蓼科山への登山口「大河原峠」を通り、女神湖へと続く「蓼科スカイライン」。
いくつかの林道を繋いだこの道は、標高2000mを走り、北アルプスから浅間山まで長野県北部の山々を見渡す絶景が魅力のルートです。
今年の冬は、ラニーニャ現象などの影響で、例年より寒い冬が予想されています。山岳ルートも雪の訪れが早いかもしれません。
10月も後半を迎えた秋晴れの日に、紅葉の始まった「蓼科スカイライン」へ走りに行ってみました。
蓼科スカイラインとは
「蓼科スカイライン」は、佐久市の国道141号線から、蓼科山麓の「大河原峠」を経て「女神湖」へ至る、全長38.6Kmの林道「大河原線」「唐沢線」「夢の平線」の愛称です。
建設時は有料道路でしたが、現在は全線無料で走行できます。
いくつかの林道をつないだこの道は素晴らしい景観に恵まれ、途中には宇宙観測のパラボラアンテナがあるなど、ツーリングも楽しいルートです。
最高地点である「大河原峠」の標高は2,093mで、2000mを超える山岳ドライブが楽しめますが、全線舗装された走りやすい道です。なお、冬期間は雪のため通行止めになります。
大河原峠は「蓼科山」の登山口でもあるので、登山者も多く訪れています。
洞源湖
蓼科スカイラインの入口となる国道141号線「洞源湖入口」の交差点へは、中部横断自動車道佐久南インターから10分ほどです。
「蓼科スカイライン」は林道の愛称であるためか、ルート自体の公式な情報が多くはなく、案内板などもかなり少ない印象です。
はっきりと案内表示されているのは、この周辺ではこちらの交差点だけのようでした。
貞祥寺へと続く参道を行くと、右手の遥か彼方に北アルプスの山並みが見えていて、見晴らしがよい地域であることを改めて感じます。
洞源山「貞祥寺」の前を右方向へ曲がると、「蓼科スカイライン」が始まります。
しばらくは、樹林に囲まれた蓼科山麓のなだらかな坂道を登っていきます。
途中の民家の庭にこんな建物があり、思わず車を止めて見てしまいました。
この周辺には宇宙関連の施設がいくつかあるため、旧臼田町では「星の町」をキャッチフレーズにしていたようですが、住民の方も宇宙っぽい造りにして楽しんでいるのかもしれません。
沿道の木々は、美しく色づき始めていました。
春日温泉方面への道との交差点を過ぎると、道は傾斜を増し、山道になってきます。
周囲の樹木が伐採された場所に出ると、一気に展望が開けます。
長野県北部の山々を、ほぼすべて見渡すことができる絶景スポットです。
パラボラアンテナも見えてきました。
再び色づいた木々の間を登っていきます。道は広く快適なドライブです。わずかでしたが、自転車で走る人も見かけました。
かつての料金所の跡でしょうか、道沿いの駐車スペースにあった案内図は、表示が薄れ、半分木々に覆われていました。
標高はすでに1500mを超えていますが、快適な道が続きます。
そして樹林が途切れると、突然大きなパラボラアンテナが姿を現しました。
JAXA 美笹深宇宙探査用地上局
「JAXA 美笹深宇宙探査用地上局」は、蓼科山麓の平坦な尾根上にあり、大きなパラボラアンテナが設置されています。
施設には小さな管理棟が付属していますが、ほぼ巨大なアンテナのみです。
近くに専用駐車場があり、6台分の枠がありましたが、それ以上に広いです。施設の説明板もありました。しかしトイレや自販機などは何もないシンプルな駐車スペースです。
周囲の展望は素晴らしく、北アルプスの山々が一望のもとです。
駐車場の脇にある林道の入口に、「ゆるぎ石」という案内板があったので行ってみました。
20mほど進むと、雑木の間に傾いた小さな看板があり、ここを入ったところのようです。
藪の間の道を登ると、草原を背景にひときわ大きな岩がぽつんとあり、その前に「ゆるぎ石」という小さな看板が立っていました。
ちょうどその時、数名のライダーたちが林道を走って行きましたが、目立たない看板なので、気づかずに奥まで行ってしまったのかもしれません。
周囲には何もなく、ゆるぎ石の説明などもないので、どういう謂われがあるのかはわかりませんでしたが、これから周辺の開発が進んで、観光スポットとして整備されていくのかもしれません。
蓼科仙境都市
