全国に21座ある3000m峰の中で、最も負担が少なく短時間で登頂できるのが「乗鞍岳」です。
コロナ禍の終わりを見据え、今年こそ登山に挑戦しようと思っている方や、しばらく山行を控えていて体力が心配だと考えている方にもおすすめの、とても登りやすい山です。
今回は、本格的な夏山シーズンを迎えた、乗鞍岳登山の様子を紹介します。
乗鞍岳が登りやすい訳

「立山」(雄山は3,003m)も登りやすい3000m峰だと思いますが、一番はどこかと言われれば、やはり「乗鞍岳」だと思います。
「日本百名山」の1つでもある乗鞍岳は、標高3,026mの全国有数の高峰ですが、1時間半ほどの歩行で登頂できる最も登りやすい3000m峰です。
その理由は、標高2,702mの「畳平」までバスで行くことができるためで、ここから山頂までは距離約2,7km、標高差約300mで、歩行時間1時間半ほどで登頂することができます。
登山道の前半は自動車も通れる道になっているので、雲上のハイキングといった感じで歩くことができ、実質的な登山は「肩ノ小屋」を過ぎてからの1時間弱の登りだけなので、登山が初めての方でも挑戦しやすいと思います。
自家用車で麓の駐車場へ行き、バスに乗り換えれば、余裕で日帰り山行ができる3000m峰です。
アクセスと駐車場

乗鞍岳の山頂に近い「畳平」には、かつては自家用車で行くことができたのですが、現在はマイカーの乗り入れが規制されているため、麓に駐車して、バスかタクシーを利用して行くことになります。
バスの終点であり登山口でもある「畳平」へは、長野県側からと岐阜県側からの2つのルートがあります。

長野県側
長野県側から畳平に続くルートは「乗鞍エコーライン」と呼ばれています。
長野県側で広い駐車場があるバスの出発地点は、乗鞍高原にある「乗鞍観光センター」になります。
長野県側に自家用車を駐車し、バスで畳平へ向かう場合の概要を簡単にまとめておきます。詳細は公式サイトから確認してください。
運営会社 アルピコ交通
出発地点 乗鞍観光センター
バス料金 往復大人 3,300円
所要時間 約50分
駐車場 乗鞍観光センター駐車場(無料)など、約300台
乗鞍高原~乗鞍畳平シャトルバス(アルピコ交通公式サイト)https://www.alpico.co.jp/traffic/local/kamikochi/echoline/
岐阜県側
岐阜県側から畳平に続くルートは「乗鞍スカイライン」と呼ばれています。
岐阜県側で広い駐車場があるバスの出発地点は、ほうのき平スキー場にある「ほうのき平駐車場」になります。
岐阜県側に自家用車を駐車し、バスで畳平へ向かう場合の概要を簡単にまとめておきます。詳細は公式サイトから確認してください。
運営会社 濃飛バス
出発地点 ほうのき平駐車場
バス料金 往復大人 2,500円
所要時間 約45分
駐車場 ほうのき平スキー場駐車場(無料) 約1,500台
濃飛バス乗鞍線(濃飛バス公式サイト)
https://www.nouhibus.co.jp/route_bus/norikura-line/
天候で異なる運行ダイヤ
山岳観光路線では、時期によって運行ダイヤが異なりますが、ここでは天候によってもダイヤが変動します。
「晴れの日」と「雨の日」で運行ダイヤが異なるので、判断に迷うときは、Webサイトなどで確認する必要があります。
ご来光バス
夏の最盛期には、どちらのバス会社でも、早朝に増便になる「ご来光バス」を運行していますが、料金には座席料300円が別途加算されますので注意してください。
また、アルピコ交通のご来光バスは、事前予約制(インターネット予約のみ)とのことなので、公式サイトから申し込みが必要になります。
※掲載された情報は、すべて2022年7月時点のものです。
バスで標高2700mへ
乗鞍スカイライン

