関田山脈一帯はブナの森が生い茂り、1000mほどの尾根上を約80kmに渡って歩く「信越トレイル」という道が整備されていて、登山者やハイカーにも人気のルートです。
そして、この山脈には新潟と長野を行き来する峠道がいくつもあり、気持ちよいツーリングコースになっています。
雪融けが進み、新潟と長野の県境である関田山脈でも、峠越えのルートが開通しました。
しかし近年は災害による通行止めも多く、2021年5月末の時点で峠越えができるのは「関田峠」だけのようです。
今回は、春の関田山脈越えに出かけてみました。
アプローチ
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今回は長野県側からの峠越えです。最寄りの高速道路ICは、上信越道の「豊田飯山IC」になります。
豊田飯山ICから国道117号線を北上して飯山市街を過ぎ、千曲川沿いの道を「戸狩温泉スキー場」を目指して走ります。
道の駅 花の駅千曲川
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途中、国道117号線沿いにある道の駅「花の駅千曲川」で休憩を取ります。
「花の駅」という名前の道の駅なのですが、ここは春になると一面に咲く「菜の花」が有名な地域で、それにちなんだ名前のようです。
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こちらのカフェは休日は朝7:30から営業していて、朝食を摂ることもできます。
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広い駐車場からは、高社山や志賀高原の山々、斑尾山などもよく見えます。
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北信濃の春を走る
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千曲川に架かる常盤大橋の上からは、南に高社山、北に関田山脈が千曲川の流れと共に見渡せます。
川岸の田んぼには水が張られ、田植えの時を待っていました。
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戸狩温泉スキー場が間近に見えるようになると、間もなく銀色の橋が見えてくるので、ここで千曲川を渡って戸狩の中心街に入ります。ここを通り過ぎたところで「県道95号線」に合流します。
戸狩温泉スキー場~関田峠
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今回の峠越えのルートは、関田山脈の主峰ともいうべき「鍋倉山」の近くを通り、長野県飯山市と新潟県上越市を結ぶ「県道95号上越飯山線」です。
この沿線には、長野県側は「戸狩温泉スキー場」、新潟県側には「光ヶ原高原」などの観光地があるためか、道路も周辺の峠よりは整備されている印象があります。
山里の道を行く
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スキー場を左に見ながら、道は緩やかに登っていきます。途中に地酒「北光」の蔵元がありますが、今回はパスします。
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田んぼで代かきをするトラクターの姿を見ながら、しばらく関田山脈の麓の、のどかな春の農村を走ります。
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途中に、「みゆきのライン」への分岐があります。みゆきのラインは関田山脈の中腹を南北に走る道で、ここを進むと国道403号線(伏野峠)につながっています。
国道403号線は、現在新潟県側が災害による通行止めのため、峠越えをすることはできません。(※2021年6月から通行できるようになりました)
峠道へ
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分岐を過ぎると、道は斜度が増して、峠越えの道が始まります。
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道の脇に小さな滝や湿原を見ながら登っていくと、田茂木池が見えてきました。
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この山沿いにはいくつか池がありますが、農業用水のため池として利用されているようです。
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道沿いには、まだコブシの花も咲いていました。
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稜線が間近に見えるようになってくる頃、鎖のゲートがある広い駐車場に出ました。
途中、山菜採りに来ていると思われる車をしばしば見かけましたが、山菜採りや残雪期の登山などに来る人が利用する場所なのかもしれません。
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高度が上がり、先ほどまで聳えていた高社山は眼下に見下ろすようになり、千曲川の向こうには野沢温泉スキー場と毛無山が見えます。
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このあたりまで来ると、「鍋倉山」が間近に迫ってきます。
鍋倉山は「ブナの森」が有名ですが、山腹に生い茂るブナの木々はこんもりとしてブロッコリーのようです。
山頂付近は木々の間が白く見え、まだけっこう雪が残っているようでした。
大神楽展望台
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山腹を右方向へ大きくトラバースしながら登っていくと、道の脇に「大神楽展望台」があらわれます。
駐車場と芝の展望台があり、ベンチなども設置されていました。
鍋倉山から周囲の山々まで、広く見渡すビューポイントです。
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展望台から間もなく左側に「茶屋池」が見え、ここを通り過ぎると道は平坦になり、稜線上に出たことがわかります。
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茶屋池のほとりには「茶屋池はうす」があり、周囲は森林浴歩道が整備されています。別棟のトイレもありました。
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山上の池は静かに澄んで、新緑を美しく映していました。
![【関田峠】信越国境関田山脈峠越えルート開通情報とブナの森ツーリング](https://yama-dora.com/wp-content/uploads/2021/06/fbe2e950407ed4df0f4ed2391c146588.jpg)
