【危険物乙4】本当に10日で受かるか乙4試験に挑戦してみた

【危険物乙4試験】合格に必要な最小限の対策で試した受験体験記

この3年ほどの間、コロナ禍で家で過ごす時間が長い時期が続きました。

そんな中、この時間を使って何か役立つ資格に挑戦してみては、と思い、「危険物乙4試験」を受験してみることにしました。

今回は、参考書との出会いから合格までの様子を、実体験に基づいてまとめてみました。

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受験のきっかけ

参考書との出会い

コロナ禍で自宅で過ごす時間が長い時期が続くと、手持ちぶさたになることも増えてきて、この時間を少しは有効に使えないかと考えるようになりました。(自由に出かけられる今となっては、一時の気の迷いとしか思えませんが)

漠然と「何かやってみようかな」と考えていたある日、書店を訪れた際に、資格試験参考書のコーナーを覗いてみました。

そんな時に、ある本の文字が目に入りました。

   

それは「危険物乙種4類」という資格の受験参考書で、「10日で受かる!」の文字に惹かれて手に取ったのですが、表紙には学習本には似つかわしくないマンガが描かれていて、第一印象は「軽いな~、この本は大丈夫かな~」と思うものでした。

しかしページをめくってみると、カラーの図やイラストを多用して、初めての人にもわかりやすい解説になっていて、若い人も取り付きやすい本だなと思いました。

付録には「丸暗記ノート」という覚えるべき重要点をまとめた小冊子まで付いていて、受験生のために丁寧に作られた本だと感じました。

   

「誰が書いているのだろう」と思って著者プロフィールを見ると、書いていたのは現役の工業高校の先生でした。

資格試験に臨む生徒たちを「何とか合格させよう」と作ったテキストが基になっているそうで、分かりやすい表記や最小限に絞られたポイントなど、いたる所に教え子たちへの愛を感じます。

乙4試験について調べてみると、学習内容はそれほど多くはないので、初学者でも本当に10日で可能ではないかと思えました。

そこで「10日で合格」を目指してみようと思ったのが始まりでした。

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危険物乙4とは

危険物取扱者乙種4類」というのは、引火性の液体を扱う資格で、身近なもので言うとガソリンや灯油などがあります。

かなり有名な資格で保有者も多いので、受験前からそういう資格があることは何となく知っていました。

私もキャンプで灯油やガソリンを使っていたし、趣味で車にも乗るので、主に油類を扱う乙4は、比較的身近に感じる資格でもありました。

出典:総務省消防庁 消防白書より

危険物は金属、薬品、油類など多岐にわたりますが、大きく6つの「類」に分けられています。

そしてこれを取り扱う資格も、甲、乙、丙と3段階あり、「甲種」は6つのすべての類を扱うことができる資格、「乙種」は6つの類のそれぞれの類だけを扱うことができる資格で、第4類のみを扱うことができる資格が「乙種第4類」で、通称「乙4」と呼ばれています。

難易度

世の中にたくさんある国家資格の中では「乙4」は比較的簡単な部類に入るもので、資格試験の入門編として受験する人も多いようです。

試験というものにご無沙汰している私のような者が取り組むには、ちょうどよい難易度かなと思います。

受験資格の規定は特にないので、誰でも受けられる試験です。

この試験の合格率は30~40%ということですが、これは「何となく受験」をする人が多いからで、本当に真剣にこの資格を目指す人たちに限れば、合格率はもっとずっと高いと思います。

受験までの準備

試験は、全国各地で年に数回行われており、受験機会は多い資格だと思います。

しかし、申し込み期間は試験日の2ヶ月ほど前になるので、実際に受験しようと思ったら、次の申し込み期間を待ち、その後さらに試験当日まで待つことになるので、タイミングにもよりますが、試験までに数ヶ月かかり、合格発表後に免状を申請をして、実際に入手するまでには半年近くかかる場合もあります。

受験勉強は10日で何とかなるとしても、思い立って10日ですぐに資格が手に入るという訳ではありません。

受験にかかる費用

受験の申請は、オンラインで簡単にできました。(郵送でもできます)

