【三国峠】旧中津川林道 埼玉長野県境の峠へ行ってみた

三国峠 旧中津川林道

かつて秘境ツーリングルートとして知られた「中津川林道」の先にある奥秩父の「三国峠」。

埼玉県側は通行止めになって長い時間が経つのですが、長野県側からは「三国峠」まで行くことができるので、様子を見に行ってみました。

今回は、長野県側の林道と、現在の「三国峠」の様子について紹介します。

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旧中津川林道

三国峠から八ヶ岳方面を望む

「三国峠」という名の峠は全国に多数ありますが、今回訪れたのは、埼玉県秩父市と長野県川上村の間にある峠です。

三国峠という名の由来は、すぐ近くに聳える「三国山」が、埼玉、群馬、長野の3県の県境になっているためです。

中央分水嶺でもあるこの峠の標高は1740m。埼玉県と長野県を直接結ぶ小さな峠ですが、林道ツーリストにはけっこう有名な峠です。

ここに至る「秩父市道大滝幹線17号線」は、かつては「中津川林道」と呼ばれたダートの林道で、ライダーたちに人気の秘境ツーリングルートでした。(峠の長野県側は傷んでいますが舗装路です)

しかし、2019年の台風災害により、秩父市道大滝幹線17号線は崩落などが発生して通行止めになってしまい、以来ずっと閉鎖された状態が続いています。

通行できなくなってから、長い時間の経った林道の様子を見に行ってみました。

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川上村へ

JR野辺山駅

今回のスタートは「JR野辺山駅」です。ここから県境の峠をめざします。

白い部分がレタス畑

JR小海線に沿って走って行くと、周囲には見渡す限りの「レタス畑」が広がってきます。

川上村は「レタス生産量日本一の村」で、この先もかなり山の上の方までレタス畑が広がっていました。

八ヶ岳を振り返る
道から見える瑞牆山と金峰山

背後には「八ヶ岳」、レタス畑の向こうには岩峰が連なる「瑞牆山」と「金峰山」の五丈岩も見えています。

峠までの最後の補給地かも
川上村役場

村の中心部周辺にはコンビニもあり、補給に困ることはないと思います。

村役場はたいへん立派な建物で、さすがレタス農家の平均年収が2500万円といわれる豊かな村だと思いました。

「三国峠」もそうですが、あの「大弛峠」へ続く林道も川上村が管理しており、こうした道を維持・管理してもらえるのも、この豊かさがあってのことなのかもしれません。

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村内には道路情報が掲示されていますが、この日はすべて「通行止」の表示になっていました。

しかし村のホームページで確認すると、6月以降はどちらの道も「通行可能」となっていて、通行に問題はありませんでした。

千曲川(信濃川)の源流

村内を流れる川は、日本一の大河「信濃川」の最上流で、三国峠周辺が源流ということになります。

分岐には大きな案内板があるので、道に迷うことはありません。

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川上村道1-21号線

国土地理院地理院地図より引用 地理院タイルに赤線等追記して掲載

分岐を過ぎ、いよいよ山道に入ったかと思ったのですが、実際にはその先にもレタス畑が広がっていて、けっこう山の上の方まで開発が進んでいる感じでした。

この辺りの峠はどこもそうですが、長野県側は傾斜が緩やかで割と上部まで開発の手が入っており、関東側は傾斜が急で山が深いといった印象です。

まだレタス畑は続く

路面は峠まで舗装されていますが、けっこう傷んでおり、10cmくらいの段差は至る所にあります。4輪ならSUV車が無難だと思います。

林道相木川上線は立入禁止
ところどころ舗装が剥げている
通行止めのなごり
落石のあと

道端のところどころに、落石などが転がっていますが、通行に支障があるような部分はありませんでした。

伐採地から麓を望む

途中には広い伐採地などもあり、けっこう上部まで日常的に人手が入っている感じでした。

上部は明るい道

峠道の上部は日差しの届く明るい道になり、そのまま大きな広場のある「三国峠」に到着しました。

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三国峠

峠の長野県側は広場になっていて、国立公園の表示板や案内図などが設置されています。

峠からは、晴れていれば八ヶ岳の姿を見ることもできます。

長野県側に続く道
埼玉県側に続く道

広場に車を駐め、ここからは歩いて埼玉県側へ向かいます。

石の転がる狭い峠道を越えて埼玉県側に出ると、いくつかの掲示板の向こうに、「全面通行止」の表示が見えてきました。

表示板やトイレの建物は以前のままですが、この先にはもう5年近く車両が入っていません。

「旧中津川林道」は一面に草が生えて緑色になり、道端の木々も生い茂り、自然に戻りつつあるようにも見えました。

     

「ここを再び、車両で走れる日は来るのだろうか・・・」

     

このまま、国道291号線のように、自然に埋もれ消え去っていく道になるのかもしれない・・・。そんな想いが頭をよぎりました。

「もうここへ来ることはないかもしれない・・・・」

何となくそう思いながら、車へと戻っていきました。

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道路状況

「三国峠」を越えるこのルートは、現在長野県側のみ通行可能です。

長野県側は山林作業などで人の手が入っているので、通行する車両もあり、当面通行止になることはないだろうと思われます。

沿道の案内板の情報は古い場合があるので、道路状況は村のホームページを確認するのが一番確実だと思います。

    

長野県側の道は舗装されていますが、それなりに荒れていて、10cm程度の段差はどこにでもありました。

今回は晴天が続いた後の、道が乾いた日に走っているので、普通車でも走れないことはない状態でしたが、それでも写真のような水溜まりやぬかるみもあり、天候によってはもっと荒れることも予想されるので、オフロードバイクかSUV車での走行を強くおすすめします。

また、長野県は6月に入り「ツキノワグマ出没注意報」が全県に発令されているそうで、クマによる人身事故が続いているようなので、十分注意する必要があります。

今回はクマも心配なので、陽の高い時間帯に軽のSUV車で走りました。道は狭いので、できれば大きな車両は避けた方がよいかと思います。

朝夕のクマの活動が活発な時間帯や、単独での行動は避けるのが無難です。

また、周辺の山は山菜採りなどの入山が禁止されているので、林道を走ることだけを目的にして、誤解を招かないようにしたいものです。

安全に配慮し、事故のない林道ツーリングを楽しみましょう。