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稜線の周辺もブナの森が広がっています。そして道の脇の窪地には、まだ雪がたっぷりと残っていました。
新緑のブナに囲まれた平坦な道を走っていくと、間もなく「関田峠」が見えてきました。
関田峠
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峠は「信越トレイル」の入山口になっており、案内板や小さな駐車場が設置されています。
関田峠の標高は1100mを超えていて、峠から鍋倉山(1289m)までは2.8kmの道のりです。
関田峠~光ヶ原高原
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峠からの下り始めは、広めのなだらかな道です。
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峠から下り始めると頸城の山々や高田平野が見渡せるようになり、眼下には光ヶ原高原が広がります。
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すぐに緑色の大きな建物が見えてきて、これが「グリーンパル光原荘」でした。入口のゲートが閉められていて、営業は6月5日からとのことです。
こちらは宿泊施設の他にキャンプ場もある観光施設ですが、「信越トレイル」の基地的な役割もしているようで、こんなに大きな施設ですが、稜線から近いという感じがしました。
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背後には「黒倉山」が盾状の急斜面を見せて聳えています。
難局打開の鉄球
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しばらく下っていくと、「難局打開の鉄球」という看板が現れました。
50年ほど前に「浅間山荘事件」という国中を騒然とさせた立てこもり事件があったのですが、その時に膠着状態を打破するために建物の破壊が計画され、そのために使われた鉄球が設置されているということでした。
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枕木を敷き詰めた歩道を歩いて行くと、二つの鉄球が設置されていました。
一つは実際の事件で使われたもの、もう一つは事件を題材に映画化した際に使われたものだそうです。
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実際の浅間山荘は長野県の浅間山麓にありましたが、光ヶ原が映画のロケ地になったということで、こちらに設置されたようです。
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関田山脈の新潟県側にも、中腹や麓に数多くの林道が走っています。
こちらはルートの途中にある「林道光ヶ原黒倉線」の起点ですが、「災害につき通り抜けできません」の看板が立っていました。
林道はもともと道が簡易な造りで、環境的にも傷みやすい場所にあるので、復旧工事が追いつかない所が多いです。
光ヶ原高原
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塔のある瀟洒な建物は「光ヶ原高原センター」で、かつてはレストランなども営業していたようですが、現在は無料の休憩所になっていてトイレが利用できます。
こちらの利用も、6月5日からのようです。
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光ヶ原は山の中腹ですが、広々とした高原が広がっていて、ここからの景色は遠く日本海まで見渡すことができます。
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高原からの下り道を走り出すと、元の県道95号線は「この先通り抜けできません」という案内が出ていて、右へ大きく曲がっていきます。
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こちらは新しく開いた観光用の道路のようで、終始センターラインのある広い2車線が続いていて快適な道です。
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麓側の旧県道入口にも「この先光ヶ原通り抜けできません」の看板が出ていました。
この後大きなカーブはなくなり、道は緩やかに里へ向かって下っていきます。
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途中に、「くびき野パノラマ街道」との交差点があります。
「くびき野パノラマ街道」はいわゆる広域農道に名前をつけただけで、観光道路ではないようです。
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東方面は多少観光地もあるようですが、今回は西方向へ少し走ってみました。
あまり周囲の展望はなく、いわゆる農村の道でしたが、信号がなく交通量も少ないので、快適に走ることができそうでした。
道路情報
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全行程舗装道路で、路面の荒れもなく、道幅も山間地の道にしては広めだと思います。
沿線はブナの森が有名で大きな施設もあり、観光に対応した風光明媚な山岳道路という感じがしました。
戸狩を出発すると上越に下りるまで、補給ができる場所は「グリーンパル光原荘」のみで、トイレは「茶屋池はうす」と「光ヶ原高原センター」で利用できます。
道も整備されていて、新潟県側を中心に夏の間はけっこう賑わうルートのように思いました。
雪が融けても災害復旧工事に注意
関田山脈の峠越えの道は、国道403号線(伏野峠)、村道平滝野々海線(深坂峠、野々海峠)、市道牧線(牧峠)、県道411号飯山新井線など多数あるのですが、これらのいくつかは新潟県側で災害による通行止めが続いているため、雪が融けても通り抜けられるルートは限られます。
関田峠のほかに、峠越えが不可の通行止め情報がないのは、国道403号線(伏野峠)<全線開通6月下旬予定>と、市道牧線(牧峠)ですが、雪融けの状況がわからないので今後の情報を待つ必要があります。
5月末時点で、確実に新潟・長野の県境を行き来できるのは、通年通行可能な国道292号線や斑尾高原の道を除けば、現状では関田峠だけです。
道路情報は信越トレイルHPが詳しい
関田山脈周辺の道路についての情報は、何と言っても「信越トレイル」のサイトが最も詳しいです。
これらの峠道は、信越トレイルに入山するためのアプローチになる道路なので、積雪の状況など詳細な情報が充実しています。出かける際には、こちらを参照し確認しておくことをおすすめします。
今しばらくは、感染対策をしっかり行いながらお出かけください。
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