受験料は4,600円で、こちらもネットで決済できるので、自宅から出ることなく申し込みは完了します。

なお、試験に合格して免状を申請する際には、さらに手数料2,900円が必要になります。

その他、免状は郵送になるのでその封筒、切手代なども含め、この資格を入手するための費用は、およそ8,000円ほどになります。

今回は学習参考書はこちらの1冊しか購入していないので、総費用は1万円以下でした。

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受験までの学習

受験の申し込み期間を待ち、受験の申請をした後は、しばらくは何もせず、参考書を手に入れたのは、試験のおよそ1ヶ月前でした。

「10日間」を確かめるためには、10日前まで何もしないのが本来の立場なのかもしれませんが、受験するからには落ちたくはなかったので、あらかじめこの本の全体像を確かめておこうと思い、参考書は少し早めに入手しました。

そして10日とは言っても、実際には毎日必ず学習を行えるとは限らないので、スタートは多少余裕をもって20日前くらいでした。

学習を始めたのはおよそ20日前でしたが、実際に学習した日数は10日+α程度だったと思います。

時間的には1日1時間の日もあれば、数時間かけて過去問を何回分かやった日もあり、単純に日数だけでは計れない部分もあります。

基本的には本の構成に沿って1日1章ずつ10日間学習し、ちょっと心配だったので、その後過去問を数日やったという感じです。

学習の進め方

購入して本の内容や構成を見てみると、この本は10章で構成されていて、1日1章ずつ学習していく形になっていました。

1、3、5、7章はポイントをまとめた解説で、2、4、6、8章は前の章の演習問題になっていて、1日学ぶと翌日は問題をやってみるという繰り返しになっています。

そして9章は全体を通した重要問題130問、10章は模擬テスト2回分となっています。

学習するのは4章分4日間ということになり、あとの6日間は問題をやってみるという構成からも分かるように、学習内容は必要最小限に絞られています。

元々の学習内容が多くはない試験ですが、それでもかなり絞り込まれている感じがしました。

この後、実際に過去問をやってみた時、この本ではまったく触れていなかった名称や事案が出題されていたので、まさに合格に必要最小限の知識だけをまとめたものだと思いました。

それぞれの章の内容量も均一ではなく、最も少ない4章は8ページ、最も多い9章は85ページもあるという大きなバラツキがあるので、そもそも一定のペースで学習できるという内容ではありません。

10日間のリズムを作るという分かりやすい構成ですが、実際には多少余裕をもった日程が必要だと思います。

学習内容

危険物取扱者試験では、下記の3科目について出題されます。

出題は全35問で、「法令」に関する問題が少し多くて15問、その他は10問ずつとなっています。

合格のためにはそれぞれの科目で6割以上の正解が必要で、どれか一つの科目でも合格ラインに達していないと、合計点がよくても合格にはなりません。

   

学習をする中で、個人的に一番面倒だと思ったのは「法令」に関する部分でした。

「法令」は、普段の生活で馴染みがないものなので、すべて覚える必要がありました。

一方、「物理・化学」や「性質・予防・消火」については、科学的な知識があればある程度分かる内容なので、それほどの時間は要しなかったという感じです。

特に「物理・化学」は、人によって学習時間が分かれるポイントだと思います。

文系で理科のことは忘れたという方は、基本知識をおさらいする必要がある場合もありますし、理系で馴染みのある方は、ひと通り読んで問題をやればほぼクリアという場合もあります。

   

この本の1・3・5・7章の内容は、各ページごとに暗記のポイントや要点が簡潔にまとめられ、カラーのイラストや図、表で見やすく表示されていて分かりやすいです。

「文字が並んでいても頭に入らないなぁ・・」という方には、とても良い参考書だと思います。

「とにかく1日1章」という気持ちで取り組めば、10日後にはそれなりの知識が身についていることは間違いありません。10日だけだと思うと、怠け者の私でも頑張れました。

