いルートですが、整備も適度に行われておりダートの走りを満喫できます。
今回は、夏の万沢林道の様子を紹介します。
万沢林道の概要

「万沢林道」は、群馬県北西部を東西に走るダート林道(一部舗装あり)で、距離はおよそ21kmです。
国道353号線の東側にある「秋鹿大影林道」と合わせて走ると34kmに渡る関東屈指のロングダートコースになります。
全行程が樹林の中を走り展望はまったくありませんが、関東から近く「万沢ストレート」などの他にはない魅力的な走行区間があるため、この走りを求めて多くのライダーがやってきます。
道は「四万温泉」へ向かう国道353号線と「野反湖」をめざす国道405号線を結んでおり、どちらも人気の観光地のため、これらを巡る道としての魅力もあります。


新湯川を遡る

今回は四万温泉をスタートし、国道405号線との合流点まで西に向かって走ります。
国道353号線を登って来た場合、「新湯大橋」の手前で左折します。ここには案内板はなく、万沢林道に関する情報は何も表示されていません。

少し行くと、四万温泉の温泉街からの道が合流し、民家の間を抜けると「万沢林道起点」の標識が立っています。


すぐにダートが始まり、ゲートを通り過ぎて林道に入ります。

道は4輪車が走れる道幅がありますが、すれ違いは難しい部分が多く、対向車があった場合、所々にある広くなった場所で待機する必要があります。



やがて新湯川の右岸を離れて山の方へ登り、樹林の中のダートを走っていきます。

終始林の中を走るので、途中にある橋などが現在地を把握する目印になります。
「深仙橋」を渡って新湯川の左岸に移ると、少し登りになり、曲がりくねった道を折り返しながら登っていきます。





側壁が石垣になっている部分もあり、けっこう整備のされた道だなと思って走っていると、突然舗装部分が現れました。
しばらく走りやすい舗装の道が続き、道は稜線に沿ったなだらかな登りになります。


坂を登り切った峠には「11.5km」の標識(野反湖側からの距離)があり、小さな広場になっていました。


峠を越えて

11.5km地点の峠を越えると、道は下り坂になります。舗装路面が続いていますが、道の両側はササ藪が茂っています。

しばらく進むと再びダートが始まりました。


相変わらず、展望はまったくありません。藪の中のダートを緩やかに下っていきます。

途中に白砂川上流方向への林道の分岐がありますが、こちらは整備はされておらず入口のゲートは閉鎖されています。


「矢倉発電所白砂取水口」の分岐を過ぎると「6.5km」の小さな標識があり、国道405号線まであと6kmちょっとです。


途中から舗装路になり、白砂川に向かって下っていくと工事車両なども見られるようになってきます。

白砂川を渡ると、万沢ストレートはもうすぐです。
万沢ストレート

川沿いから登っていくと、道はまたダートに変わり「砂利採取場」入口前に出ます。ここから先はトラックが走るため、ダートですが道幅も広くよくならされた道です。


やがて道は一直線になり、林の中を見渡す限り真っ直ぐな道が続いています。「万沢ストレート」の始まりです。
何台かの車両が通っていきましたが、皆けっこうなスピードを出しています。ダートですが路面が平坦なので、スピードを緩めず一気に走り抜けることができます。
そして自分も、この道がもっと続くといいなと思いながら、あっという間に走り抜けました。


万沢ストレートが終わると、道は間もなく国道405号線に合流します。分岐に「万沢林道起点」の標識が立っています。
ここから野反湖までは国道405号線で5kmほどです。

道路情報
7月の平日の昼頃の走行でしたが、数台の2輪車や4輪車に出会ったので、天候のよい日であれば誰かしらツーリングに来ている感じです。途中には施設等は一切ないため、怪我や車両トラブルの際は救援を呼ぶことが困難ですが、誰にも会わないということはないだろうと思われます。
出会った4輪車の中には軽の普通乗用車もあり、普通車で走れないことはないと思いますが、路面はそれなりに荒れている部分も多く、オフロードバイクあるいはSUV車での走行を強くおすすめします。

路面はだいたい写真のような感じで、石の転がる硬い路面が大部分ですが、場所によっては水たまりなどもあります。

道が傷んでいる部分には手が入っており、日頃からそれなりの整備が行われているようでした。

道の途中では展望がないため、現在の位置は橋や峠などの特徴のある場所で把握する感じです。
コースはほぼ中間地点に11.5km地点の標識のある「峠」があり、ここを境に両側に緩やかに下っていきます。(峠に名称があるのかは不明です)

舗装部分はこの峠を挟んだ部分と、白砂川から東に向かって少し登ったあたりの2カ所に分かれていて、それなりの距離がありますが、ダートを走る醍醐味を失うほどではありません。
「万沢ストレート」は工事関係車両のための道なので、時々トラック等が走っていますが、通行で特に問題になることはないと思います。ここを最初に走るか、最後に走るかで走り始める起点が変わりますが、個人的には最後に走るのが好みです。
今回、舗装区間の東側部分の途中で、林の中に小熊を見かけましたが、こちらに気づくと慌てて藪の中に走り去って行きました。クマに対する警戒度については分かりかねますが、一応居るらしいということは承知しておいた方がよいかも知れません。
準備をしっかりして、安全で楽しいツーリングを楽しみましょう。


