今年は雪融けが早そうなので、雪がなくなる前に雪原ハイクを楽しもうと、3月初旬のよく晴れた日に美ヶ原に行ってきました。
美ヶ原は冬の間もホテルや山小屋が営業しているので安心して冬山の雰囲気を楽しむことができ、雪道に対応できる車なら自家用車で高原の上まで上がることも可能です。
今回は、美ヶ原の春山トレッキングの様子と、あわせて積雪期に自家用車で美ヶ原に入るドライブ情報もお知らせします。
積雪期のアプローチ
積雪期に美ヶ原に入る道は、長和町からの「県道178号線」だけになります。それ以外の道は冬季閉鎖になっており除雪はされません。
高原の台地上に通年営業の宿泊施設があるため、冬の間も宿の車が行き来するルートを確保しているのですが、厳冬期を過ぎると道路の雪も融け、一般車両でも入山が可能になります。
国道142号線
高速道路利用の場合、上信越道の「東部湯の丸IC」から国道152号線を通り、途中で国道142号線に入ります。
または中央道の「岡谷IC」から国道20号線に下り、すぐに国道142号線に入り北上します。
旧中山道に沿った国道142号線の途中にある、長和町和田がスタート地点になりますが、ここまではどちらのインターチェンジから行ってもほぼ同じような距離なので、行きやすい方から向かえばよいです。


上信越道経由で行くと、正面に蓼科山を見ながら国道152号線を走り、分岐を右方向へ進んで国道142号線に入ります。
しばらく行くとT字路の交差点の角にコンビニがあり、ここを右折して県道178号線に入ります。
ここが積雪期に自家用車で美ヶ原に向かう唯一のルートになります。
この先、食料等の補給できる場所はありませんので、必要な場合はこちらのコンビニで仕入れていきます。

県道178号線

国道から県道に入ると、すぐに「旧中山道」を横切り、坂道を登っていきます。
しばらくは別荘地のような白樺林の中を走り、その後は野々入川に沿った道を登っていきます。


何故か途中の広くなった道路脇に、無人の「山本小屋」のバスが止まっていました。

日陰部分の道路は、中央部分は路面が出ていますが脇の方は氷になった雪が残っていて、スタッドレスタイヤが必要な道です。対向車がない時は真ん中を走るのが安心です。

野々入川を離れ登り坂が始まると、まもなく「ビーナスライン」に合流します。
ビーナスラインの車山方面への分岐は、雪の山になっていて入ることはできませんので、迷うことはありません。



ビーナスラインに入ると路面に雪はなく、快適なドライブで高度を上げていきます。


やがて高原美術館方面への分岐点に出ますが、美術館方面はゲートが閉まっており、除雪もされていないので入ることはできません。


道を直進すれば、まもなく山本小屋ふる里館前の「長和町営駐車場」に到着します。
平日の駐車場はこんな感じですが、おそらく休日は満車で、駐めるのに苦労するだろうと思います。
山本小屋~王ヶ頭

ふる里館脇の車道を通ってトレッキングをスタートします。天気は快晴、時間はすでに11時を大きく過ぎ、多少風がありますが寒さは感じません。
山本小屋へ向かう道は雪が融けて泥の道になっていたので、しばらくは足回りは何も付けずに歩きます。



山本小屋で雪原に上がり、ゲイターと簡易アイゼンを付けましたが、アイゼンは腐った雪にはあまり効果がありませんでした。

雪原の向こうにポツンと「美しの塔」が立っており、さらに背後には王ヶ頭のアンテナ群が聳えています。
見渡す限り人影はなく、この時点では雪原を独占していました。




雪融けが進み、「美しの塔」は土台まで現れています。空は快晴でどこまでも青く、春山の気分を満喫しました。
途中で足回りの準備をした時間もありましたが、駐車場から美しの塔まで30分ほどでした。

王ヶ頭に向かって、再び雪原を歩き始めます。
腐った雪に足元が安定しませんが、周囲の山々を眺めながらのんびりと進んでいきます。



「塩くれ場」までやってきました。
南側の斜面は雪が融けて地面が露出しているようなので、アルプス展望コースへは行かずに遊歩道に沿ってこのまま進みます。


王ヶ頭を目指して進んでいきます。
道には雪が残っていますが、南向きの斜面はほとんど雪が融けた状態でした。




最後の一登りで「王ヶ頭」に到着です。美しの塔から王ヶ頭まで45分ほどです。
王ヶ頭ホテルの脇を通って、山頂に向かいます。ホテル前には屋根からの落雪に注意を喚起する掲示が出ていました。
王ヶ頭~王ヶ鼻




