以前、NHKの「ドキュメント72時間」という番組で、秋田港近くに設置されていた「うどん自動販売機」を訪れる人々の3日間を記録した回がありました。
ここにやって来る人々の生活と心のあり様を描いた心に残る回だったのですが、機械も、それを運営してきた人も、年を重ねて限界に近づいていたようで、この放送の後しばらくして、営業が終わりになったようでした。
しかし放送の反響はけっこう大きかったようで、「この自販機を残したい」という声が上がり、近くの道の駅の構内に移転して存続されることになったようです。
たかが自販機かも知れませんが、そこは多くの人々の思いが通り過ぎていった場所。以来、うどん自販機はちょっと気になるスポットになっています。

今、うどん自動販売機は・・
確かに、昭和の時代に作られた機械ですので、かなりの年数が経っています。
メンテナンスも大変だと思うので、壊れればそのまま廃棄されるのも仕方のないことかもしれません。
全国でも残された台数はわずかになり、ネット上には各地の設置場所が紹介されている記事も多数見受けられます。
関東周辺にはけっこう残っているようですが、中部地方はほぼ空白地帯で、岐阜県と長野県にひとつずつあるだけのようです。
今回は長野県信濃町にある、「そば処ふじさと」が運営するうどんとそばの自販機を訪ねました。

長野県唯一のうどん自販機の場所は?
長野市から新潟県上越市に向けて国道18号線を走り、飯綱町の坂道を登り切ると信濃町に入ります。
周囲に飯縄山や黒姫山などの「北信五岳」と言われる山々が見渡せる高原になり、しばらく行くと、左側にガソリンスタンドがある「辻屋」の交差点があります。
この角にあるのが「そば処ふじさと」で、その駐車場に自販機は設置されています。


今回は「そば」を食べてみた
自販機には「うどん」と「そば」があり、今回は蕎麦どころである信濃町なので、そばを選んでみました。
うどんもそばも、素ではなくデフォで天ぷらがのる、いわゆる「天ぷらうどん・そば」になります。
値段は250円で、昔と比べてもあまり値上がりはしていないのではないかと思われる価格設定。今どきのファストフードよりリーズナブルに感じられます。






味と周辺の様子は?
麺はゆで麺をつかっているので期待はしていなかったのですが、思っていたより歯ごたえもあり、つゆもちょうどよいくらいの塩加減に感じました。
天ぷらは小ぶりながら手作りされたもので、この手の自販機にしてはしっかりしたものだと思いました。全体的にも、自販機のものとしてはトップクラスのおいしさでしょう。

自販機周辺も整理されており、お店の方の管理と共に、利用者のマナーもよいことを感じさせます。
こうした自販機は場末感が出てしまうこともあるのですが、周囲の景観と合わせ、好印象の自販機でした。

信濃町にはおいしい蕎麦やスイーツなど、魅力的なお店がたくさんありますが、高原ドライブの道すがら、話題作りにちょっと寄ってみてもよいスポットだと思います。