全国で一ヶ所だけ、海沿いの砂浜を自家用車で走ることができる一般道があります。それが、能登半島の西海岸を走る「千里浜なぎさドライブウェイ」です。
今回は、夏の「千里浜なぎさドライブウェイ」の様子を紹介します。
千里浜なぎさドライブウェイとは

波打ち際を走る道
「なぎさドライブウェイ」は、日本で唯一、一般の自動車が海岸線の砂浜の波打ち際を走ることができる道路で、石川県羽咋郡宝達志水町今浜から同県羽咋市千里浜町に至る延長約8kmの観光道路です。
天候が悪く海が荒れている時は、規制がかかり通行禁止になってしまいますが、基本的に一年を通して通行が可能です。
ここは「本当の海辺の道」なので、間近に海を感じ、浜辺に打ち寄せる波を見ながら走ることのできる、唯一無二のドライブコースです。
道路状況と周辺施設
千里浜にある記念碑によると、この道は三十数年前、一人の観光バス運転手が広々とした波打ち際を思いっきり走れたらと、空バスを試走させたのが始まりとのことです。
路面は湿った細かい砂で、堅く締まった状態になっているので、どんな車両でもタイヤが砂に沈んでしまうことはなく、おおむね安定した走りができます。(ところどころにある乾燥している部分は走りにくいので注意が必要です)
南北方向に、ほぼ直線状の砂浜の道が見渡す限り続いており、途中には海水浴場が点在したりして、夏は海を楽しむ人々の姿が混じる独特の光景です。
途中の沿道には、浜茶屋というか、海のドライブインとも言えるような、ハマグリなどの浜焼きの店が並んでいたりもします。
アプローチ
のと里山海道

「千里浜なぎさドライブウェイ」へは、並行して走っている「のと里山海道」を通って行くのが一般的です。
「のと里山海道」は、金沢市から穴水町までを結ぶ自動車専用道路で、かつては有料道路でしたが、現在は無料で走行できます。
金沢側の始点である千鳥台交差点からは、距離約25km、およそ20分のドライブで、南側のスタート地点である「今浜口」へ行くことができます。

「のと里山海道」は「日本の道100選」にも選ばれている風光明媚な道で、ここでも快適なドライブが楽しめます。
道の駅 高松里海館

途中にある「道の駅高松里海館」に寄っていきます。


海を望む気持ちの良い「道の駅」で、格好の休憩スポットです。




館内の海側は全面ガラス窓になっていて、広く日本海を見渡すことができます。

この一帯は、日本海に沈む「夕日スポット」としても有名なので、館内にはその日の「日没時間」を知らせる表示もありました。夕日を見にやってきた人には、ありがたい情報かもしれません。

海を望むテラスには「足湯」があり、絶好のロケーションです。夕日を見ながらゆっくり浸かってみたいものだと思います。


浜辺に下りる道もあり、波打ち際を散歩する人の姿も見えます。

浜辺を歩いたり、足湯に浸かったりして、いろいろな楽しみ方ができそうな道の駅でした。
今浜


「なぎさドライブウェイ」が近づくと、道路沿いに案内の表示が出てきます。

金沢側から訪れる場合は、「今浜IC」で「のと里山海道」を下ります。

今浜ICを下りた後も、交差点ごとに案内表示があるので、迷うことはありません。

道はやがて海辺へと続いて行き、いよいよ「千里浜なぎさドライブウェイ」が始まります。



砂浜を走り始めると、間もなく「今浜海水浴場」があらわれ、道はいったん浜辺から高台に上がります。


浜辺が海水浴場になっている部分は、浜茶屋の裏の道を通って行きます。

海水浴場が終わると、道は再び浜辺に戻ります。

遙か彼方まで砂浜の道が続いていますが、ここは道路標識も立つ一般道です。


沿道には、ところどころで車を駐めた人たちが、波打ち際で楽しむ姿が見られます。

出浜

「出浜」周辺には、浜焼きの店が並んでいます。ここも海水浴場のようですが、ドライブウェイは浜辺を通って行きます。



波打ち際に出て、波に浸かりながら走っていく車もいました。

どこでも波打ち際を走れるわけではなく、ロープが張られていて、波打ち際に出られない部分もあります。

出浜から進むと、中間地点より少し手前に「柳瀬出口」があり、ここでドライブウェイから出ることができます。

ルートの中間を過ぎたあたりに、一ヶ所だけ「トイレ」がありました。

このあたりには海水浴の人もいないので、海鳥たちがやってきて羽を休めていました。


千里浜

「千里浜IC」への出口の案内板があらわれると、このルートも終盤です。

ここから先は海水浴を楽しむ人の姿が増えてきます。
やがて「千里浜海水浴場」の前で浜辺の道は終わり、「なぎさドライブウェイ」は終了します。



なぎさドライブウェイの千里浜側終点には「能登千里浜レストハウス」があり、駐車場には、砂で造られた作品が並んでいました。



海風が心地よく吹いていましたが、照りつける日差しが厳しく、観光客はみんなレストハウスの中にいて、テラスに人影はありませんでした。


海を間近に感じつつ、ひとときの浜辺のドライブを楽しみました。
海辺を走る楽しみを存分に体感できるルートです。一度は走ってみることをおすすめします。
四季を通して走ることができますが、渚を走るなら、やはり夏を満喫するこの時期がよいのではないかと思います。そして、夕暮れ時に、夕日を見ながら走るのも印象深いだろうと思います。
関連情報

「千里浜IC」の近くに、「道の駅のと千里浜」があります。
こちらには、足湯があったり、能登特産の塩を使ったジェラートが味わえたりするのですが、浜辺を走ったドライバーにはありがたい施設もあります。
駐車場の一角に「タイヤシャワー」があり、ここでタイヤ回りの砂や海水を洗い流すことができます。


タイヤの側面や車両の下から、約1分間シャワーが出て、砂や海水を洗い流します。(水は水道水ではなく井戸水だそうです)
こちらは無料で利用できます。
