アルプス登山に初挑戦、という方に人気の高い「燕岳」。
整備された登山道と山小屋があり、白く美しい山頂の周辺にはコマクサが咲き乱れていて、山頂からは北アルプスのほぼすべてを見渡すことができる魅力満載の山です。
今回は、夏真っ盛りの燕岳登山の様子を紹介します。
登山道の概要
まず初めに、「燕岳登山道」の概要をまとめておきます。
いきなり脅かすようでいけませんが、この登山道は「北アルプス三大急登」の一つとされています。
確かに前半はけっこうな急登ではありますが、急な部分がずっと続くという感じではなく緩急があるので、そこまで大変という感じではありません。
もっと急な登山道はたくさんありますし、何より道がよく整備されているので、初心者の方でもそれほどの抵抗なく登り切れると思います。
登山道の途中には、40分ほどの間隔で4つのベンチが設置されていて、これを目安にして辿っていくと「合戦小屋」に到着します。ここまでで燕山荘までの行程の約3分の2といった感じです。
合戦小屋は売店のみの営業ですが、ここで販売される甘いスイカが有名で、多くの登山者で賑わうオアシスになっています。
合戦小屋からは20分ほどで「合戦尾根の頭」に出て、燕岳や燕山荘が間近に見えてきます。
ここからは、傾斜が緩やかになった尾根上の道を、ほぼ真っ直ぐに燕山荘へ向かって登って行きます。
稜線に建つ「燕山荘」に着くと、その向こうには北アルプスの大展望が広がっています。
中房から燕山荘まで、休憩を取りながら一般的なスピードで登って、5時間程度の行程かと思います。
中房駐車場へ
今回も自家用車で、登山口の「中房温泉」へ向かいます。
8月上旬の平日、駐車場に着いたのは朝4時頃でした。
※ 駐車場の様子については、下記の記事をご覧ください。
まだ暗い中を「第一駐車場」へ入ると、すでに満車で一台の空きもありません。
川を挟んだ向かいにある「第二駐車場」へ行くと、まだそれなりに空きがあり、とりあえず車を駐めて夜明けを待ちます。
待っている間にも、何台もの車がやってきたので、夜明け頃にはここも一杯になるだろうと思われました。
車内に灯りの見える車もチラホラあり、これから登るという人もけっこういるようです。
登山スタート
辺りが明るくなった頃、登山口へ向かうと、周辺には準備をするたくさんの登山者が集まっていました。
登り始めると、すぐに急な坂道が始まりますが、階段などが整備された部分も多く登りやすい道だと思います。
しばらくは雑木林の中の急な坂道が続きます。
土の道になったり、木の根の階段状になったりする道をひたすら登って行きます。
30分ほど登ると、平坦な広場に「第一ベンチ」が見えてきます。
第一ベンチ
最初の休憩地「第一ベンチ」。
この後も、だいたい30分~40分ほど歩くとベンチがあらわれるので、これを目標に頑張るという感じで登って行きます。
第一ベンチから少し下った所には「水場」もあります。
第一ベンチの後も、同じような雑木林の急坂が続きます。
合戦小屋へ続く「荷揚げケーブル」の鉄塔があらわれると、間もなく「第二ベンチ」です。
第二ベンチ
「第二ベンチ」を過ぎると、しばらくは傾斜の緩やかな尾根上の道を進みますが、再び急坂になってきます。
高度が上がり、樹林の間から周辺の山々も見えるようになってきます。
第三ベンチ
坂の途中の小さな広場に「第三ベンチ」があります。
ひたすら登る坂道は、まだまだ続きます。
登山道の周辺にも、花崗岩の白い岩が見えるようになってきます。
富士見ベンチ
「富士見ベンチ」では、その名の通り、実際に富士山を望むことができます。
天気が良ければ、この登山道からは富士山がよく見えます。
標高が上がり、「大天井岳」の姿もよく見えるようになります。
沿道に「合戦小屋まであと10分」の看板が出てくると、少し元気が出ます。
