いわゆる「戸隠神社」は、ひとつの神社ではなく、いくつかの神社の総称です。
戸隠周辺にはいくつもの神社が祀られていて、戸隠山の景観と相まって一大宗教地域といった様相を呈しており、古くから修験道の道場として栄えていました。
近年はパワースポットとしても注目されるようになり、年代を問わず多くの人々が参拝に訪れています。
今回は、そんな戸隠にある五つの神社「戸隠五社」を巡ってみました。
この記事では、五社巡りの前半、「宝光社」「火之御子社」「中社」の様子を紹介します。(「奥社」「九頭龍社」については、次の記事をご覧ください)
戸隠五社とは
いわゆる戸隠神社は、「奥社」「中社」「宝光社」の総称ですが、その他にも歴史ある「九頭龍社」と「火之御子社」を加えて、「戸隠五社」と呼ばれています。
それぞれ由緒ある神社ですが、中社や宝光社などは江戸時代まで寺院であったりして、その歴史は様々です。
戸隠信仰の最も古い起源は豊かな水源地としての「水」に関わるものだったと思われますが、戸隠山の威容が「天岩戸伝説」と結びつき、天手力雄命が投げ放った岩戸が「戸隠山」であるとされ、奥社の祭神は「天手力雄命」です。
平安時代には神仏習合により「顕光寺」となりますが、修験道の霊場として全国にその名が広く知れ渡るようになります。
そして、明治を迎えて再び神社になるのですが、今も変わることなく信仰を集めています。
宝光社
戸隠を訪れて、五社の中で最初にあらわれるのが「宝光社」です。
宝光社地区に入ると、真っ直ぐな参道が宝光社へと続いていて、沿道には宿坊の時代から続くと思われる旅館が並んでいます。
参道階段の前を右に曲がると、すぐに左側に駐車場への入口があります。
この駐車場は無料で、15台ほど駐められます。こちらがいっぱいの時は、少し歩きますが鏡池へ向かう道の途中にも駐車場があります。(1回300円)
ここからの参道は、長い階段になっています。
大鳥居を入ると、杉林の中に見上げるような長い階段が続いています。
階段の先に、少しだけ社殿が見えます。
長い階段を迂回する「女坂」という舗装された道も通っています。
階段を登っていくと、大きな社殿が見えてきます。
江戸末期建立の社殿の造りは、江戸時代までは「宝光院」という寺院であったため、神社と言うよりお寺という感じです。一部で工事が行われているようで、足場が組まれていました。
本殿の隣にある「神輿庫」には、きらびやかな神輿が収められていて、ガラス窓から見ることができます。
参拝者は中社や奥社と比べると少なく、落ち着いた雰囲気が漂っていました。
深い森の中にある宝光社の伽藍には、静かな時間が流れていました。
火之御子社
宝光社から中社へ向かう途中の道沿いに、「火之御子社」があります。
こちらの駐車場は、道沿いに3台分ほどあるだけなので、混雑期には駐められない場合があるかも知れません。
平安時代の歌人 西行ゆかりの桜などもある由緒ある神社ですが、火之御子社周辺には観光施設はなく、階段を上がった広場の奥に、社殿がひっそりと佇んでいました。
こちらは神仏習合の時代にも神社としてあり続けたそうで、時代の流れに翻弄されることなく、この地で時を重ねてきたことを物語っているようです。
火之御子社には社務所などはないので、御朱印等は宝光社か中社で授かることができるそうです。
中社
火之御子社を出発し、急なヘアピンカーブを登ると、中社地区の集落に入ります。
真っ直ぐに続く参道を進んで行くと、その先に「大鳥居」が見えてきます。
こちらが中社の正面になり、周辺にはたくさんの人が歩いていて、五社の中で最も賑わっています。
大鳥居近くの、戸隠観光情報センターの裏にも駐車場がありますが、こちらは有料(1回600円)なので、中社の裏にある無料駐車場へ向かいます。
道沿いにある「西参道入口駐車場」の上にも広い「西駐車場」があるので、よほどの混雑日でなければ、こちらに駐車できると思います。
神社内へは、「西参道」から入っていきます。
すぐに本殿の前に出るのですが、いったん大鳥居まで下って、正面から入り直してみます。
こちらの大鳥居は、2020年に建て替えられたばかりだそうで、まだ木肌の色を残しています。
大鳥居周辺には蕎麦の名店が軒を連ねていますが、この日も入店待ちの人々の長い行列ができていました。
有名店で蕎麦を食べる場合は、かなりの待ち時間が必要です。
境内では、マスク着用です。(2022年9月の状況です)
大鳥居をくぐり参道の階段を上ると、すぐ脇に「戸隠の三本杉」という杉の巨木が立っています。
「推定樹齢約800年」というこの木は、離れて見ると木が3本に分かれているので、これが「三本杉」なのかと思ってしまいますが、これは3本のうちの1本で、他の2本は大鳥居前広場の向こう側の左右に立っている木だそうです。
さらに階段を上ると、「中社本殿」の前に出ます。こちらにも「御神木」という巨木が立っています。
中社はたくさんの参拝者で賑わっており、参拝の順番を待つ列が伸びていました。
本殿の右側には「さざれ滝」という小さな滝があり、こちらにも多くの人が訪れて写真を撮っていました。
西参道を下って行くと、ちょうど鳥居の上に、戸隠西岳の荒々しい峰々が姿を見せていました。
この後、あの山々の麓にある「戸隠奥社」へ向かいます。(その2に続きます)
関連情報
駐車場
3つの神社には、それぞれ無料の駐車場があります。
宝光社は、参道脇の駐車場が満車の場合があります。その場合でも少し歩くことになりますが、別の駐車場(ダート)に駐車はできると思います。
火之御子社は台数が少ないですが、長く留まる人はいないと思われるので、満車であっても、少し時間を空ければ駐車は可能だと思います。
中社には、広い西駐車場があり出入りの車も多いので、よほどの混雑がない限り駐車できると思います。駐車できないような日は、シャトルバスが運行されるような特別な日だと思うので、その場合には戸隠スキー場に駐めて、バスを利用するのがよいです。
御朱印、御守
「御朱印」は五社すべてで授かることができますが、火之御子社については無人のため、中社か宝光社の授与所で申し出てください。
「御守」も、各神社にそれぞれの祭神にまつわる独自の御守がありますが、火之御子社については御朱印と同様です。
蕎麦
戸隠と言えば、やはり「蕎麦」を食べたい、となりますが、予約を取らない店も多く、名の知れた名店は数時間待ちが当たり前になっているので、ここで蕎麦を食べる場合には、それを一番の目的にして行かないと他の日程が厳しくなります。
ドライブ途中で寄るなら、お昼の時間帯を外して、神社周辺から少し離れた店を探すのが無難です。美味しい店はたくさんあるので、自分で探してみるのも一興です。蕎麦通を自認する人でなければ、何処もそれなりに満足できると思います。
蕎麦が無理なら「蕎麦ソフトクリーム」というのもあります。扱っている蕎麦店がいくつかあるので、検索すれば見つかります。
紅葉の時期は、戸隠周辺は大変混雑するので、平日に訪れることをおすすめします。