山陰地方の観光スポットとして注目を集めている「足立美術館」。
日本一といわれる庭園が有名で、美術館自体もこの庭園を「一幅の絵画」に見立てるユニークな造りになっています。
今回は、山陰の旅で定番スポットとなった「足立美術館」についてのレポートです。
山陰の観光スポット

今回も出雲大社に続き、「サンライズ出雲」下車後の旅の続きです。
出雲大社を参詣したあと、どこを訪ねるか・・・。
一昔前なら、山陰といえば「鳥取砂丘」が一番にあがってくる観光スポットだったと思うのですが、今や2番手、3番手といった感があり、冬ならばなおさらです。
山陰では、今はアニメや妖怪に関連する新たな人気スポットがいろいろ登場していますが、「足立美術館」も近年一気に山陰を代表する人気スポットになったように感じます。
足立美術館はちょっと辺鄙な場所にあり、これまで訪れたことがなかったので、出雲大社の後に訪ねてみることにしました。
足立美術館とは

足立美術館は、5万坪に及ぶ広大な庭園をもち、横山大観の絵画や北大路魯山人の陶器などを展示している民間の美術館で、地元出身の実業家、足立全康氏により1970年に創設されました。
コレクションの中心は「横山大観」他の日本画壇の大家たちの絵画なのですが、それ以上に有名なのが「日本庭園」で、この庭園は米国の日本庭園専門誌のランキングで、20年以上にわたって「連続日本一」を獲得しています。
他にもミシュランガイドにも掲載されていて、海外にも知られている庭園をもつ美術館です。
美術館自体が、「庭園を一幅の絵画として鑑賞する」ような造りになっていて、館内を巡っていくと随所で庭園の美しい景色に出会えるようになっています。
四季折々の庭園の景色を、絵画のように館内から眺められる独特な美術館だと思います。
なお、ホームページには「ライブカメラ」で庭園の景色の配信があるので、現在はどんな様子なのか、あらかじめ確認することが可能です。
アクセス

「足立美術館」は、松江と米子の間にある「安来市」にありますが、美術館があるのは街中ではなく、街からさらに山間にしばらく入った場所です。
アクセスのよい場所ではないのですが、列車利用の場合、JR安来駅前から無料のシャトルバスが出ているので、これを利用するのが便利で分かりやすいです。
シャトルバスは駅前ロータリーに専用乗り場があり、およそ30分毎に出発しています。
乗車は「先着順・予約不可」で、美術館までの所要時間は約20分です。
自家用車利用の場合は、直接美術館に向かえば、広い無料駐車場があります。
入館料

地方の山間にある美術館ですが、入館料は大人2,300円とけっこうな金額です。日本一の庭園の維持費などを含めると、どうしても高額になってしまうのかもしれません。
なお、2025年4月からは、2,500円に値上げされるそうです。
営業時間は 9:00~17:00(4月~9月は17:30)で、年中無休です。
美術館を巡る

それでは美術館に入っていきます。美術作品の撮影はできませんので、紹介するのは庭園の様子のみになります。

入口を入ると、通路からも大きな窓ごしに庭園を眺められるようになっています。

「苔庭」を観ながら、順路に沿って進んでいきます。
枯山水庭

「枯山水庭」に面したロビーは全面ガラス張りになっていて、庭園を見渡せる最初の鑑賞スポットです。

ゆっくりと景観を楽しむ方々がいて、それがここでの王道の楽しみ方のようです。
こちらの庭園は、外に出て庭園内を歩けるわけではなく、実際には館内から眺めるだけの「眺望専用」です。すべて館内の鑑賞スポットから、絵画のように眺める形になります。


今回の旅は冬の時期でしたが、雪がまったくなかったので、枯山水の様子もしっかり眺めることができました。
冬ならではの「雪景色」に出会えるかは、運次第といったところです。

館内には、庭園を望む「喫茶室」もあります。

さらに進むと、あの有名な「窓」があらわれます。
「生の額絵」は、窓からの景色が、まさに一枚の絵画になっています。

池庭

奥へ進んで、「池庭」にやってきました。

こちらにも、おもしろい仕掛けがあります。

こちらのソファーに腰掛けて、左右を見ると、それぞれに「生」の絵画を観ることができるようになっています。


右には、窓越しに「池庭」が広がり・・・

左には、座敷の奥に衝立のような窓・・・

座敷の奥の窓は「衝立」の形をしていて、ちょうど「滝」が見える位置に開けられています。

隣の部屋の奥にも、同じように「生の掛軸」が見えていました。
白砂青松庭

さらに進むと、「白砂青松庭」を望むテラスにやってきます。


池の向こうに、白い砂に青い松が点在する、美しい庭園が広がっています。まさに「The 日本庭園」といった眺めです。
こんな感じで、日本庭園に興味のある人には、これを見るだけでも価値があると思いました。

おわりに

正直あまり予備知識もなく、「超有名だけど、どんなところかな・・」という気持ちで訪れました。
しかし、庭園の見事さはもちろんなのですが、横山大観の作品をこれだけ見たのも初めてでしたし、魯山人のコレクションも進めているようで、美術館としてもなかなか充実した内容でした。また、意外に童画の作品も興味深く、いろいろと見ごたえがあって十分に楽しめました。
美術や庭園にまったく関心のない方にはおすすめはしませんが、少しでも興味があるなら、行ってみる価値はあると思います。
美術館を出ると、周囲にはお土産店や宿泊施設が立ち並んでいて、美術館を中心にして一つの産業を創り出している感じがしました。
山陰は人口減少、過疎化の著しい地域ではあるのですが、こうした観光拠点があるのは大きな経済効果を生むだろうと思われました。
創設者が趣味で始めたコレクションなのかもしれませんが、突き詰めて日本一という価値に高めていけば、こんな場所が創り出せるということを思わされました。
故郷への貢献にはこういう形もあるんだ、という例を見せてもらった気がしました。