賑やかな気配がしてくると、間もなく「合戦小屋」があらわれます。
合戦小屋
ここまでずっと樹林の中でしたが、「合戦小屋」は尾根上の広場にあり、久しぶりに頭上に空が開けます。
小屋の向こうには荷揚げ用のケーブル基地も見えています。
合戦小屋では食事やお土産などの販売をしており、多くの登山者が休憩していました。
こちらの名物は「スイカ」で、多くの登山者が買い求めてかぶりついていました。(スプーンは頼めばつけてくれます)
このスイカは本当に甘くておいしいです。
合戦小屋を過ぎると周囲が開けてきて、展望が広がる場所が出てきます。
稜線の向こうから、「槍ヶ岳」の穂先も見えるようになります。
合戦尾根の頭
尾根上に出たところが「合戦尾根の頭」で、こちらもベンチのある休憩場所になっています。
ここからは尾根上の道を、ほぼ真っ直ぐに燕山荘に向かって登って行きます。
傾斜もこれまでよりは緩やかになり、展望も開け、沿道には花の姿も見られるようになる気持ちの良い道です。
振り返れば、すでに「有明山」を見下ろす高さになっています。
稜線の向こうには槍ヶ岳などの姿も見えます。
途中に鎖場もありますが、特に危険なところはありません。
最後のベンチを過ぎると、燕山荘は目前です。
燕山荘
稜線に出ると、その向こうにはアルプスの大展望が待っていました。
瀟洒な建物の「燕山荘」前の広場では、たくさんの登山者が思い思いに休憩をとったりして、山上の時間を過ごしていました。
すでにほとんどのお客さんが出発した燕山荘では、天気の良い午前中、ヘリによる荷揚げが盛んに行われていました。
ひと休みした後、燕岳山頂を目指します。
コマクサの道を山頂へ
ここからは、稜線上の緩やかな白い花崗岩の道で、沿道にはたくさんのコマクサが咲いています。
イルカ岩
燕岳の周辺には、風化した花崗岩が形作る奇岩がたくさんあり、「イルカ岩」はその代表です。
偶然とは言え、見事な造形です。
約30分の雲の上の散策を楽しみ、燕岳に登頂しました。
山頂は、数人が登るといっぱいになる狭い岩のピークです。
青い空、白い岩峰、ハイマツなどの緑が織り成す美しい山上の散策路でした。
関連情報
周辺の宿泊施設
燕岳は日帰り登山が可能なので、天候の良い日を選んで登るのがおすすめだと思いますが、泊を伴う登山の情報も簡単にまとめておきます。
日帰り登山の一番のメリットは、天候の良い日を選んで出かけやすいことですが、事前に宿泊予約をする場合は、当日の天候は運次第ということになってしまうのは仕方のないことです。
まず、入山口付近には「中房温泉」と「有明荘」の2軒の温泉宿があります。
そして山の上には、稜線上に「燕山荘」があります。
燕山荘は山小屋ですが、現在は完全予約制のため、定員一杯で宿泊できない場合があります。夏のシーズン中の週末はほぼ満員なので、宿泊したい場合には早めの予約が必要です。
なお、「体力に自信のない方」や「アルプスに初めて登るという方」には、予約をして燕山荘に宿泊することをおすすめします。
体力的な面と時間の面で余裕が出るので、山での時間をゆっくりと楽しめると思います。
また、山の上で朝を迎えると、夏の時期は絶景に出会える確率も上がります。
料金は大人1泊15,000円。予約はHPから、支払いは宿泊当日ですが現金のみとなります。(山の上ではいまだに現金の出番が多いです)
テント泊
テント場は「燕山荘」と「合戦小屋」にそれぞれあります。
燕山荘はテント泊の場合も予約制で、こちらも夏の時期は空きが少ない状況なので、早めの予約が必要です。
定数は40張りで、料金は一人1泊2,000円です。
合戦小屋にもテント場があり、こちらは予約なしで泊まれますが、定数は3張りだけなので、空き状況を把握するのが難しく利用しにくいです。
※掲載されている情報は、すべて2023年8月時点のものです。