山頂も雪融けが進み、測量点の標柱もしっかりと姿を現していました。
山頂にはちょうど数名のトレッキングのグループがいて、元気に「アルプス展望コース」に向けて出発していきます。
このあたりでは、山頂にホテルがあるためか、山歩きの支度ではない普通の服装の人も見かけました。

「王ヶ鼻」に向かって、さらに西へ進みます。
ガレた道にところどころ残雪が残っていますが、車道部分は雪がありません。
泥だらけになりそうなので、足回りの雪用の装備はいったん取っていきます。



車道は完全に雪が融けており、何台かの営業用車両が走っていくのを見かけました。
車道から分かれて「王ヶ鼻」に向かいます。ここからは雪道なので、再びゲイターを付けます。
アンテナを目指して、緩やかな坂を登っていきます。




アンテナ塔を過ぎると少し下りになり、王ヶ鼻はもう目前です。



美ヶ原の西の端である「王ヶ鼻」までやってきました。
尖端のピークには石仏群が並び、目の前に北アルプスの展望が広がります。





まさにアルプスの展望台です。先行して来ていたハイカーが去ったあとは、ただ一人でゆっくりと景色を堪能しました。
王ヶ頭から王ヶ鼻までは30分ほどです。
王ヶ鼻からの帰路



帰り道にアンテナ塔に立ち寄ってみました。松本や安曇野からよく見えるこのアンテナは、NTT関連のもののようです。


車道に戻ってからは、道に沿って王ヶ頭まで戻ります。
この道沿いからは、北~東方向の山々が広く見渡せます。







王ヶ頭に戻り、「王ヶ頭ホテル」を覗いてみましたが、日帰りCafeと売店は営業時間が短縮になっていて、すでに昼の営業は終了していました。
ホテルに立ち寄る場合は、入口で靴を脱いで上がる形になります。



午後の日差しの中、帰り道も来た時と同じ道をたどります。

雪原ではエンジン音を響かせてスノーモビルが走り回っています。
腐った雪が歩きにくいですが、下りなのでどんどん歩を進めることができます。










駐車場に戻ってきました。車は朝よりさらに少なくなっていました。
王ヶ鼻往復の行動時間は3時間半ほどでした。


帰りも同じ道を走ります。ドライブだけを目的に訪れている人もいたので、残雪の山岳ルートを走りたいドライバーにもよいルートかも知れません。
ルート情報

道路状況
長和町和田の起点から美ヶ原高原の町営駐車場まで、ゆっくり走って40分ほどです。
県道178号線に入ると、ここ以外の道は雪で入ることができないため、一本道になり迷うことはありません。

時期によりますが、雪融けが進む頃になると道路上の雪はほぼ消えているので、普通車でも通行は可能です。
しかし、ここはやはり四輪駆動と冬用タイヤの使用を前提にした方がよいです。
上の写真は路面に最も雪が残っていた部分(氷状になっている)のものですが、坂道なのでこのくらいでも一度滑ると難儀することになります。
チェーンの携行など十分準備をしておく必要があると思います。そして天候の悪い日はやめておいた方がよいでしょう。
トレッキングコース

今回は終始腐った雪の上を歩くという行程でした。
基本的に3月以降の晴天が続いた後であれば、シャーベット状の雪の上を歩くという前提になるので、そのための準備(防水性のある靴、ゲイター(スパッツ)、簡易アイゼン、トレッキングポールなど)をして、天気のよい日を選んで出かけるということになります。
今回は平日だったためか、好天でしたが出会ったハイカーは全部で10名ほどでした。グループは少なく、単独か夫婦の方が多かったです。
美ヶ原は、新たな積雪があっても雪崩の心配がなく、冷え込んでも凍結による滑落がない、危険の少ない冬山と言えると思います。
おわりに
雪山を少しだけ体験したい人、積雪期の山岳ドライブを楽しみたい人など、多くの人におすすめのルートです。
また、山上にあるホテルが通年営業しており、冬山の知識がなくても宿泊して標高2000mの冬を体験することができます。
日頃からアウトドアに親しんでいても、雪のある世界は特別感があります。雪山入門編として楽しめる場所だと思います。

