全国に広がる国道の中には、ちょっと変わった道もあるのですが、青森県の北端、津軽海峡に面した龍飛岬には、徒歩でしか通れない国道があります。
徒歩部分は階段状になっているため、通称「階段国道」の名前で知られています。
今回は、全国唯一の珍しい国道、「階段国道」の様子を紹介します。
本州北端を走る国道339号線

緯度的には、下北半島を通る国道279号線が、本州最北端の国道ということになりますが、もう一方の本州の北端、北海道新幹線も通る津軽半島を走るのが「国道339号線」です。
国道339号線は、青森県弘前市から龍飛岬のある外ヶ浜町まで、津軽半島を縦に貫く道ですが、その中で「階段国道」と言われるのは、龍飛崎の海岸と灯台の立つ高台を結ぶ数百mの区間で、ここは徒歩でしか通ることができません。
国道339号線は階段国道だけでなく、それ以外の部分も走りがいのあるルートで、小泊から龍飛崎へ向かう通称「竜泊ライン」は日本海の荒波が打ち寄せる断崖に沿っていて、いかにも「さいはての道」といった風情を漂わせています。
なぜ階段国道ができたのか
バイクも自転車も走れず、徒歩でしか通れない道が「なぜ国道になったのか」ということについては諸説あるようですが、どうもこの歩道を暫定的に国道としておいて、後ほどしっかりした自動車の通れる道路を建設するつもりだったものが、その後珍しい国道として有名になったのでそのまま残した、というのが真相のようです。
けっこうな傾斜のあるつづら折りの道ですが、高台にある灯台と、麓にある龍飛の集落を結ぶ最短ルートではあります。
龍飛埼灯台の周辺には青函トンネル建設の基地があったりして、龍飛崎の上下を結ぶ広い道路も通っているので、国道が階段でも車の行き来に不便はありません。
階段国道を行く


弘前から北上していくと、道は「十三湖」周辺で海岸沿いに出ます。
小泊の集落を過ぎると周囲には何もない道になり、左側には日本海が広がります。通称「竜泊ライン」の始まりです。
竜泊ライン


竜泊ラインの前半は海岸に沿った絶壁の道で、後半は山に向かって登るカーブが連続する道です。
ここは冬季は通行止めになるような自然環境の厳しい場所なので、この道も一般の業者ではなく、自衛隊が建設工事を行っています。

ルート中の最高地点に「眺瞰台」があり、周囲を展望することができます。
ここからは、遥か北方に龍飛崎も見えています。


階段国道下側


龍飛の集落に入って進んでいくと、竜飛今別漁業協同組合の向かいに、案内板が立っています。
階段国道の入口は、民家の間にある普通の路地といった感じで、案内板がなければ気づかないような場所です。


見上げると、背後の山に向かって急傾斜のつづら折りの道が続いています。


元々、地域住民の生活のための道であったことがうかがえます。

道の途中には、しっかりと「国道339号線」を示す表示板が立っていました。
階段には手すりなども整備され、石畳の遊歩道といった感じで、沿道にはあちこちにアジサイが美しく咲いていました。
灯台のある高台までの距離は388.2m、標高差約70mの道のりで、けっこう登りがいのある道です。
階段国道上側

高台側の入口の様子です。こちらは大きな看板が設置されていて、周囲も開けているため、下側よりもわかりやすいと思います。


夏の階段国道は、沿道のアジサイに埋もれるかのように、麓に向かって続いていました。


高台の周辺には、灯台をはじめ青函トンネル関係や観光関連など様々な施設があり、観光で訪れるのは主にこちら側だと思います。
龍飛崎

龍飛崎で最も標高の高い、灯台周辺へやってきました。

「龍飛埼灯台」は内部の見学などは行っていません。

灯台の先にある展望台は、北海道を間近に見ることができる場所ですが、この日は雲が広がっていて、北海道の姿を見ることはできませんでした。

周辺の海は断崖絶壁の岩場です。

灯台の一段下に「津軽海峡冬景色」の歌碑があり、ここも展望台になっていて観光名所といった場所です。

周辺には「津軽海峡冬景色」の曲が流れ、観光客が次々と訪れて記念撮影をしていきます。


向かいにある駐車場には、この日も名物のお土産屋さんが店を開いていました。

龍飛岬の下には「青函トンネル」が通っていて、ここはトンネル建設の拠点だった場所でもあります。
歌碑から少し下った所に「青函トンネル記念館」があり、こちらでは様々な展示見学とともに、海底下140mへケーブルカーで下って、実際のトンネル内を体験することができます。かつて在来線が走っていた頃の「竜飛海底駅」の周辺です。(青函トンネル記念館は、冬期間は休館になります)
「階段国道」は、徒歩でしか通れないということに加え、本州の北端というそのロケーションが、訪れる人の郷愁をそそる特別な道でした。

