今回は、北陸の古都「金沢」の街を、自転車で巡ってみました。
金沢観光の定番と言われるスポットを、サイクリングをしながら訪ねていきます。
記事の最後には、観光でレンタサイクルを利用する場合の概要も紹介しているので、合わせてご覧ください。
街めぐりを楽しむ夏
2022年の夏は、多くの地域で観測史上最短の「梅雨」となり、6月中に梅雨明けしました。(追記:その後修正されました)
しかし、その後も日本周辺には前線が居座り、各地に豪雨をもたらすなど、すっきりとした天候にはなりませんでした。
晴れて暑い日は多かったのですが、山では遠方まで晴れ渡る日がほとんどなく、夏山登山を楽しむには難しいシーズンだったと思います。
山登りに適した天候の日がなかなか訪れない中、今年は視線を山から街へと移し、「街めぐり」を楽しむことにしました。
夏は暑く紫外線も強いため、こうした観光にはあまり向いているとは言えない時期ですし、コロナの感染拡大が過去最大という状況ではありましたが、行動制限のない久しぶりの夏なので、感染対策を考慮しつつ出かけてみました。
金沢の街を自転車で巡る
金沢の街は見所も多いので、じっくり見て回るには、1日ではとても足りないという感じです。
観光スポットは市内に点在しているので、歩いて回るのはけっこう大変で、これらを巡るには、市内路線バスの「金沢市内1日フリー乗車券」(大人600円)を入手すると便利です。
これを購入すれば、1日中市内の路線バスが乗り降り自由で利用できます。
しかし、それよりもさらに移動の時間を短縮させるために、今回も「自転車」を利用することにしました。
金沢の街はシェアサイクルなどが整備されているので、新幹線などで訪れても自転車で巡ることは比較的簡単にできますが、今回も「折りたたみ自転車」を持参して「ドライブ&ライド」による街めぐりの旅です。
金沢のシェアサイクル、レンタサイクルの概要は、この記事の最後に載せておきますので、関心のある方はそちらをご参照ください。
定番スポットを巡る金沢一周サイクリング
今回の街巡りは、金沢市観光協会の公式サイトである「金沢旅物語」に紹介されているモデルコースの『初めてなら!絶対外せない定番観光地1日コース』を参考にしています。
定番と言われる観光スポットをめぐりながら、犀川などの川沿いの道も走り、金沢の街を一周する計画です。
金沢市民芸術村
今回、自家用車を駐車したのは、「金沢市民芸術村」の駐車場です。
広大な芝の広場や駐車場を備えた研修施設で、こうした充実した施設があること自体が、この街の文化のあり様を物語っているようです。
金沢駅
まずは、「金沢駅」を目指して走り出します。
JRの線路に沿って、北へ10分ほど走ると金沢駅の駅前広場に出ます。
金沢駅と言えば「鼓門」です。朝の時間帯ですが、通勤客に混ざって、観光客もけっこういるようです。
このあと、金沢駅から浅野川の河畔に出て、川沿いの道をさかのぼって「ひがし茶屋街」を目指します。
ひがし茶屋街
金沢の中心部は、「犀川」と「浅野川」の二つの川の間にあります。
金沢城や兼六園は、これらの川の河岸段丘の上にあるので、そこへ行くにはそれなりに登り坂を走ることになります。
しかし、川沿いをさかのぼるのは傾斜が緩やかで、河畔の風情を楽しみながら走ることもできるのでおすすめです。
浅野川大橋が見えてくると、「ひがし茶屋街」はもうすぐです。
浅野川沿いにある公園に隣接している「東山観光駐輪場」に自転車を駐め、徒歩でひがし茶屋街へ向かいます。200mほどの道のりです。
案内板に沿って進んでいくと、観光案内などでよく紹介されている柳の木が立つメイン通りが見えてきました。
朝のひがし茶屋街は人影もまばらで、まだ開いている店もほとんどありません。
静かな街並みの中をゆっくりと巡りました。
街並みを見るだけなら、朝は静かな散策ができる良い時間帯だと思います。
各家の軒先にトウモロコシがぶら下げられているのですが、どんな由来があるのでしょうか。
ひがし茶屋街を一廻りして駐輪場に戻り、河畔の道を上流へ向かい「梅ノ橋」まで行ってみました。
梅ノ橋のたもとには「徳田秋聲記念館」がありました。
