長野県と山梨県の境にある「大弛峠」は、ダート林道のツーリングを楽しむライダーたちに人気ですが、一般ドライバーや登山者も数多く訪れています。
その理由は、車で行ける場所としては標高が日本一高いという点にあります。
登山者にとっては、山梨盆地のランドマークとも言うべき「金峰山」や「国師ヶ岳」「甲武信ヶ岳」といった山々への登山の最短ルートのスタート地点で、ここを拠点にすれば、比較的簡単に2500m以上の山々に登れます。
そのため、たくさんの登山者も車で大弛峠にやってきます。(周辺の山への登山については、別の記事で紹介しています)
登山をしないドライバーにとっても、峠へのドライブに数十分の歩きを足せば、富士山など周辺の山々の素晴らしい展望を楽しむことができるので、この峠へのドライブはなかなか魅力的です。
今回は峠までの道路状況を中心に、大弛峠越えについて紹介します。

林道川上牧丘線を走って大弛峠へ

大弛峠とは
長野県川上村から山梨県山梨市を結ぶ林道川上牧丘線の最高地点「大弛峠」は両県の県境にあり、標高が2,365mで自動車の通れる峠としては日本で最も標高が高い場所になります。
国内最高所の峠ということで、車やバイクで林道を走りたい人たちがツーリングにやってくる峠として人気ですが、その他にも、登山のために訪れる人が大変多い場所でもあります。
登山口としての利用者が多いため、峠付近は登山者が駐車していった車両がいつもあふれていて、駐車場所を確保するのに苦労する可能性が非常に高いです。
林道へは、長野県側は川上村から、山梨県側は山梨市から入りますが、通り抜けるのに数時間かかり、食料等の補給はほぼできないので、事前にそれなりの準備が必要です。(峠に山小屋はあります)
長野県側からのアプローチ
長野県側から入る場合、小海線沿線から千曲川をさかのぼって川上村の谷に入り、県道68号(梓山海ノ口線)を進みます。
秋山諏訪神社前を右折し、金峰山川に沿って進むと右手に鋭く聳える「屋根岩」の岩峰群が見えてきます。

駐車場のある広場に出て、分岐で「金峰山荘」へ向かう道と分かれさらに進むと、道は山道となり、やがて未舗装となります。



つづら折りの登り道を登り切り、しばらく行くと道は大きく右にトラバースしながら登っていくようになります。
登るにしたがって路面が荒れ、大きな岩を避けながら注意して進んでいきます。段差があり車高の低い車だと腹を擦るのではと思うような箇所も頻繁に出てきます。
所々で視界が開けて岩峰などが見えますが、ほぼ樹林の中のダートをひたすら登っていきます。
やがて道のまわりに岩がゴロゴロしてくると、大弛峠が近いです。

峠に到着すると、雰囲気は大きく変わります。
峠には舗装された駐車場が広がり、トイレやバス停もあって人々で賑わっています。
峠からの山梨県側は、すべて舗装道路になります。
峠から下り始めると、道添いには路上駐車の車が延々と続いており、道幅が狭くなっているので対向車に注意し、カーブに気をつけながら下る必要があります。
ところどころ、金峰山の五丈岩を見上げながら下っていきますが、峠から街まではけっこう距離があるので、時間には余裕をもって走りましょう。
やがて琴川ダム湖が見えてきたら、ここを通るクリスタルラインや林道の続きなどの複数の下山ルートに分かれますので、好みのルートを走って甲府盆地に下ります。(山梨県側の情報は、大弛峠パンフレット参照)

峠の駐車場の状況
峠の山梨県側には、舗装された道路に隣接して約30台分の駐車場があります。
その他にバスなどの乗降場所となる広いスペースがありますが、こちらはもちろん駐車はできません。

峠に設置された駐車場だけではまったく足りないため、周辺では路上駐車が頻繁に行われています。
山梨県側では、駐車禁止の掲示がある場所も含め、峠から数百mに渡って路上駐車が続いています。

長野県側は未舗装の上、大きな石がゴロゴロしている路面なので、車高の低い車や自信のない方は入り込まない方が無難ですが、それなりに駐車している車両はあります。
こちらの方が入り込んでいる車が少ない分、峠に近い場所に駐車できると思います。

確実に駐車をする方法はありませんが、できるだけ早い時間に到着することで可能性が高まります。
峠には車中泊をする人や大弛小屋に宿泊する人もいますので、夜間もそれなりに駐車している車両があります。
周辺施設
駐車場にトイレが1カ所あります。周辺には他にトイレはありません。
峠の国師ヶ岳側に「大弛小屋」があり、宿泊や食事が可能です。
施設としては「山小屋」で登山者の利用が基本ですが、ツーリストの補給も可能です。



道路状況
峠を境に、両県の道路状況は大きく異なります。
山梨県側は全面舗装された道(県営)であるのに対し、長野県側はけっこう路面の荒れた部分があるダートの道(村営)が終始続いており、車高の低い一般車両での通行はおすすめできない状況です。
ここを走るのであれば、SUV車での走行を強くおすすめします。
このような状況ですので、林道ツーリングを目的とせず登山のアプローチとして使うなら、山梨県側一択になると思います。
通行できる時期は要確認!
冬期は閉鎖されるため、通行できるのは例年6月~11月になりますが、川上村側は2020年7/1現在、通行止めが続いており、開通時期は示されていません。
林道ツーリングはどこもそうですが、時期は夏以降から秋口までと考えておくのがよいと思います。
川上村ホームページの村内道路情報を見ると、このような表示が!(2020年6月)
大弛峠【川上村~山梨県山梨市】6/10現在通行止め
山梨市(旧牧丘町)への標高2,360メートルの峠
通行可能期間
路面状態が悪いため当面の間通行止め
林道では、いきなり通行止めになるのは日常茶飯事です。出かける前に、直前情報を必ずチェックしましょう。
おわりに
林道は一般の道路とは違って整備されていない部分が多く、車両トラブルの可能性も高くなります。
救援をすぐに呼ぶことができない場合があるので、それなりの備えをしておいたり、いざとなったら歩いて下山するといった覚悟も必要です。
一般のドライブとは状況が違うことを十分理解し、しっかり準備した上で走りましょう。