今回、自家用車を駐車したのは「ほうのき平駐車場」です。「乗鞍スカイライン」経由で山頂を目指します。
初夏の朝の駐車場はまだ静かで、バス乗り場の周辺にいる人も多くはありませんでした。
バスは1時間に1本で、発車時刻が近づくと、車で待機していた人たちもだんだん集まってきます。


切符は自動販売機で購入しますが、担当の方もいて、帰路の混み具合やご来光バスなど、いろいろな情報を教えていただきました。

発車時刻が迫り、バスがやってきました。ここは濃飛バスの路線なのですが、なぜかアルピコ交通の車両?でした。
この日の第2便に乗りましたが、乗客は20人ほどでした。

バスは「乗鞍スカイライン」を走っていきます。交通規制のため他に自動車はいませんが、サイクリストがけっこう走っていました。

スカイラインからは、遠くに「白山」の山並みも望めます。


山腹を折り返しながら登り高度が上がると、槍・穂高連峰が見渡せるようになります。
道が平坦になると、間もなく「畳平」に到着です。
畳平

「畳平」の駐車場には、シャトルバス以外に駐車する車がいないので、とても広々としていました。
広い駐車場の周りには、「畳平バスターミナル」や「乗鞍本宮中之社」などがあり、間近に「恵比須岳」が聳えています。



登山開始 肩ノ小屋へ


畳平を出発して、まず「お花畑」方面に向かって長い階段を下っていきます。
バス内やバスターミナル周辺では、マスク着用率はほぼ100%でしたが、登山道でもマスク着用で歩いている方がたくさんいます。


バスターミナルの南側には「お花畑」が広がっていて、一廻りする遊歩道がありますが、こちらには寄らずに、雪渓の残る道を真っ直ぐ山頂方面へ向かいます。


やがて登山道は広いダートの車道に出て、ここから肩ノ小屋まではこの道を歩いて行きます。

前方に聳える「摩利支天岳」の山頂に、旧コロナ観測所の白いドームが見えています。

摩利支天岳への道の分岐まで来ると、乗鞍岳山頂(剣ヶ峰)が姿を現します。


ここからは肩ノ小屋へ向かって、摩利支天岳の中腹のほぼ水平な道を歩いていきます。
途中で工事関係と思われる車両3台が追い越していきました。3,000m近い場所ですが、普通に自動車が走っていきます。

道の下にある雪渓には、夏スキーを楽しむスキーヤーたちの姿が小さく見えます。


やがて剣ヶ峰と摩利支天岳の鞍部に「肩ノ小屋」が見えてきて、車道は終りになります。ここまで畳平から40分ほどです。
乗鞍岳山頂へ

肩ノ小屋までは車道歩きでしたが、ここから本格的な登山道が始まります。

振り返ると、摩利支天岳山頂の「旧コロナ観測所」が目の前に見えます。
ここは、すでにコロナの観測は終了して別の施設になっているのですが、白いドームが特徴のこの建物は乗鞍岳の目印でもあり、今もわかりやすく「コロナ観測所」と呼ばれることが多いです。


ここからの登山道は、石がゴロゴロと転がる道で、いかにも溶岩が冷えて固まったような岩が、あちこちに転がっています。




朝日岳との鞍部付近まで来ると、山頂火口にある「権現池」が見えてきますが、まだ半分雪に覆われていました。

この辺りまで来ると、山頂の鳥居もはっきりと見えてきます。


最後の登りは道が2つに分かれますが、矢印は左側の頂上小屋経由の道を示しています。


「乗鞍岳頂上小屋」は売店のみの営業で、記念のオリジナルグッズなどの販売をしています。


最後の登りの途中に岩窟があり、そこを過ぎると山頂の長野県側にある朝日権現社の前に出ます。社を囲む石垣を回り込んでいくと、鳥居のある「乗鞍本宮」の前に出て山頂(3,026m)に到着です。
肩ノ小屋から1時間弱の登りでした。