対岸の「鏡花のみち」を走って浅野川大橋に戻り、次は近江町市場へ向かいます。
近江町市場
浅野川の河畔から近江町市場までは、緩やかな登り坂が続きます。
「近江町市場」の鮮魚通り口までやってきました。
市場に隣接している「十間町自転車駐車場」に自転車を駐め、市場の中を散策します。
観光客もけっこういますが、朝の時間帯はそれほどの混雑はありません。様々な魚介が並ぶ市場内を歩いてみましたが、朝の市場はどこか落ち着いた雰囲気が漂っていました。
近江町市場には、朝から食事ができる店がいくつもあるので、こちらで朝昼兼用の食事を摂っていきます。混雑を避けたいなら、午前中がおすすめです。
有名店が軒を連ねる中、今回訪れたのは、市場の外れにある「もりもり寿司市場ふれあい館店」です。
コロナの感染が拡大している状況なので、ボックス席で混雑も少なそうなこちらを選びました。
もりもり寿司は元は回転寿司の店ですが、今は注文したものがレーンで運ばれる形式で、地元の素材が選べるのが魅力です。
「のどぐろ」や「がすえび」などの五点盛りや、「香箱がにの味噌汁」など、地元素材を中心に食べてみましたが、どれもとても美味しかったです。
近江町市場を出て、兼六園や金沢城のある市内観光の中心部へ向かいます。お城周辺へは、緩い登り坂が続きます。
金沢城公園の中は自転車が通れないので、お堀通りを回って兼六園や金沢城の石川門方面へ走ります。
途中で自転車を降り、「白鳥路」に入って歩いて行きました。
白鳥路の沿道には立体の造形作品が置かれていて、金沢ゆかりの文豪たちの銅像などもありました。
兼六園と金沢城公園
兼六園下交差点から紺屋坂を登って、兼六園前にやってきました。道の向かい側にあるのは金沢城石川門です。ここに駐輪して、「兼六園」と「金沢城公園」を見学します。
駐輪場は「兼六園桂坂口」のすぐ脇にあります。
桂坂口を入って緩い坂道を登っていくと、間もなく「徽軫灯籠」があらわれます。
兼六園と言えばこの風景、といっても過言ではない、金沢を代表する超有名観光スポットです。
兼六園は以前にも訪れているので、霞ヶ池や瓢池を一巡りして早めに切り上げ、金沢城公園へ移動しました。
日が高くなり、暑さも厳しくなってきたので、少し急いで回っていきます。
石川門をくぐり城内に入ると、広い芝の広場が広がっています。
正面に長く連なっている「五十間長屋」は平成になって復元されたものですが、天守をもたない金沢城を代表する建物です。
白く羽を広げたような長大な造りは美しく壮麗で、他では見ることのできないものだと思います。
しかし厳しい日差しと暑さのためか、園内を歩く人の姿はまばらでした。
これらの建物の向こうにも広大な公園が広がっていますが、真夏の炎天下の公園は照り返しが激しく、日陰の少ない園内を歩き回るのは避けようと思い、金沢城もここまでにしました。
自転車に戻り、金沢城の石垣を見上げながら、香林坊方面へ下っていきます。
途中で、「金沢21世紀美術館」を通っていきます。
こちらも人気のスポットですが、有名な例のプールなどのエリアは事前に予約しないと見学できない状況で、気軽に立ち寄るのは難しくなっています。
野外の展示物を見ながら園内を一廻りしてから、百万石通りを下っていきます。
百万石通りの途中には「石川四高記念館」があるので、外観を見ていきます。
金沢市内には、赤レンガ造りの建物が多く残されていますが、こちらもその1つです。
金沢の街は多くの文学作品に登場しますが、個人的には、旧制四高で青春時代を過ごした、井上靖の「北の海」の印象が強いです。
長町武家屋敷跡
「香林坊」周辺は金沢を代表する繁華街ですが、大通りから裏へ入ると、閑静な住宅街が広がっています。
その一角にあるのが「長町武家屋敷跡」で、江戸時代の武家屋敷の佇まいが今に残されています。
武家屋敷街とビル群。江戸と現代が混ざり合う金沢ならではの独特の風景です。
旧加賀藩士高田家跡で日陰に入ってひと休みしました。こちらは無料で見学できます。
昼過ぎの最も暑い時間帯に入り、気温はゆうに30度を超えています。空は雲ひとつない晴天で日差しも厳しく、予想していたとは言え、この先の行動をどうするかためらう状況になってきました。
