今回は、「岩櫃城跡」を訪ね、その後「岩櫃山」に登頂するハイキングの様子を紹介します。
真田幸村も一時期を過ごしたといわれる岩櫃城は、大河ドラマ「真田丸」ではオープニングに登場し、岩山の頂上に立つ天守の姿が多くの人の目を引きました。
しかし、これはCGを用いた創作で、実際の岩櫃城は岩櫃山の山頂ではなく、麓にありました。
群馬県山間部を東西に流れる吾妻川は、近年「八ッ場ダム」で注目をあびましたが、この川に沿った道は、古くは「真田街道」と呼ばれ、群馬県沼田市と長野県上田市にある真田氏の二つの城を結ぶ道として重要な交通路でした。
その二つの所領の中間にある岩櫃山の麓にあったのが「岩櫃城」です。
アプローチ
高速利用の場合、「渋川伊香保IC」を下り、国道17号線を経て国道353号線で西に向かいます。
吾妻川やJR吾妻線に沿った道を進んでいくと、吾妻町中之条の市街地で国道145号線に入ります。
国道が高架橋になる手前に左に分かれる道があり、「岩櫃山登山口、岩櫃城跡」と書かれた案内板があるので、案内に沿って左折します。
長野原方面から来て、ここで右折できなかった場合は、県道28号高崎東吾妻線に入って西に進みます。
中之条の市街地を抜ける手前で、前方に国道145号の高架橋が横切るのが見えてきたら、「大戸口」信号の手前にある、「岩櫃城跡」の案内板で右折します。


小さな看板なので、気をつけていないと見落としてしまいそうです。
この道(町道荒井・大宮線)に入った後は、案内板に従って進んでいきます。

高架の国道145号線の下をくぐり、山の方へ入っていきます。



5分ほどで、岩櫃山の麓にある広い駐車場に到着します。

車道はまだ続きますが、この先には駐車場はありません。
駐車場から100mほど車道を登ると、まだできたばかりのような新しい観光案内所があります。


内部には展示物やパンフレットが置かれていて、常駐している担当の方もいました。


岩櫃山のジオラマや、続100名城のスタンプなども置いてありました。
こちらには自販機が設置されているので、飲料水の補給ができます。
岩櫃山登山口

案内所のすぐ上が岩櫃山の登山口(平沢口)です。岩櫃城跡への入口でもあります。
「岩櫃城跡」は国指定史跡で、「続日本100名城」にも名を連ねています。

登山口に「三合目」という表示がありますが、周囲には集落があり、まだ人里です。
岩櫃山の登山道は、JR吾妻線「郷原駅」の裏から岩峰に沿って登る道もありますが、こちらは急登であったり駐車場が少なかったりするため、平沢口からが最も登られているルートのようです。


岩櫃城跡

登山口を入ると、すぐに「尾根通り」と「沢通り」の二つの登山道の分岐があります。
まず「岩櫃城跡」へ行くので、左の「尾根通り」へ進みます。


林の中のなだらかな登り坂を通り抜けると、平坦な広場に出ます。ここが「中城跡」です。



中城跡を過ぎると、堀に沿った一直線の道を「二の丸」へと登っていきます。



登り切って尾根上へ出ると、小さな広場があり、ここが「二の丸」です。
ここまで来ると、周囲の景色を見渡すことができるようになります。


いったん下り、その先を登ったところの東屋のある平坦な広場が「本丸」です。

周囲には堅堀などの城跡の地形がしっかり残っています。

一段高い「櫓台」に、「岩櫃城本丸址」の標柱と説明板がありました。
木々の間から周囲を見渡すと、けっこう高度感があり、見晴らしのよい場所であることがわかります。城を造るのに適した場所なのでしょう。
ここまでの遊歩道はきれいに整備されていて歩きやすく、老若男女誰でも訪れることができる道でした。
岩櫃山登山(尾根通り六合目まで)

続いて「岩櫃山」を目指して、「尾根通り」を進みます。
「岩櫃城跡」まではなだらかで整備された道ですが、その先はやせた尾根の登山道で岩場も出てきます。
最初にお知らせしておきますが、「岩櫃山」はどのルートで行っても、山頂付近では急な岩場を登ることになります。
鎖やハシゴが設置されているので登山経験がなくても困ることはないのですが、高いところが苦手な人には怖い箇所がいくつも出てきて滑落の危険もあります。
山登りに慣れていない人には、あまりおすすめしない方がよい山かも知れませんのでご承知ください。
岩櫃城跡~六合目

本丸址から尾根上の道を進みます。



「五合目」あたりまでは、遊歩道のような整備された登山道が続いています。

五合目から先は、だんだん尾根が細くなってきます。


やせた尾根をしばらく行くと、「天狗岩」が見えてきます。尾根の上に棒状の大きな岩が立っています。

天狗岩の先に分岐があり、尾根上の道と岩場を迂回する道に分かれます。ここは尾根に沿って進みます。




引きで撮影できないのでわかりにくいのですが、尾根上の道は写真のような感じで、岩の上を辿っていきますが道ははっきりしています。周囲は樹木に覆われているので、高度感はあまり感じません。

