日本三景の一つとして知られる「安芸の宮島」。
宮島に鎮座する「厳島神社」は世界文化遺産にも登録されています。
今回は「安芸の宮島」を訪れる際の交通機関や「弥山」登山など、島内の様子について紹介します。
安芸の宮島
世界遺産「厳島神社」
「安芸の宮島」は、日本三景のひとつとして古くから知られていますが、なかでも宮島観光の中心になるのは「厳島神社」です。
海に浮かぶ朱塗りの大鳥居や社殿の姿は、誰もがどこかで一度は目にしたことがある、というくらい有名なものです。
厳島神社の創建は推古天皇の時代(593年)と伝わり、平家が篤く信仰したことで知られており、海上の社殿は「世界文化遺産」にも登録されています。
伊藤博文が絶賛した眺め「弥山」
厳島神社の背後に聳えるのが「弥山(みせん)」です。
風化した花崗岩の巨石が重なる山体は信仰の対象となっていて、平安時代に弘法大師空海が開いたと伝えられています。
初代総理大臣 伊藤博文は、弥山からの景観を「日本三景の一の真価は頂上の眺めにあり」と語ったそうで、山上からは瀬戸内海の美しい風景が広がります。
宮島を訪れるなら1日かけて
そんな「宮島」を、今回初めて訪ねてみました。
「宮島」は広島の市街地から20kmほど離れていて、なおかつ海を渡る必要があるので、訪ねるにはそれなりに時間のかかる場所です。
そのため、これまで広島には行っても、宮島まで足を延ばすことはありませんでした。
「日本三景」は、これまでに「松島」と「天橋立」には行っているのですが、「宮島」には行ったことがなかったので、今回、日本三景コンプリートということで、日程が厳しい中でしたが、半日を割いて広島から訪ねてみました。
今回行ってみて改めて思ったのは、「宮島」を観光をするなら「1日かけて巡りたい」ということです。
「厳島神社」だけなら半日でも大丈夫だと思いますが、今回「弥山」にも登るつもりだったので、半日では時間が足りませんでした。
行程の計画では「時間的には大丈夫」なはずだったのですが、弥山の山頂まで行くには、ロープウェイの待ち時間を十分にとるなど、余裕をもった計画が必要であることを感じました。
アプローチと所要時間
広島~宮島
宮島を訪れる場合、島内の宿に泊まることもできますが、ほとんどの方は「広島から日帰り」で訪れると思います。
広島市内からは、JR山陽本線か広島電鉄宮島線で「宮島口」まで来てフェリーで島に渡るか、広島港から直接宮島へ向かう船に乗るかという選択になります。この移動にはいずれも1時間くらいは必要です。
自家用車の場合は、宮島口周辺の駐車場を利用することになりますが、時期や時間によっては混雑や渋滞もあり、状況によってかかる時間は大きく変わるので、土地勘のない方は公共交通機関利用の方が時間が読めると思います。
厳島神社を参拝
「宮島口」と「宮島」の間のフェリーは、乗船時間約10分です。また宮島のフェリー乗り場から厳島神社までは、歩いて10分ほどの距離があります。
ここまで広島市内を出発してから厳島神社までにかかる時間を合計すると約1時間半。往復だと3時間ほど必要です。
さらに厳島神社周辺の見学時間を1時間とすると、厳島神社だけを観る場合でも、広島市内から往復するには、最低でも4時間程度は必要になります。
弥山に登る
「弥山」に麓から歩いて登る場合、往復で3~4時間程度必要です。
海に浮かぶ島の登山は独特の景色が楽しめるので、できれば1日かけて歩いて登りたいところです。
しかし、今回は時間がないので「ロープウェイ利用」で登るように計画しました。
「ロープウェイを使えばそれほど時間はかからない」と考えていたのですが、結果的に時間が足りずに、弥山山頂まで行くことはできませんでした。
時間が足りなくなった理由は「ロープウェイの乗車待ち時間」がかなりかかったためです。
閑散期でもない限り、ロープウェイにはかなりの待ち時間が必要で、場合によっては歩いて登るのと大差ないくらい時間がかかることもあるようです。
いずれにせよ、弥山に登る場合は、時間的に十分に余裕のある計画が必要です。
宮島口からフェリーで宮島へ
3月の下旬、昼過ぎの列車で広島から宮島口へ向かいました。
アプローチに列車利用の場合、「広島電鉄」だと宮島口駅の目の前にフェリー乗り場がありますが、「JR」の場合は宮島口駅からフェリー乗り場まで5分ほど歩きます。
フェリーは「JR西日本」と「松大汽船」の2社が運行していて、どちらも15分おきに出航し、運賃も同じで、大人片道180円(往復360円)です。
宮島行きの便は、宮島の港へ真っ直ぐ向かわずに、「大鳥居」の近くを回って行ってくれるので、乗船する際は船の右側に乗るのがおすすめです。
