戸隠山麓の森の中を走る「林道西岳線」。戸隠西岳の岩壁の直下を、峰々に沿うように走っています。
秋になり、聳える岩壁に紅葉した木々が美しく彩りを添える季節を迎えます。
以前の「大岩壁の麓を走る道」でも紹介しましたが、しばらく訪れていなかったので、記事内容の確認も兼ねて、秋の初めに走りに行ってみました。
林道釜岩線

今回は「林道西岳線」へ行く前に、戸隠山の景観が素晴らしいいくつかの展望スポットを訪ねていきます。
戸隠山の南にある「荒倉山」の中腹を走る「林道釜岩線」には、戸隠の山々をすべて見渡すことができる絶景スポットがあるので、まずこちらを目指します。
紅葉の岩屋

林道釜岩線への入口は「荒倉キャンプ場」です。


「荒倉キャンプ場」は、荒倉山の麓の林の中にテントサイトやバンガローが点在する、静かなキャンプ場です。
また、場内に「能舞台」があるという大変めずらしいキャンプ場です。
近くに「戸隠キャンプ場」や「飯綱高原キャンプ場」などがあるので、こちらを利用したことはありませんが、周囲は何もない森の中なので、夜は本当に静かな場所だと思います。

キャンプ場から登っていくと、道は林道に合流します。ここの案内板に従って「鬼女紅葉の岩屋」方面へ進みます。
戸隠周辺には、能や歌舞伎の「紅葉狩(もみじがり)」のモデルになった伝説が伝わっています。
ごく簡単にまとめると、この地に都から「紅葉」という女性がやって来るのですが、やがてこの地域の中央政権に従わない勢力の首領となり、都から派遣された平維茂に討たれてしまう、という話です。
その紅葉が拠点にしたと伝わる岩屋が「荒倉山」の中腹に残っており、林道が近くを通っています。


数台の車が、駐車場に駐まっていました。
隧道の手前にある駐車場から「紅葉の岩屋」までは、山道を歩いて100mほどです。

戸隠連峰の展望台
林道は隧道を通って、山の中腹を進みます。

林道は樹林に覆われている部分が多いですが、切り立った崖を削って作った部分もあり、樹林がない場所は展望が広がります。
そして、尾根を回り込んで北側に出ると、戸隠や北アルプスの山々が見えてきます。




林道からは、戸隠の険しい峰々の全景を見ることができ、まさに『戸隠の展望台』といった感じです。


落ち葉の溜まった道を下って行くと、道は「県道36号線」に合流します。

大望峠

西岳林道へ向かう前に、県道36号線の「大望峠」に立ち寄ります。
大望峠は「戸隠」と「鬼無里」の間にある峠で、戸隠西岳が目の前に迫り、北アルプス方面が広く見渡せる展望スポットです。
この日はアルプス方面に雲が広がっていたのですが、着いた時は、鹿島槍ヶ岳だけは雲の間から頂上を覗かせていました。
車が数台駐められる広い展望台には、関西などけっこう遠い県のナンバーの車やバイクが次々に訪れていました。

晴れていれば、「白馬鑓ヶ岳」周辺から「槍ヶ岳」まで見渡すことができます。



北側には、間近に「西岳」が荒々しい岩肌を見せて聳えています。
ここからは戸隠山は見えないのですが、西岳連峰は全体が見渡せます。
西岳というのは、戸隠山の西にあるこの岩峰群の総称で、本峰からいくつものピークが西端の「一夜山」まで連なっています。この稜線の一般の登山道は第1峰(P1)までで、そこから西側はバリエーションルートです。
林道西岳線


県道を少し戻り、「品沢高原」へ向かいます。

品沢高原は、案内板には「保健休養地」と出ていますが、建物が少なめの静かな別荘地です。


品沢高原の最奥部を西岳へ向かって進んでいくと、道端に「林道西岳線」の看板があらわれます。


この辺りからは、一夜山へと続く岩峰を見渡すことができます。木々がほのかに色づき始め、もう少しで紅葉の季節でした。


間もなく広場に出ますが、ここに「上楠西林道」への分岐があります。
しかし、上楠西林道の入口は柵が閉じられていて、こちらに入ることはできません。

一方、西岳林道方面にも「災害発生のため通行止」の看板が出ています。
本当に通れない場合は、進入しないように柵を設置していることが多いので、この状況なら「おそらく通れるだろう」と思い、もう少し進んでみます。


美しい木々の間を進んでいくと、再び「通行止」の看板があらわれました。
この先は西岳直下の道になりますが、西岳から流れ出る急な沢の周辺は、土砂が流出してきて路面を覆っていることが多々あるので、その辺の整備が追いつかないのだろうと思います。
たぶん通れるだろうと思いながらも、4輪なので管理者の指示に従い、ここで引き返すことにします。

この先、西岳林道はこの岩壁の麓を走っていきますが、基本的にほぼ樹林の中の道なので、ところどころ木々に覆われていない沢の付近などで、山を仰ぎ見ることができるという感じです。
鬼無里へ

県道に戻った後、林道の終点周辺の様子を確かめに行きました。鬼無里に入り、財又の集落から冷沢沿いの道を登っていきます。

廃墟となった開拓地を過ぎると、間もなく林道に合流します。


西岳林道方面は、品沢高原と同様に「全面通行止」の看板が出ていました。
ここを一夜山方面に進むと、道は二つに分かれ、右は「一夜山登山口」、左は「林道土倉線」の入口になります。
「林道土倉線」は一夜山の中腹を走る林道ライダーには知られたダート林道ですが、今回のような景観重視の4輪ツーリングの方にはおすすめしないルートです。


鬼無里の中心部に出て「旅の駅鬼無里」に立ち寄ります。地域の産物の売店や蕎麦屋などがあります。
すぐ隣にはおやきの「いろは堂」があり、この山深い場所にしては、平日ですがけっこうな数のお客さんが訪れていました。
道路状況
今回走ったルートは、全行程が舗装道路です。普通車で走れますが、一夜山登山道に向かう道などは路面が多少荒れている部分もありました。
鬼無里の中心部に出るまで店舗等はまったくないので、ルート途中での補給はできません。
大望峠の展望台は、県道沿いではなく少し脇道に入ったところにあるので、案内板に注意してください。
トイレは、大望峠の近くにあるバス停のものが利用できますが、あとは鬼無里の道の駅までありません。
西岳林道は最近の情報がネットなどでは見られなかったので、実際に確認に行ってみましたが、今回は通行止めで走ることはできませんでした。
「林道釜岩線」では戸隠山の全体を展望でき、「林道西岳線」周辺には圧倒的な岩壁の景観があるので、山岳景観を楽しむツーリングとしておすすめのコースです。