しかし、「にし茶屋街」までは直線だと1kmもない距離なので、もう一カ所だけ頑張ることにします。
犀川の河畔に出て、犀川大橋を目指します。
犀川大橋を渡れば、にし茶屋街はすぐそこです。
にし茶屋街
こちらも人気の観光スポットですが、市の中心からは少し離れているためか、前述の1日モデルコースには入っていませんでした。
そして夏のこの時間帯ということで、歩く人の姿はほぼありませんでした。
にし茶屋街の入口の駐車場に隣接して「にし茶屋街観光駐輪場」がありますが、そこに冷房設備のある無料の屋内休憩所があり、とりあえずひと休みします。いったんクールダウンでき助かりました。
「にし茶屋街」は、ひがし茶屋街に比べるとこぢんまりとしていますが、落ち着いた美しい街並みが続いています。
最も暑い時間帯を迎え、金沢の「街巡りサイクリング」はここまでにしました。犀川の河畔を市民芸術村に向かって下っていきます。
車に戻ると、すぐにエアコンを全開にして火照った体を冷やしました。
街巡りを終えて
金沢は街の中に見所が点在しているので、自転車で巡るのに向いている街だと思います。
落ち着いた雰囲気の美しい史跡や街並みと、活気ある街の姿が混在し、自転車という移動手段を使うことでこれらを肌で感じることができ、街巡りの魅力もアップすると思います。
今回はルートの中に、浅野川や犀川の「川縁の道」を走ることも意識して取り入れましたが、こうしたことができるのも自転車旅ならでは、だと思います。
自転車利用の環境が整備されているので、これを活用すれば、より多くの街の姿に出会えると思います。
しかし、わかってはいましたが、やはり夏のこの時期のサイクリングはちょっと厳しいな、というのが今回の感想です。街巡り自体はよかったので、気候の良い時期にじっくりと回るのが正解だと思います。
今年の夏は、山行を控え街巡りの旅をしましたが、炎天下のサイクリングを終え、涼しい風に吹かれながらの稜線歩きを少しだけ懐かしく思い出しました。
自転車の街 金沢
公共シェアサイクル「まちのり」
金沢は自転車環境の整備された街で、街の中に設置された約70か所のサイクルポートで自転車を借りたり、返したりできる公共シェアサイクルサービスがあります。
しかも、すべて電動アシストを搭載しているため、アップダウンのある道も負担が少なく移動できます。
利用するには、専用のスマホアプリから会員登録をしますが、会員登録しないで、1日パスを活用して利用することもできます。
料金 1回会員:最初の30分150円、以降30分ごと100円追加
1日パス:1,300円又は1,500円(購入場所により異なる)
※すべて税別
貸出・返却 :24時間可能(1日パスは貸出日の23:59までに返却要)
利用可能台数:500台
※まちのり事務局 ℡:0120-3190-47 https://www.machi-nori.jp/
レンタル自転車「カリッパ」
「まちのり」の公式サイトを見ると、上記のシェアサイクルについての画面になってしまうのでわかりにくいのですが、よく見ていくと「レンタル自転車Carippa(カリッパ)」というのも紹介されています。
観光に来て1回しか使わないのであれば、わざわざ利用方法を確認したりアプリ登録をしたりする必要がなく、システムもシンプルなこちらの方がおすすめかもしれません。
こちらは電動アシスト付きと普通の自転車の2タイプから選ぶことができます。
しかし、台数が不明で事前に予約ができないため、確実に利用できるか分からないのは注意すべき点です。
概要を以下にまとめておきます。詳細は「まちのり公式サイト」から確認してください。
○貸出・返却は、まちのり事務局のみ(金沢駅から徒歩数分)
○個人での事前予約は不可
○支払いは現金のみ
○スマートフォン・携帯電話が必要
○利用時間 9:00~18:00
電動アシストタイプ:半日(4時間以内) 700円(税込)
1日(4時間以上) 1,000円(税込)
スタンダードタイプ:1日 500円(税込)
※掲載されている情報は、すべて2022年8月時点のものです。