厳島神社
フェリーターミナルの前は広場になっていて、たくさんの観光客が行き交っています。まずは「厳島神社」へ向かいます。
海辺の道を行き、石の鳥居を通って神社の境内に入っていきます。
この道の周辺にはたくさんの鹿が歩いていました。
やがて海の中に、朱塗りの「大鳥居」が見えてきます。
ちょうど潮が引いた時間帯で、鳥居の周囲にはたくさんの観光客が集まっていました。
大鳥居は、約3年半にわたる改修工事が昨年末に終わり、鮮やかな美しい姿を見せていました。
厳島神社の入口には入場待ちの行列ができています。
潮が引き、大鳥居周辺まで行ける今のうちに行ってみようと思い、先に「大鳥居」へ行くことにしました。
神社の裏を一廻りして、海辺へ下りていきました。
大鳥居
水が引いた部分を辿って、大鳥居の下までやってきました。周囲にはたくさんの観光客が集まっています。
改修したばかりの大鳥居は鮮やかな朱色で、海辺の景色の中に映えます。
支える柱も、このような太さです。
弥山
伊藤博文が「日本三景の一の真価は頂上の眺めにあり」と語ったといわれる「弥山」からの眺め。
これを見てみたいと思い、今回の訪問の目的の一つだったのですが、結論から言うと、弥山の山頂まで行くことはできませんでした。
それは何故か・・・。ロープウェイ乗り場に大渋滞が起きていたからです。
しかしこれは特別なことではなく、むしろ日常茶飯事のようでした。
ロープウェイ乗り場へ
大鳥居から戻り、ロープウェイの終了時刻が厳島神社が閉まるよりも早いので、神社は後に回して、先に「弥山」に向かいます。
ロープウェイの「紅葉谷駅」を目指して坂道を登っていきます。
「紅葉谷駅」へは、厳島神社の裏から紅葉谷公園内の遊歩道を歩いて15分ほどです。
紅葉谷駅前の階段には、乗車待ちの行列ができていました。
時刻はすでに午後3時なので、上りの待ち時間はそれほど多くはないようですが、下りはかなりの待ちが発生しているようです。
とりあえずロープウェイに乗って、上まで行ってみます。
獅子岩
紅葉谷駅から榧谷駅の間は、8人乗りの小さなゴンドラが1分おきに出発していくので、比較的早く流れていきます。乗車時間は10分ほどです。
榧谷駅から獅子岩駅の間は、30人乗りの大きなゴンドラに乗り換えますが、1台ずつのゴンドラが行き来する間は待つことになるので、待ち時間が長くなります。
それでも、午後ということもあり、上りの待ち時間はそれほどでもありませんでした。
榧谷駅~獅子岩駅の間は、瀬戸内海の景色が見渡せて展望がよいです。乗車時間は5分ほどです。
獅子岩駅を出ると、駅の前には下り便の乗車を待つ長い長い行列ができていました。
まずは「獅子岩展望台」へ行ってみます。
展望台からは、島々が浮かぶ瀬戸内海の景色が広がります。
木々の緑と海の青に、島の白い岩が映える絶景が広がっています。
獅子岩駅へ戻ると、ロープウェイ待ちの列は遙か彼方の登山道の向こうまで続いていて、終わりが見えません。
弥山まで行くのはそれほど時間はかからないと思いますが、行ってきた後、この渋滞だと下れるのは何時になるのか・・・。
まだ厳島神社の参拝もしていないし、帰りの時間も考えて、残念ですが弥山はここまでにしました。
下りのロープウェイに乗るまでに、1時間近く並びました。
再び厳島神社
ロープウェイを下りて、再び厳島神社へ向かいます。
厳島神社の拝観時間は18:00までなので、まだ余裕がありました。
潮が引いている間は社殿も土の上で、海に浮かぶ姿を見たいのであれば潮が満ちた時間帯に訪れる必要があるのですが、島で宿泊でもしないと干潮と満潮の両方の景色を見るのは難しいです。
長い回廊でつながる社殿の中を巡っていきます。
大鳥居を背景に撮影できる場所は人気のスポットで、順番待ちの列ができていました。
夕日が差してくると、社殿の朱色はいっそう鮮やさを増してきました。
社殿を出る頃には、潮が満ちてきて、大鳥居の周辺はすでに海の中でした。
広島風お好み焼き
広島といえば、やはり「お好み焼き」。帰路で食べていくつもりです。
もう時間も遅いので、夕食は広島駅でと思い駅内の店を見てみましたが、何処も待ちの長い行列ができています。
それでもと思い、一番列の短い店に並んで約40分。なんとかお好み焼きを食べることができました。
牡蠣も食べたいので焼牡蠣とのセットで注文しました。
人気の観光地では、何処も行列に並ぶことになるので大変ですが、とりあえず日本三景コンプリートの旅を終えました。
次回来る時には弥山に登頂し、「海に浮かぶ厳島神社」を見てみたいものです。