岩場を過ぎると、いったん尾根上を離れて左側に回り込んでいきます。



尾根を回り込んで登り切ったところが「六合目」で、ここで郷原方面からの「赤岩通り」の道が合流してきます。
岩櫃山登山(尾根通り六合目~九合目)

六合目からはいったん下って、櫃の口(天狗の蹴上げ岩)で「沢通り」に合流します。
ここからは大きな岩の間を沢沿いに登って行きますが、急な岩場などにはハシゴや鎖が設置されています。







少し長めの鎖場を登り切ると「八合目」です。

八合目から九合目は、尾根を回り込む岩場のない道です。
尾根伝いに登ることもできるようですが、そちらにはロープが張られ、立入禁止の表示と「正規のルートをお進みください」という案内がされていました。

「九合目」は山頂手前のピークになっていて、ここを登るとその向こうに山頂が姿を現します。


九合目ピークから見た山頂は、穂高のジャンダルムを思わせるような天に突き出た岩峰で、ちょっとインパクトがあります。


このピークまで来ると一気に周囲の展望が開け、上州の山々が一望のもとです。
こちらのピークはけっこう狭いのですがご夫婦が休憩していて、私が登頂後もまだこのピークにいました。
山頂からの下りにしては長時間の休憩なので、登頂はせずに九合目で引き返したのかもしれません。
岩櫃山頂

九合目のピークから鎖とハシゴを使っていったん鞍部へ下り、山頂を目指します。


やせた岩の尾根を登っていくと、山頂へ登る最後の岩壁が見えてきます。

この登山道の中で一番大きな岩場ですが、ここには2本の鎖が設置されていて登るのは難しくありません。


最後のハシゴを登ると山頂に到着です。山頂には吹き流しが立てられていて、勢いよく風にはためいていました。



山頂は小さな広場になっていて、切り立った崖の上なので、周りには鎖の柵が設置されています。
そして広場の横にある大きな岩の上に、山頂の看板が立っていました。この広場には周囲の山の案内板も設置されています。

林立する岩峰越しに見る里の景色は、なかなか高度感があります。

北は谷川岳などの上越国境の山々、東は榛名山、西は浅間山、南は妙義山など、周囲は360度の展望が広がります。
九合目ピークの先に尾根上の道が見えたので、これが八合目から尾根伝いに来るルートなのだと思います。
沢通り
帰路は「沢通り」を通ることにします。


山頂の岩峰を下り、再び九合目のピークに登り返します。
この後、六合目までは来た時と同じ道です。


六合目の分岐から沢伝いに下りていきます。




岩の回廊といった感じの巨石の谷間を通っていきます。展望はないですが、尾根上のような危険な場所はない道です。



「コニファーいわびつ」への分岐を過ぎると道は沢筋を離れ、やがて杉林の中の道になります。





林を抜けると、平沢登山口の分岐に戻ってきます。
おわりに

自家用車利用の場合、広い駐車場がある「平沢口」が便利で、登山道も登りやすいルートでした。
登山道は整備されていて、標識も要所ごとにしっかりと設置されています。また各合目ごとに看板が立っていて、現在の位置がわかるようになっていました。
岩山らしい険しいルートを歩きたい方は、郷原方面からの「密岩通り」を選ぶとよいらしいですが、駐車場は10台ほどのようです。
4月下旬の晴天の日に訪れましたが、登山道は新緑に覆われ、爽やかなハイキングでした。
登山道には「蜂」に注意を促す掲示があったり、ネット上にも「虫が多い」という情報があったりしたので、季節を選んだ方がよいかも知れません。
実際に歩いてみて、藪や水辺が多い環境なので、夏は蚊が多いだろうなと思いました。

今回は「尾根通り」を登りましたが、尾根上を歩くこのルートは所々展望もあり、登りにはおすすめだと思います。
最初にも書きましたが、岩場を登る場面がたびたび出てきますので、小さな子どもや年配の方だと山頂まで行くのは大変かもしれません。
岩場にはハシゴや鎖が設置されているので、慎重に登れば問題なく登頂できますが、岩場が苦手な人は無理をしない方がよいと思います。
また、三点確保をしたり鎖を握ったりして、手を使って登る場面がけっこうあるので、「手袋」を用意していくことをおすすめします。
岩がゴロゴロした部分もあるので、靴は足をしっかりと保護しソールのフリクションが効くものがよいでしょう。
登山口からは、ゆっくり登っても1時間ちょっとで山頂に到着しますので、ドライブと合わせて手軽な登山が楽しめると思います。

