長野と上田の間の千曲川沿岸には、県道である自転車専用道が通っています。
昨年の秋、道路状況や景観などを確かめるために、この道を上流から下流に向けて走ってみました。
今回は、千曲川に沿って走るサイクリングロードのレポートです。
千曲川に沿って走る自転車専用道
本格的なサイクリングではなくても、「のんびり走りたい派」の人には、車の往来を気にしなくてよい「自転車専用道」はありがたい存在で、私もこうした道を見つけては走りに行ったりしています。
今回走ったこのルートは、その存在は以前から知っていましたが、基本的に景観重視でサイクリングルートも選んでいるので、山間の川沿いのこのルートは展望が期待できないのでは、と思い、これまで走りに行く候補には入れていませんでした。
しかし、県道であるこのルートの整備状況や景観を一度確かめてみたいという思いもあり、昨年の秋に走ってみました。
長野県道462号上田千曲長野自転車道線
今回走った「長野県道462号上田千曲長野自転車道線」は、上田市中之条(古舟橋)を起点とし、長野市篠ノ井塩崎(篠ノ井橋)を終点とする、全長23.2kmの自転車専用道です。
詳細は後ほどお知らせしますが、自転車専用道としての状況は場所によって大きな差がありました。
整備された気持ちのよい走りができる部分も多いですが、専用道が途切れている部分もあり、全区間快適に走れるというわけでもありません。
また、この県道には特に愛称というものはないようですが、一部に「千曲川サイクリングロード」という表記があり、こういう呼び方もされているようなので、この記事では分かりやすくこの名称を使わせてもらっています。
概ね川沿いを走るので、ほとんどアップダウンがなく、体力的な負担は少ないルートです。
景観的には、千曲川の両岸に山地が迫るため、展望が開けるのは長野盆地に出てからになりますが、所々で見える上信国境の山々や河岸に聳える奇岩など、それなりに見所もありました。
走行中は、地元の方と思われるサイクリストにけっこう出会いましたが、観光的なルートではないので、地元のトレーニングコースといった雰囲気で、ここを目的にして遠方から走りに来る方はほとんどいないという感じでした。
上田市~坂城町
上田市からスタート
今回のスタート地点は、サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館)の駐車場です。こちらに車を駐車して、自転車を組み立て走り出します。
まず、上田橋を通って対岸に渡り、自転車道の「起点」を目指します。
上流側に赤い鉄橋が見えます。この上田電鉄の千曲川橋梁は、2019年の台風19号災害で崩落しニュースで盛んに報道されましたが、現在は復旧しています。
堤防上の道を、起点である「古舟橋」に向かって下っていきます。
この辺りからは、北に烏帽子岳、南に独鈷山などがよく見えます。
「古舟橋」から自転車専用道がスタートします。
「起点」としての特別な表示はなく、堤防上の車道に並行した一般的な「自転車歩行者専用道路」として設置されていました。
ところどころに専用道の表示がありましたが、自転車専用道というよりは、堤防上の遊歩道という感じで、表示板の文字も消えかかっている所が多かったです。
この辺りの自転車道は、荒れていたり途切れたりする部分もあり、あまり整備はされていない感じでした。
自転車道が続く先にある「上田大橋」は横断ができないので、車道に入って橋の下をぐくっていきます。
上田大橋を過ぎると自転車道がなく、しばらくの間、トラックがたくさん通っているコンクリート工場脇の車道を走ります。
道が大きく曲がって、浦野川に沿って遡っていくと、県道77号線の脇に、自転車歩行者用の橋が架かっていました。
橋を渡ると、再び車道に沿った自転車道があらわれますが、ラインは消えかかっていて、ほぼ歩道といった感じでした。
しばらく走っていくと、道路の脇に巨大な岩壁が現れました。
岩鼻
ここは「岩鼻」という名勝で、長野県の天然記念物だそうです。
「岩鼻」周辺は千曲川の両岸に山地が迫った場所で、この垂直に近い断崖は、千曲川の流れが浸食してできたそうです。
岩鼻を過ぎると河岸の道は通行止めになっていて、道は「国道18号線バイパス」に向けて登っていきます。
国道に出ると広い歩道があり、しばらくここを走ります。
トンネル内も歩道が続いています。