留意点

学習を始めるとみんな気づくと思いますが、資格試験には「法令」の知識が欠かせず、独特な言葉がたくさん出てきます。

普段の生活とは違い、法令ではどの言葉・名称を使うかが厳密に決められており、言葉の扱いをしっかりと理解する必要があります。

たとえば「許可」と「承認」と「認可」は、普段の生活では曖昧に使っていますが、法令ではそれぞれの意味が違いますし、誰がどの命令を出すかも明確に決められているのでしっかり理解しておく必要があり、曖昧さを残さないように留意する必要があります。

こうした区別をしっかりと確認しながら覚えるように気をつけました。

とにかくこの本に記載されている暗記項目を覚えていれば、ほぼ合格点は取れるので、暗記に励み、その情報を問題に応じて取り出せるように練習しておくことが大切です。

過去問

本での学習を一通り終えた後、実際の過去問の様子を見てみようと思い、ネット上に公開されている過去問をやってみました。

過去問をやり始めてみると、やはりこの本1冊では内容的に少し足りないのではないか、と感じたことも事実です。過去問や実際の試験では、この本に出てこない内容を問う問題がいくつも出題されていました。

この本は最小限の内容に絞ってあるので、最初から捨てている問題もあるという前提でできています。

そういう学習状況の中では、思い違いなどで少しでも不正解を出してしまうと、合格ラインに届かない可能性もあります。

少し心配でもあったので、それを補うために、この本以外にもネット上にある過去問をやってみることにしました。(過去問を紹介している無料サイトはいくつもあります)

そして過去問でわからないところがあった時に、この本で調べてみても、まったく触れられていないことも少なくありませんでした。

そんな時は、用語などもネットで調べ、多少知識を補強しました。

そんなわけで、過去問は必ずやるべきで、多ければ多いほどよいと感じました。できるだけ取り組んでおくことが合格につながると思います。

試験当日

試験の回答は、5つの選択肢の中から解答を1つ選びマークシートに記入する方式で、学生さんにはお馴染みのものです。

試験時間はたっぷりあるので、わからない問題は後回しにして、できるところから確実に記入していきます。

わからなかったところは、じっくりと時間をかけて問題を読み、問われていることは何かを考え、それでもわからなければ最終的には「勘」ということになります。

回答の選択肢の中には「あり得ない」と思うものも必ずあるので、それを除外すると、勘だとしても正解する確率は1/2~1/3程度はあると思います。

試験会場から退出してもよい時間になると多くの方が席を立ちますが、その中には「何となく受験」の人たちもたくさんいるので、惑わされずに自分のペースで時間をかけることが大切です。

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試験を終えて

こういう試験は、「危険物の扱いは常識である程度知っている」という範囲で何とかなるものではありません。

化学的な知識も問われるのですが、最も多いのは法令に基づく知識で、用語や数値を正確に理解し記憶することが必要な試験です。

計算の必要な問題もありますが、公式に当てはめる程度の簡単なものだけなので、きちんと復習すれば大きな負担になるほどではないと思います。

学習する範囲も油類やアルコールなどに限定されているので、それほど広範囲に覚えるものでもありません。

しっかり取り組めば、10日で大丈夫かは別にして、高校生でも必ず合格できる資格であることを感じました。

この資格があれば、ガソリンスタンドなどでアルバイトをすることもできるので、興味のある学生さんはぜひ取り組んでみてほしいと思います。

そして「資格試験とはどういうものか」を知るという意味でも、貴重な経験になると思います。

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終わりに

結果的に1回の試験で合格することができました。学習本はこの一冊を利用しただけなので、この本のおかげだと思います。そして10日の学習で合格することは十分に可能だと思いました。

一方で、資格を手にしたものの、まだ知らないことが多いことも感じています。

今回学習した内容は、とにかく試験に合格することだけを目的にしているので、まだ知らないことばかりであることは確かです。

この資格を生かした仕事に就くのであれば、より深く学習することが必要不可欠であることも感じています。

何事もそうですが、それを仕事にするなら、常に学ぶ姿勢が大切だと思います。

興味本位で始めた資格取得の挑戦も、最後がこんな真面目な感想になってしまいましたが、いろいろな意味でよい経験だったと思います。

今のところガソリンスタンドでアルバイトをするつもりはありませんが、いつかやってみたいという気持ちも少しだけあります。