冬はスキー場として賑わう「野沢温泉」ですが、夏も高原のアウトドアを楽しむエリアとして充実しつつあります。
しかし温泉街というのは、夏はどちらかというと閑散期で、人影もまばらで落ち着いた雰囲気があります。
夏のある日、北信濃の山里にある鄙びた温泉街を歩いてみました。
野沢温泉の街歩き
長野オリンピックの会場にもなった「野沢温泉」は、スキーヤーやスノーボーダーにはお馴染みのエリアですが、近年は海外にも知られるようになり、たくさんの外国人訪問者も訪れるようになっています。
夏も「奥志賀方面」への入口として、ドライバーやライダーもやってくる地域なので、このブログでも以前に取り上げています。
これまでに何度も訪れてはいるのですが、これまでこの温泉街をゆっくり歩いてみたことはありませんでした。
今回は車を降り、夏の温泉街を散策した時の様子を紹介します。
駐車場
古くからの温泉街は、狭い通りに旅館や飲食店が密集していることが多いので、車で入り込むのはあまり適していません。
周辺を散策をするなら、少し離れた駐車場に駐めて、歩いて巡るのがおすすめです。
夏の温泉街は人影もまばらなので、温泉街に近い駐車場でも、駐車に困ることはないと思います。
しかし中心街から少し離れると無料の駐車場もあるので、時間があるのであれば、少し離れた駐車場から歩いてみるのもよいと思います。
温泉街の中心から数百m坂道を下った所にある「横落駐車場」は、無料で駐車できました。
温泉街へ
温泉街の中には、「外湯」といって、旅館等にあるものとは別に誰でも入ることができる温泉施設があります。
野沢温泉にはこうした「外湯」が13もあって、観光客でも自由に入ることができます。
こちらの外湯は、地域住民の皆さんが管理運営をしていて、入浴料というのはなく、入口にある賽銭箱に、寸志として任意の金額を入れるのがルールのようです。
この時代にこんな奥ゆかしいやり方で運営しているのが、何とも好ましく感じられます。
野沢温泉の湯は、どこもけっこう熱めなので、熱いのが苦手な人は要注意です。
横落の信号から東へ向かい、「大湯通り」方面へと進んで行きます。
東へ向かって進んでいくと「大湯」の前に出ます。「大湯」は野沢温泉を代表する外湯です。
新しくできた蒸留所へ
新しくできたという蒸留所を訪ねるため、大湯から「長坂通り」を登って行きます。
細い坂道を登って行き、野沢温泉ホテルを過ぎた道沿いに、蒸留所の小さな看板が出ていました。
蒸留所は道沿いではなく、少し奥まったところにあるので、気をつけていなければ通り過ぎてしまいそうです。
こちらで造っているのは「ジン」という洋酒ですが、建物の外観は「和」を感じさせます。
重厚な扉の奥には、たくさんの熟成樽が並んでいました。
ジンなのに熟成させるのか、と思ったのですが、ウイスキー造りも進めているようです。
現在は、4種類のクラフトジンが製造、販売されています。
いろいろなオリジナルグッズも用意されていました。
試飲ができるようなので試してみました。(1回500円)
4種類のジン、水と氷が提供され、それぞれの説明が記されたカードも渡してくれます。
この他にも、別料金でソーダ水などを頼むこともできます。
使用しているスパイスなども展示されていて、香りを確かめることもできました。
ジンというとカクテルのイメージで、単体で飲むことはあまりなかったのでよい経験でした。個人的にはジンよりもウイスキーができあがるのが楽しみという感じです。
麻釜で足湯&温泉たまご
蒸留所を出た後、山沿いの歩道を「麻釜」へ向かって歩いて行きました。
山ぎわの小さな広場に、湯気の湧く「麻釜」がありました。
麻釜は、90℃近い温泉が湧出する国の天然記念物です。野沢温泉の湯が熱いのは、源泉の温度が高いからなのでしょう。
読みは「おがま」ですが、「麻釜」と書くのは、かつてこのお湯で麻を茹でていたことによるそうです。
ここは高温で危険なので、地元の方以外は立ち入ることはできません。
すぐ近くにあるおみやげ店では「温泉たまご」が売られていましたが、「生たまご」もあるとのことなので、自分で温泉たまごを作ってみることにしました。
この先にあるミニ温泉広場「湯らり」で作れるということです。
温泉たまごができるまで、「足湯」に浸かりながら待ちます。
目安の時間が表示されていますが、周辺に温度計がなかったので、ゆで時間はほとんど「勘」です。
それでも、ちょっと半熟ぎみで、まずまずのできあがりでした。
「ミニ温泉広場」からは温泉街の街並みが見下ろせ、しばらくのんびりと足湯を楽しみました。
「麻釜」から坂道を下ってくると、「大湯」前の広場に、スキー場で以前使用されていたゴンドラが展示されていました。
広場の前には「大湯」があり、一回りして再びここへ戻ってきました。
野沢温泉は季節や時間によって様々な姿があり賑わい方も違うのですが、夏の昼下がりに、静かな温泉街の散歩を楽しんだ小さな旅でした。