山頂はたくさんの登山者で賑わっていました。
乗鞍本宮には常駐の方がいて、登頂記念のお守りなどを授かることもできます。



山頂からは、山頂火口周辺の山々がよく見えます。
まだ10時台でしたが、周囲には雲がわいてきて、遠くの山はすでに見えにくくなっていました。そんな中、一瞬雲が晴れて御嶽山を望むことができました。
富士見岳

下山は、まっすぐ鳥居に続いていた道を下りていきます。その後は登った時と同じ道を下りていきました。

次のバスまで少し時間があるので、途中で「富士見岳」を通っていきます。




眼下に恵比須岳や畳平がよく見えます。


「大黒岳」方面へ下り、「鶴ヶ池」のほとりを歩いてバスターミナルに戻りました。

バスターミナルには、すでにバスを待つ人の列ができていました。お昼を過ぎるとかなりの混雑が予想されます。

バスの乗り場は、岐阜県側の「濃飛バス」と長野県側の「アルピコ交通」で別になっているので、表示を確認して間違えないようにしてください。
午後一番のバスに乗りましたが、ほぼ満席でした。
賑やかなグループには運転手から会話を控えるようアナウンスがあり、未だ続くコロナの影響を感じつつ、静かに山を下って行きました。


麓の駐車場へ戻ったのは午後1時半。天気が良く時間にも余裕があるので、帰路のドライブ途中に、どこかへ寄り道をしていくこともできそうです。
関連情報

駐車場
登山の場合は朝早くに駐車場に到着すると思うので、「満車で困った」という状況にはなりにくいと思いますが、長野県側の「乗鞍観光センター駐車場」は駐車台数が多くはなく、周辺を訪れる一般の観光客も多いため、時期や時間によっては駐車場の確保に注意が必要です。
岐阜県側の「ほうのき平駐車場」は駐車台数が多く、乗鞍岳への観光客や登山者専用といった感じなので、駐車に困ることはないと思います。
関東方面からの場合、ほうのき平駐車場へ行くには、有料の安房トンネルを通り、平湯を通り過ぎてけっこう下った所まで行くので遠回りな感じがしますが、自家用車利用での乗鞍岳登山では、最も確実に駐車をして登山に向える選択だと思われます。
登山道
登山道の前半は自動車が通れる道を歩くので、道幅が広く傾斜も緩やかですが、肩ノ小屋からの後半は傾斜が増し、岩だらけの登山らしい道になります。
いわゆる「登山道」を歩くのは、肩ノ小屋から山頂までの50分ほどですが、石がゴロゴロしていたり、岩の上を辿っていったりする道になるので、足と足首をしっかりと保護する靴が必要です。
服装は、天候が良ければ軽装でも特に問題はありませんが、晴れていても風が強かったり霧が出たりする場合があるので、風を避けるウェアは持参したいところです。
途中では、山小屋以外には日陰はまったく無いので、日焼け対策をしっかりとして、水分を多めに持参しましょう。
山小屋
畳平から乗鞍岳山頂の間には、「肩ノ小屋」と「乗鞍岳頂上小屋」の2つの山小屋があります。
肩ノ小屋は宿泊のできるいわゆる山小屋ですが、頂上小屋は売店のみの営業で、宿泊はできません。
山岳道路を楽しむ
畳平へ向かう道には、ヒルクライムに挑戦するサイクリストがたくさん訪れています。
「乗鞍エコーライン」は、乗鞍岳を間近に望み、スキーヤーが夏スキーを楽しむ雪渓を見ながら高度を上げていくルートで、周辺には高原らしい景色が広がり、自然散策路や日帰り入浴施設もあります。
「乗鞍スカイライン」は自動車のCM撮影にも使われるような山岳道路で、槍穂高や笠ヶ岳、遠く白山も望む展望も素晴らしく、観光ルートとして人気のあるルートです。
どちらも景観の素晴らしい道なので、登山と合わせて楽しみたいものです。
乗鞍岳は日帰りでの登山が可能なので、しっかりと「天気の良い日」を選んで出かけることで、爽やかな夏山を満喫する山旅になると思います。

