東京だけにとどまらず、今や全国的に有名な「高尾山」。
ミシュランガイドにも載るくらいですが、元は信仰の山として古くから親しまれてきました。そして今は山歩きを楽しむ首都圏近郊の山として人気があり、季節を問わず多くの人が訪れています。
こんなに有名なので、東京在住ではない私も、一度は訪れてみたいと思っていた場所です。そんな高尾山に、ある冬の日に行ってみました。
合わせて、自家用車利用で訪れる際の駐車場情報もお知らせします。
冬の低山歩きに出かけてみた
手軽に山歩きを楽しむのに、冬の低山はよいフィールドです。
本格的な雪山だと難易度も上がるため、ハイキング気分では出掛けられませんし、それなりの装備も必要です。
しかし低山なら、特別な技術や装備がなくても、誰でも冬の山歩きが楽しめます。そして低山には、冬ならではの良さもあります。
夏の低山は、高山のような涼しさはなく暑くて大変ですが、冬は静かで空気が澄み、夏にはない清々しさがあります。
またクマや虫などの心配もないので、静かな冬の時期の低山歩きは、ある意味安心でもあります。
高尾山は、山歩きと共に様々な楽しみもあり、天気の良い冬の1日、ゆっくり楽しむにはとてもよい山だと思います。
アプローチと駐車場
高尾山へは、公共交通機関利用の場合、京王線「高尾山口駅」までの電車利用が一般的です。
自家用車の場合、圏央道の「高尾山IC」がすぐ近くにあるため、圏央道経由が便利です。「高尾山IC」を下り、国道20号線で「高尾山口駅」まで、1kmほどの距離です。
冬は比較的空いていますが、高尾山口駅周辺の駐車場は大変混み合うため、車で来た人も、わざわざ幾つか手前の駅周辺の駐車場に車を駐めて、電車で高尾山口に向かう人も少なくないようです。
自家用車の場合、駐車場を利用しなくてはなりませんが、高尾山口駅周辺で一番のおすすめは、八王子市営の「高尾山麓駐車場」です。高尾山口駅に隣接しており、利便性も一番です。


駐車台数は80台。機械で管理されているので24時間利用でき、駐車料金は30分150円ですが最大料金があり、平日は最大24時間まで800円、土日祝日は最大24時間まで1000円となっています。
すぐ隣にある「京王高尾山駐車場」は、設備などはほぼ同じですが料金が高くなり、平日は最大1500円、土日祝日は2000円ですので、できれば市営の方に駐めたいものです。
ちなみに、高尾山口駅周辺で最も駐車料金が安いのは、駅から少し離れますが「高尾山薬王院祈祷殿駐車場」の1日500円です。(250台、未舗装)
その他にも周辺には多くの駐車場がありますが、満車になっていることが少なくないので、駐車場を確実に確保するには、とにかく朝早くに到着するか、事前に予約できる駐車場を予約しておく以外に方法はありません。また、新緑・紅葉・初詣の時期は大変混雑するそうですのでご注意ください。
※料金等は2020年9月時点のものです。
高尾山に向け出発
天気はよく晴れていますが、まだ日が当たらず日陰は寒いです。日が出るとそれなりに暖かくなると見込んで、上着はパーカーとダウンベストにしました。


「京王高尾山口駅」から「高尾山登山口」まで、整備された歩道が続いています。沿道にはたくさんの店舗が並んでいますが、朝早いと、まだ開いているお店はありません。
朝7時台でしたが、休日だったこともあり、登山やハイキングの支度をした人たちがけっこうたくさん歩いていました。


5分ほど歩くと、三角屋根のケーブルカー(高尾登山鉄道)駅舎が見えてきます。
ケーブルカーに乗ってみた


高尾登山鉄道の駅周辺は、混雑と言うほどではないですが、すでに人が集まっていました。ダウンジャケットと毛糸の帽子、という服装の人が多いようです。
駅舎のすぐ脇が登山口になっているのですが、今回は初めて訪れたので、「ケーブルカー」に乗ってみようと思っていました。
高尾山には中腹まで「ケーブルカー」と「リフト」の二つの乗り物が設置されていて、こうした乗り物を利用するのも、ハイキングの楽しみのひとつです。
ケーブルカー・リフトについて

ケーブルカー
高尾山のふもとから中腹の間を往復しています。高尾山駅、山上駅からは1号路に出られます。
片道6分ほどで運行しています。最大で135人を一度に運ぶことができます。
最急勾配は31度18分、ケーブルカーの線路では日本一の急勾配となっています。
リフト
片道12分ほどで運行しています。2人乗りです。

時刻表
ケーブルカーの運転時間 (清滝駅 ⇔ 高尾山駅)
・15分間隔で運転します。
・乗車時間:約6分間
・混雑状況によっては、始発が早まる場合があります。
・清滝駅と高尾山駅は、同時に発車します。

リフトの運転時間 (山麓駅 ⇔ 山上駅)
・乗車時間:約12分間

運賃
・運賃はケーブルカー・リフトとも同額です。
・中学生以上は大人料金となります。
・ケーブルカーは小学生から小児料金となり、未就学児は大人1名につき1名無料です。
・リフトは3歳から小児料金となり、3歳未満の小児は大人1名につき1名無料です。