「半過トンネル」を抜けると、歩道から分かれて、整備された自転車専用道が始まりました。
快適な自転車専用道スタート
ここからは、整備されて間もないと思われる、センターラインのある美しい道が続いています。
国道18号線に沿って走って行くと、間もなく坂城町に入ります。
坂城町~千曲市
「鼠橋」の下をくぐり、河川敷の公園を見ながら走って行くと、急に道幅が狭くなりますが、快適な道は続きます。
再び幅が広くなった道を走って行くと、向こうから軽トラが走ってきました。ちょっと驚きましたが、田舎ではありがちな話です。
しかし、ここまで自転車専用道と車道が入り交じっていたので、もしかすると、ここも自転車専用道ではないのかもしれません。
ここからの堤防上の道の途中には、いくつもの橋が架かっていて、現在地確認の目印になります。
前方に黄色い「大望橋」が見えてきました。
快適な道が続き、いくつかの橋のたもとを通って行きます。
「昭和橋」を過ぎると、間もなく千曲市に入ります。
整備されている千曲市周辺
千曲市に入ると、路面のコース表記や案内板が現れ、この辺りはサイクリングコースとしての整備が進んでいる感じでした。
前方に上山田の温泉街が見えてきました。正面の山の上には「荒砥城」も見えています。
萬葉の里スポーツエリアを過ぎると「女沢公園」があり、ここはサイクリストの休憩スポットになっています。
新しいトイレなどが工事中で、整備が進められていました。
女沢公園からは、しばらく自転車専用道はなく、堤防上の車道を走っていきます。
この辺りは温泉街が広がっていて、堤防を降りるとすぐ近くにコンビニなどもあります。
千曲市~長野市
上山田の街を通り過ぎると、「大正橋」のたもとに「佐良志奈神社」が鎮座しています。
神社を過ぎると、再び自転車専用道が始まります。
何人かのサイクリストが休んでいて、佐良志奈神社前には公衆トイレもあるので、この辺りは休憩スポットになっているようでした。
河岸の景色を見ながらの、快適な走りが続きます。
水辺の楽校
途中にあらわれる「水辺の楽校」にはトイレがあります。
こちらのトイレには案内板があり、このコースの全体像が表示されていました。
「女沢公園」にも案内板があったのですが、消えかかっていてよく見えなかったので、「ようやく全体案内図を見た」という感じでしたが、こうしたしっかりとした案内図を確認したのは、ここが最初で最後でした。
「千曲橋」周辺は広い公園になっていて、橋の下を通り抜けていきます。
終点へ
「粟佐橋」を過ぎると長野市に入り、このルートも終盤です。
前方に長野自動車道と北陸新幹線の橋が見えてきます。
長野自動車道と北陸新幹線の間は、案内板も設置されていて、車道と並行した自転車専用道がきれいに整備されていました。
北陸新幹線の下を通り、しなの鉄道の鉄橋前で踏切を越えます。
踏切を過ぎると、堤防上は自転車道のみになり、終点の「篠ノ井橋」へと続いていきます。
終点の篠ノ井橋周辺には特別な表示はなく、人の姿もなく、ひっそりと「千曲川サイクリングロード」を走り終えました。
なお、終点より先は長野市指定のサイクリングコースになっていて、川中島古戦場跡公園付近を経由して、長野市市場まで通行が可能だそうです。
ルート情報
サイクリングコースとしての整備状況ですが、坂城町~千曲市周辺は路面がよく整備されていて走りやすく、千曲市には独自の案内板も設置されていました。
しかし、千曲市以外には案内等はほとんどなく、この自転車道ではっきりとルート全体を確認できる表示は、「水辺の楽校」のトイレにあった案内板のみでした。
特に上田市内は、自転車道が分断されていて分かりにくく、未整備の部分が多かったです。
ルート上でサイクリストに出会ったのは、半過トンネル~女沢公園区間と、佐良志奈神社~千曲橋周辺のよく整備されていた部分で、それ以外の場所では、サイクリングをしている人に出会うことはまったくありませんでした。
地元の方が、サイクリングコースとして整備された部分をトレーニングとして走っている感じで、全ルートを通して走るような人は誰もいませんでした。
今回走ってみた感想としては、「思っていたよりもよい道だった」というのが正直なところで、部分的には快適な自転車道でした。
景観もそこそこ変化に富んでいて、川沿いの道を走るのは気持ちがよかったです。
今後整備が進めば、さらに魅力的なコースになる可能性があるので、興味のある方は走ってみるのもよいと思います。