このブログは、名前の通り山岳方面へのツーリングや山歩きの記事が多いのですが、今回は「丸い地球を感じたい」と、海に出かけた時の様子です。
訪れたのは、太平洋に突き出た房総半島の東端、「犬吠埼」と「銚子」の街です。
先日訪れた軽井沢では、様々な地域のナンバーの車が集まっているのを見て、コロナ感染者数の減少の中で、人々の動きも少しずつ戻ってきている感じがしました。
しかし、未だ感染対策に向けた慎重な行動が呼びかけられており、今回の記事もコロナ以前の様子になります。
地球が丸く見える場所
地球は丸いのですが、普段の生活におけるこの世界は平面の上にあり、球体の表面に張り付いて生活していることを実感することはありません。
しかし、地球が丸いということを感じさせてくれる場所がある、ということで、ある年の12月、年も押し迫った頃に出かけてみました。
その場所は「犬吠埼」。普通の海辺で海を眺めていると、海は視界の半分ほどなので、地球の丸さを感じることはありません。
しかし、海に突き出したこの岬からは、それ以上に広い範囲を見渡すことができるため、丸い地球の水平線の広がりが見えるということのようです。
鹿島臨海工業地域

初日の出という訳ではないですが、せっかくなので「犬吠埼で日の出を見たい」と思い、前日のうちに出発します。
そして少し回り道をして、銚子の北にある「鹿島」周辺を走りました。
「工場夜景」が密かに人気を集めているようですが、大都市周辺と違ったこの辺りはどんな様子なのか訪ねてみました。


工場や湾港施設が立ち並ぶこの地域は、それほどの賑やかさはないのですが、様々な灯りが美しく連なっていて独特の雰囲気がありました。
犬吠埼
長崎鼻

犬吠埼周辺まで来て仮眠を取った後、夜明けに合わせて海辺へ向かいます。
最初に、この半島の本当の尖端に当たる「長崎鼻」にある灯台を訪ねます。

広く海原を見渡す平坦な海岸に、すっきりとしたシンプルな造りの灯台がただ独り佇んでいます。
ここは「平地で最も早く初日の出を見ることができるスポット」とのことですが、この日はすっきりと晴れていたわけでなく、雲間の日の出となりました。
犬吠駅
続いて向かった「犬吠埼灯台」への入口にあるのが、銚子電鉄の「犬吠駅」です。


先ほどまでの漁村の風景とは異なり、観光客を意識した南欧風の建物が並んでいます。ここから灯台までは数百mで、歩いても10分ほどです。

犬吠埼灯台

明るい石畳の道を進むと、岬の先端に灯台が見えてきます。
灯台はまだ開館前で入場できませんが、周囲を一廻りしてみました。


東映映画のオープニングは、こちらで撮影されたものだそうです。

岬には水仙の花が咲いていました。吹き付ける風の中に咲く水仙を見て、越前岬を思い出しました。



犬吠埼灯台は一般の人でも登ることができる灯台で(参観協力金300円)、現在もコロナ対策を行いながら見学ができるようです。


また、銚子周辺はジオパークになっていて、白亜紀の古い地層(国指定天然記念物)を見ることができるのですが、こんな所にも砂岩の地層が顔を出していました。


地球の丸く見える丘

銚子の最高地点である「愛宕山」にやってきました。
こちらには「地球の丸く見える丘展望館」があり、そのすぐ前のテラスからも太平洋を見渡すことができます。


ここには一等三角点「高神村」があり、標高は74mです。

東から南の方向には太平洋の大海原が広がっています。
北には昨夜見た鹿島の工場群、西には東洋のドーバーと呼ばれる屏風ヶ浦の景色を見渡すことができます。



展望館はまだ営業時間前なので、館の屋上にある展望台に上ることはできませんでした。展望館前のテラスから見る海は周囲の半分ほどなので、地球が丸いことを実感するにはやはり展望台に登ってぐるりと見てみたいところです。
展望館の開館を待つにはまだ時間があり、この日は天気が今ひとつだったので、屋上からの展望はまたの機会にすることにしました。


銚子電鉄

銚子の市内から岬の先端までを走る「銚子電鉄」の終点、「外川駅」にやってきました。懐かしい佇まいの駅舎です。

ちょうど列車が出発するところで、駅員さんが列車を見送っていました。


古い車両なども展示されていて、看板にはここがかつてNHKの朝ドラの舞台になったことが紹介されていました。
駅舎の中にはオリジナル商品も並んでいます。
銚子電鉄は全長わずか6.4kmの小さな鉄道会社で、沿線も田舎なので経営が苦しいことは一目で分かるのですが、アニメの擬人化キャラを登場させたり、「ぬれ煎餅」や「まずい棒」などの独自商品を開発したりして、なんとか経営を維持しようとする努力がうかがえます。

沿線で出会った列車は、本当にすぐ目の前を走って行きました。

銚子は半島の尖端ですが小さな台地の上に広がる街で、水の確保が難しい土地です。
そのため、周辺の農業地域にも水田はなく、郊外にはひたすら「キャベツ畑」が広がっています。これも銚子らしい風景だと思います。

醤油工場の見学

銚子は古くから「醤油」の生産でも有名な街です。
今もいくつもの醤油メーカーがあり、工場見学もさせてもらえます。今回は「ヒゲタ醤油」を訪れました。(※2021年はコロナ対策のため工場見学は実施していません)

見学は無料で、事前の予約なしで参加することができます。


展示室に入ると、ロボットのペッパー君がお出迎えです。
そして、係の方の案内にしたがって館内を巡りながら、映像や展示で醤油造りの歴史の説明を聴きました。


見学の最後に工場の直売店の前に来て、見学者はこのような瓶入りの醤油を無料でいただきました。それ以外の製品も、こちらでお土産として購入できます。
ここまで駆け足で回りましたが、銚子には歴史や地質などに関して見所がたくさんありました。
今回は「丸い地球」を感じることはできませんでしたが、手軽なドライブとして行きやすいと思うので、次の機会を待ちたいと思います。