※運転時間、運賃等は2020年9月時点のものです。
ケーブルカーで出発
清滝駅には8時前に着きました。ケーブルカーの始発は本来8時ですが、人が多くいたためか、すでに第1便が動いていました。片道切符を購入してケーブルカーに乗車します。

ケーブルカーを利用すると、高尾山駅から頂上までの歩く行程は1時間もないくらいなので、ハイキングとしては少し物足りない感じになるかもしれません。
駅周囲には、各登山道から歩いて頂上を目指す人がたくさんいましたが、朝早くから来ている人には、麓から歩いて登る人が多いのだろうと思います。
ケーブルカーには、これまでもアルペンルートや筑波山などで乗っていますが、このケーブルカーの傾斜は日本一とのことです。
車両に乗り込み、階段状に設置されている座席の前向きの席に座ると、出発の時は座席から滑り落ちそうになるほど下向きに傾いているのに、登り切った高尾山駅では、逆に体が空に向けて上向きになっている、といった感じでした。
ケーブルカーの区間はけっこう急な登りで、麓から1号路を歩いて行く場合は日陰の急な谷間の道を歩くことになるので、歩くことが目的でなかったり体力に自信がなかったりする場合は、ケーブルカー利用が無難な感じがします。
ケーブルカー「高尾山駅」から先は、傾斜も比較的緩やかになり、道も舗装整備されているので、歩くのに問題はありません。
なお1号路は、麓から山頂までグーグルマップのストリートビューが対応しているので、気になる方は事前に道の様子を確認しておくとよいと思います。
山頂駅からハイキングスタート

高尾山駅からは平坦な舗装道で、ウォーキングを楽しむ感じです。
すぐに道の両側に赤い灯籠が並ぶ薬王院の参道が始まります。メインルートはずっと尾根上の道なので、多少のアップダウンはありますが息の切れるようなところはありません。






参道の途中には様々な施設があり、それらを見学しながら進むと山門に到着します。
境内には売店やお札の授与所が並び、その上に「薬王院御本堂」があります。お参りをして長い階段を登ってさらに進むと、今度は「御本社」があります。


ここから上は山の中の道になり、林間の舗装路を登って行きます。傾斜がきつくなってくると、山頂が近づいています。やがて視界が開け、広々とした山頂が待っていました。

頂上についた時、登ってきた道を車が走ってきました。売店の荷物を運ぶ普通の乗用車です。つまり高尾山は、乗用車が通れる道が山頂まで続いているということです。
登山のルートはいくつもあって、山道を登るコースを選択することもできますが、今回は初めて訪れたので、一番基本のコース(1号路)をたどってきました。この道は車が通れるほどの広くて整備された道でした。
山頂は富士山の展望台


山頂からは、富士山がよく見えます。山頂の西側は展望台になっており、晴れた青空に富士山の美しい姿が聳えていました。たくさんの人が記念撮影をしたり景色を楽しんだりしていました。
帰り道で甘味を楽しむ
下山の途中、ケーブルカー高尾山駅近くの「十一丁目茶屋」で一休み。
こちらは景色のよいテラス席があります。冬とは言え、店内の窓際は日差しが暑いくらいでした。

焼き団子と甘団子、それに甘酒がついた「甘酒セット」650円を注文。
甘酒は優しい甘さで飲みやすいですね。
焼き団子は香ばしく、甘団子の甘さが疲れた体に滲みます。(さほど疲れる行程ではありませんが)


テラスからの眺めもよく、遠く都心のビル群も見えていました。



さらにケーブルカー高尾山駅前の売店で「天狗焼」を購入。1個150円。
天狗の形をしたかわいい鯛焼き風のお菓子。表面はカリッと香ばしく、中には黒豆の餡がたっぷり入っています。甘さも控えめでおいしいです。
店前のベンチに腰掛け、食べながらしばし休憩します。疲れてはいませんが、まだ午前中でこのまま下山するには少し早いかな、という感じなので、山の上でゆっくりとしていました。
高尾山はこんな楽しみ方もできる山です。

ここからの下りは、乗り物を使わずに徒歩で下りることにします。
1号路を下っていきます。

舗装された道から少しだけそれて、金比羅台園地の展望台へ行ってみます。八王子~都心方面がよく見えます。舗装路を外れると道は山道です。
舗装路も含めてここまではなだらかだったのですが、ここからは谷筋に下りてちょっと急坂になります。下りだからいいのですが、登りだとけっこうきついかもしれません。
そして、午前中に高尾山口駅に帰り着きました。
帰り道で

帰り道で、昼食に地元の名物を食べようと調べてみると「八王子ラーメン」というものがあるらしいことを発見し、郊外にある「味幸(みこう)」という店に向かいます。
初めてなので、基本の「中華そば」600円を注文。
八王子ラーメンの特徴は、刻みタマネギがトッピングされることらしいです。シンプルなラーメンにタマネギがのり、万人受けするタイプのやさしい味でおいしかったです。
店の前には行列ができており、次から次へと途切れない繁盛店でした。
高尾山の楽しみ方は人それぞれで、山歩きをしたい人、観光をしたい人、神社仏閣巡りの人など、どんな人でも楽しめる懐の深い山だと感じました。親しまれる訳を実感した旅でした。

