近頃のアウトドアブームの中、「焚き火」が人気のようで、NHKでも静かに焚き火の映像を流す番組をやる時代になりました。
「焚き火をやってみたい・・・」そう思う人の気持ちはよくわかります。焚き火はなかなかいいものです。
でも本当のところ、「焚き火」ってどうなのか・・・
今回は、焚き火未経験の人が、初めて焚き火をする時に気になるであろうことについて書いていきたいと思います。
焚き火の魅力

焚き火を囲んで語り合う・・・そんな焚き火はよいものです。焚き火の一番の醍醐味かもしれません。
また、独りの焚き火になると、これはこれで静かに火を燃やすことそのものを楽しむといった感じになります。
「癒やし」について語られることが多いですが、それは後から付いてきたもので、実は火遊びをする少年のように「燃やすことが楽しい」のであって、眺めていたらついでに癒やされた、というのが本当のところのような気もします。
しかし、そんな素敵なことばかりではない、というのも事実です。
スマホやテレビの画面を見ているだけではわからない、焚き火に伴う様々な面倒なこともあるのです・・・。
焚き火の真実その1 場所

焚き火は簡単にはできません。それは焚き火のできる「場所」が限られているからです。
火を燃やすという行為は危険が伴うため、私たちの生活圏のほとんどの場所で禁止になっています。
市街地では
個人の家の庭であっても、煙、匂い、火の粉・・・これらを周囲にまき散らすと、苦情が来たり通報されたりする場合があるので注意が必要です。
公園、河原、山の中・・・ここなら火を燃やしても迷惑にはならないだろうと思う場所も、そこは誰かの所有地だったり管理者がいたりするわけで、勝手に火を燃やすことは基本的にはできません。
許可を得たとしても、本来そういうことをする場所でない所で火を燃やす場合には、厳密には消防署に届け出を出す必要があります。
キャンプ場では
実際に焚き火をしたいのなら、キャンプ場へ行くのが最も現実的な選択肢になります。
しかし、キャンプ場ならどこでもOKというわけではなく、焚き火NGのところもあるので確認する必要があります。
焚き火は、いわゆる飯ごう炊さんをやるような専用のかまどで火を燃やすわけではないので、山火事の危険があったり環境を損なう場合があったりします。キャンプ場ならどこでもできるわけではありません。
最近キャンプ用に「個人で山を買う」という話を聞きますが、そうしたくなるのもわかる気がします。野外で自由に過ごす、というのも、実はけっこう面倒な制約が多いというのが、現在の社会の現実です。
焚き火の真実その2 匂い

スマホやテレビの画面からは匂いはしてきません。
グルメ番組を見ていると、映像は素晴らしくおいしそうですが、香りについてはわからないものです。
「記憶は香りと結びつきやすい」という話を聞いたことがありますが、瑛人の「香水」の歌詞のように、匂いが記憶を呼び覚ますこともあるのでしょう。
しかし、それが心地よい匂いならよいのですが・・・。
焚き火の匂いはどうなのか
実際焚き火をすると、焦げ臭い匂いがかなりします。風下で煙を浴びたりすると、体中にその匂いが染みつきます。
そしてそれは、簡単には落ちません。体は風呂に入るまで、衣類は洗濯するまで匂い続けます。
場合によっては、風呂に入って体中を洗っても匂うことがあります。
おそらく、耳の穴の中とか、どこか洗い切れていないところに染みついているのだと思います。
それくらい、煙による匂いの染みつき方は強烈です。
焚き火の後、テントで寝るとなると、終始この匂いの中で過ごすことになり、テントの中も匂いだらけになります。
「この匂いがよい」という人以外はなかなか大変なので、匂いが苦手な人は、焚き火の後、入浴をしたりシャワーを使用したりできる環境で行った方がよいと思います。
焚き火の真実その3 火の粉

焚き火からは「火の粉」が飛びます。
舞い上がってしばらくすると消えてしまいますが、まれに消えないで漂っていくことがあり、これが燃えやすい物に付着すると火事の原因になります。
滅多にないこととは言え、常に危険がつきまとうのが焚き火です。
衣類にも注意
また、衣類に付着することにも注意が必要です。
人工繊維の服だとすぐに穴が開きます。寒いからといってダウンジャケットなどを着ていると、火の粉で穴だらけになったりします。
本格的に焚き火をやる時は、燃えにくい素材や綿製品の上着を着ることが一般的です。
綿のジャケットなどは、登山やハイキングで使うことはまずないのですが、燃えにくいので火を扱う場合は重宝します。ワークマン等で安価で売られているのですぐ手に入ります。
後始末

焚き火を地面の上でやると、地面も焼いてしまうのでかなりの焼け跡が残ります。芝生のような場所では大きなダメージを受けます。そのため、直火禁止のキャンプ場も少なくありません。
こういう所で火を燃やすためには「焚き火台」が必要になります。また灰が散らかるのを防ぐために「焚き火シート」を敷くことも必要です。
このように、キャンプ場でも焚き火によるダメージを残さないことが求められています。
灰と燃えかす
燃えかすの処理もしっかり行う必要があります。
たいていのキャンプ場では、場所を定めてそちらに廃棄するように案内されていますが、そうでない場合は個人でしっかりと後始末をします。
昔、前日に誰かが行ったであろうキャンプファイヤーの跡の灰の上に、そのまま木材を組んでおいたら、いつの間にか火が付いて燃えてしまったという経験があります。
見た目では消えているようでも、灰の中に火種が残っていることがあるのです。
ですから、灰や焼け残った木は、必ず水をかけて完全に消火するか、土に埋めてしまう必要があります。
火を甘く見ることはできません。
すす落とし
焚き火を使って料理をすると、鍋や鉄板の下には「すす」が付きます。
たわしなどで擦って洗えば落とせますが、知らないうちにあちこちに付いていることがあり、衣類などに付着すると、とるのに苦労することがあります。
焚き火道具も、それを収納する箱や袋も、すすや灰と無関係ではいられません。こうした汚れは取り切れないので、使い込んだ味わいと捉えていくしかありません。
おわりに

キャンプ飯には、灰が入っていて当たり前です。焚き火もそういう野性味あふれる体験のひとつと捉えるべきもので、けっしておしゃれなものではありません。
また、夏には暑さや虫との戦いもあったりして、いろいろと大変です。
しかし、それらを差し引いても、焚き火には大きな魅力があります。
密を避けることが求められる昨今、家に閉じこもっている事に飽きてしまった人たちには、「ソロ焚き火」はおすすめかもしれません。
この記事を読んで「それでもやってみたい」という人に向けて、近いうちに「低予算でのお試し実践」について紹介してみたいと思います。