JAXA の地上局を過ぎると、道は再び樹林の間に入りますが、ガードレールの付いた2車線の道が続いています。
有料道路だったためか、とても整えられた道路という印象です。
ところどころで途切れる樹林の間からは、遙か彼方まで続く山並みの景色が見られます。
紅葉の道を進むと「林道鹿曲川線」への分岐があり、「通行止め」の表示が出ていました。
林道鹿曲川線は長く通行止めになっていて、道は鬱蒼とした笹藪に覆われています。もう再開することはないのではないかと思わせる佇まいでした。
この辺りの沿道には、街中のようにずっと電柱が立っていたのですが、周辺にたくさんの建物があらわれ、別荘地の中に入っていきます。
閉鎖されていますが、ガソリンスタンドもありました。
この辺りには「蓼科仙境都市」という看板が随所に掲げられているのですが、かつては高原のリゾートとして開発が進められていた場所のようでした。
標高は1,800mもあり、景観も素晴らしく、まさに高原に築かれた仙境都市だったのかもしれません。
立派な外観の建物が今も数多く残されていますが、ほとんどが閉鎖された廃墟で、賑やかだったであろうバブル期の様子を偲ばせます。
別荘地を過ぎたところに、「林道大河原峠線」入口の看板がありましたが、入口は鎖で閉鎖され、一般の通行は禁止です。この道は「双子山」の中腹を通って、「双子池」方面へ続いています。
やがて前方に白い建物が見えてきて、「大河原峠」に到着します。
白い建物は公衆トイレで、その前に「林道唐沢線終点」と「林道大河原線終点」の表示板が立っています。
大河原峠
「大河原峠」からは、北に浅間山などの山々の景色が広がり、背後には「蓼科山」がなだらかな姿を見せています。
平日の午後ですが、登山者のものと思われる車がけっこうたくさん駐車していました。
駐車場はそれほど広くはないので、混雑期には駐められない場合があるかもしれません。
蓼科山や北八ヶ岳方面への登山口として、多くの登山者もやってくる場所です。
「大河原ヒュッテ」の前にある大きな土管?を覗いてみると、登山者カードの提出箱が置かれていました。
峠から女神湖方面へ下り始めると、さらに展望が広がります。
峠からは隠れて見えなかった東側の山々が姿をあらわし、荒船山まで見ることができるようになります。
この辺りは急な斜面に沿った道で、「落石注意」の看板が出ています。
実際、路上にはけっこうな数の石が転がっていました。
兜巾の岩
下り始めて間もなく、頂上に祠のある岩峰が見えてきました。
麓に「兜巾(トキン)の岩」という看板があり、駐車できるスペースもあったので登ってみました。
案内表示などはまったくありませんが、踏み跡をたどって登っていくと、頂上の祠が見えてきます。
こちらもなかなかの絶景スポットで、北アルプスがほぼ全山見渡せます。
女神湖
下っていくと、女神湖方面への分岐があらわれ、左の「林道夢の平線」方向へ進みます。(右は林道唐沢線)
二車線の広く快適な道です。
途中で駐車スペースがあらわれると「蓼科神社奥宮一ノ鳥居」が立っていました。こちらは「蓼科山七合目登山口」になります。
そのすぐ下には「蓼科山七合目駐車場」があり、登山者はここに車を駐めて登山に向かいます。鳥居の近くにはトイレもあります。
さらに下ると「御泉水自然園」の広い駐車場を通り過ぎ、やがて眼下に女神湖が見えるようになります。
左側にスキー場が見えてくると間もなく「蓼科牧場」の信号があり、ここを右折するとまもなく「女神湖」の入口があらわれ、「蓼科スカイライン」は終了です。
蓼科スカイラインは、2000mを超える山岳ルートとは思えないような整備された道で、景観も素晴らしく快適なドライブが楽しめました。
蓼科第二牧場・長門牧場
女神湖からは立科町方面へ下り、途中で蓼科第二牧場に面した「朝日の丘公園」に立ち寄りました。
高原に広がる牧場の景色は、本当に心和む風景です。
もう一カ所、「長門牧場」にも立ち寄りました。
牧場の向こうに「美ヶ原」が広がり、王ヶ頭のアンテナ群もはっきりと見えています。
今回は、女神湖から立科町方面へ下り、蓼科第二牧場、長門牧場を訪ねましたが、ビーナスラインの要所である「白樺湖」までは約6km、10分ほどの距離なので、ビーナスラインへ繋いで走るのもよいと思います。