戸隠神社奥社は、戸隠山の麓の深い森の奥にあります。
奥社へは、2kmほどある参道を徒歩で行くことになるのですが、戸隠に来たなら、戸隠信仰の原点とも言うべきこの地を、ぜひ訪れたいものです。
今回は前回の続きで、戸隠神社五社巡りの後半、戸隠奥社、九頭龍社参拝の様子を紹介します。
戸隠山の麓へ
戸隠神社は「戸隠山」をご神体としており、この山の麓にある「戸隠奥社」「九頭龍社」は、戸隠信仰の発祥の地でもあります。
奥社、九頭龍社への参道は、車両の入れない歩道で、これまでの三社と違い、長い距離を歩いて行く必要があります。
参道入口から奥社まではおよそ2kmあり、駐車場から往復するには、一般的に1時間半程度の時間が必要です。
そのため、時間の制約がある場合には参拝が難しくなるので、訪れる場合には余裕のある日程を組みたいものです。
参道の美しい杉並木は、様々なメディアで紹介されていて有名ですし、パワースポットとしても話題なので、ここは2時間程度確保して、ゆっくりと森林浴をしながら訪れたい場所です。
駐車場
参道入口の周辺には、機械式の舗装されたものと、誘導員がいるダートのものの2つの駐車場がありますが、基本的にすべて有料で、近くには無料の駐車場はありません。
機械式の駐車場は、3時間まで600円、追加1時間毎100円、1日最大1000円となっており、一方ダートの方は、料金は1回600円ですが、営業は8:00~16:00となっています。
奥社往復には3時間あれば十分だと思うので、どちらでもよいと思いますが、駐車時間が3時間以上になる場合はダート、駐車時間が16:00を過ぎてしまいそうな場合は機械式に駐車するのがよいということになります。
少し離れた所にも料金400円のダート駐車場がありますが、こちらは混雑時の臨時駐車場で、混んでいないときは閉鎖されていて利用できません。
※ 料金等は、すべて2022年10月時点のものです。
参道入口周辺
駐車場から、直接大鳥居へ向かう道があります。
道端に水道と水盤が置かれていて、靴の汚れを落とせるようになっています。天候の悪い日に訪れた人には、ありがたい配慮だと思います。
いったん車道に出てから、参道入口へ向かいます。
駐車場を出たところにトイレがあります。トイレは参道の途中にもあります。
参道入口のすぐ脇には、「奥社の茶屋」があります。こちらは近年できた新しい店ですが、戸隠神社直営店で、建物は隈研吾氏の設計だそうです。
参道入口の向かい側にも、ダートの駐車場があります。
その隣には、「忍法資料館(忍術からくり屋敷)」や「戸隠民族館」があります。
奥社参道
車道から坂道を下っていくと、蕎麦店「奥社前なおすけ」があり、その向こうに「奥社大鳥居」が見えてきます。
ここから長い参道が始まります。このあたりは遊歩道ですが、後半はしっかり山道になるので、足回りの準備はしっかりとしておきましょう。
なお、大鳥居から先へは、ペットは入れません。
木々に覆われた参道を、木漏れ日の中を歩いて行きます。
道は平坦ですが、進んで行くと少しずつ細くなっていきます。
両側に杉の木が立ち並ぶようになってくると、「随神門」が見えてきます。
大鳥居から随神門までは、およそ20分です。
随神門
「随神門」は江戸期の1710年に建立された、戸隠神社で最も古い建造物です。
かつて寺院であった時代には仁王門だったものですが、現在は随神像が安置されています。
茅葺き屋根は草で覆われていて、森の中に建つ朱塗りの門は独特の佇まいです。
随神門のところで、「ささやきの小径」という戸隠森林植物園から戸隠キャンプ場へ続くハイキングコースが横切っていきますが、こちらには「熊出没注意」の看板が出ていました。
随神門を過ぎると、ポスターなどでもよく紹介されている、有名な「奥社参道杉並木」が始まります。
奥社参道杉並木
随神門から先は見渡す限りの杉並木になり、杉の巨木の間を歩いて行きます。
この周辺には、寺院の時代には院坊が建ち並んでいたそうですが、今は森に覆われ、かつての姿を偲ぶものはありません。
参道の周辺には歴史的な遺物も残されているようですが、参道から一歩脇に入ると周囲は鬱蒼とした森が広がっていて、入っていくのをためらってしまいます。
杉並木の道を進むと、随神門と奥社の中間あたりにトイレがあり、ここが奥社までの最後のトイレになります。
トイレを過ぎると道はさらに細くなり、ゆるやかに右にカーブしながら登り坂になっていきます。
路面は車両通行のためにコンクリートで固められていて、さらに傾斜が増してきます。
コンクリート部分が終わると、道は石の階段になり、左側に「飯縄社」が見えてきます。ここまで来れば、奥社まではあと少しです。
このあたりに来ると、間近に聳える戸隠山の峰々がようやく姿を現し、木々の間から垣間見えるようになります。
左側に石仏を見ながら急な階段を進むと、前方に社務所が見えてきて、最後の登りになります。
戸隠山奥社登山口を左に見て、その先の階段を上ると、戸隠神社「奥社」に到着します。随神門からは20分ほどです。
戸隠奥社と九頭龍社
手水舎の前から狛犬の間の階段を上っていくと、まず左側に「九頭龍社」があらわれます。
ここからさらに右へ階段を上ったところに「戸隠神社奥社」が鎮座しています。
戸隠山の山懐にある奥社を訪ねると、いにしえの人々の信仰が自然への崇拝と結びついていたことを改めて感じます。
奥社の社殿は大変頑丈な造りになっていますが、過去に雪崩によって倒壊した経験から、雪への備えとしてのことと思われます。なお、社殿内の撮影は禁止です。
奥社と並んで鎮座している「九頭龍社」は、この地の信仰の始まりとされる神社で、水の神として祀られています。
雲が湧き清水が流れる深山の麓に、こうして水の神が祀られていることが何とも自然に感じられ、訪れた人は誰もが手を合わせたことと思います。
こちらも頑丈な造りの社務所では、奥社、九頭龍社それぞれの御朱印や御守を授かることができます。
帰路
奥社からの下り始めは、けっこう急な下り坂に感じます。奥社周辺は登山道のような道なので、足元が濡れている時などは注意して足を運びましょう。
トイレを過ぎると平坦になり、再び杉並木の散策を楽しみながら戻っていきます。
健脚の方なら1時間、一般的には1時間半ほどで往復が可能ですが、2時間程度は確保して、写真を撮ったりしながらゆっくり歩きたい道です。
関連情報
ハイキング
奥社を含む周辺には自然散策路が広がっており、森林浴や野鳥の観察など、ハイキングの一環として訪れるのもよいコースです。
しかし、この周辺はクマの生息域であり、遭遇する心配があるので、参道を離れて森に入る場合にはクマ対策が必須です。
登山
奥社手前に左方向へ入っていくと、戸隠山の「八方睨み」への登山道入口があります。
しかし、戸隠山は全体が岩山で危険な箇所も多いので、ハイキングの延長では登れません。
八方睨みから一不動までの稜線を日帰りで一廻りしてこれますが、内容的にはけっこう上級者向けなので、十分な岩場の経験がある人以外には登山はおすすめしません。
戸隠山はかつては修験道の道場で、断崖絶壁を歩き回り修行を行っていた跡が至る所に残っています。これらは大変興味深いので、「百間長屋」周辺までなら散策してみるのも面白いかもしれません。