緑の草原が広がる初夏の霧ヶ峰には、気持ちのよい高原のハイキングが楽しめる道がいくつもあります。
その中でも、車山と八島ヶ原湿原の間に広がるなだらかな丘を越えていくルートは、これこそ「高原のハイキング」という光景が広がる霧ヶ峰らしいルートです。
今回は、車山の北に広がる草原の道を、「蝶々深山」を目指して歩きます。
THE 高原ハイキング
車山から八島ヶ原湿原に続く道は、霧ヶ峰の大草原の中を通っていきます。
「高原のハイキング」と聞いてイメージするであろう光景に、これ以上マッチする場所はないのでは、と思うような草原の道です。
「車山」から「八島ヶ原湿原」を目指す場合、2つのルートがあります。
① 草原の真ん中を通る道
「車山乗越 → 蝶々深山 → 物見岩 → 奥霧キャンプ場跡」
② 稜線を歩く道
「車山乗越 → 南の耳 → 北の耳 → 男女倉山 → 奥霧キャンプ場跡」
ルート上にあるピークの名称などは、国土地理院の地図には掲載されていないので、ネットなどである程度の情報を得る必要がありますが、どちらも同じような眺めを満喫できる草原のルートです。
時間的には、「稜線」通しに歩く方が多少時間がかかります。
歩く向きは、八島ヶ原湿原から車山を目指して歩く方がおすすめだと思いますが、車山から八島ヶ原湿原を目指す方が、全体的には下りになるので、体力的には楽かと思います。
車山から蝶々深山へ
「車山」は、リフトを乗り継いでほとんど歩くことなく登頂できるので、山頂はたくさんの観光客で賑わっていました。
そんな山頂から、北に広がる大草原を目指して下り始めます。
車山を下る
登ってきた時とは反対側の、リフトのある斜面を下っていきます。
正面には、蓼科山と白樺湖が見渡せる眺めのよい道です。
けっこうな急斜面ですが、道は階段になっていてよく整備されています。
階段が終わると、なだらかな車道を乗越方面へ下っていきます。
途中にある標識に従って、車道から「車山乗越」方面へ入っていきます。
車山乗越
歩くこと数分で、すぐに「車山乗越」が見えてきました。
ここで、「八島ヶ原湿原」へ続く草原のルートは2つに分かれます。
直進すれば「蝶々深山」経由で、右へ進めば稜線を歩いて行くルートです。
そして乗越の向こうに、なだらかな「蝶々深山」の姿が見えてきました。
大草原の道
蝶々深山を正面に見ながら、「車山湿原」へ向けて緩やかな坂道を下っていきます。
まもなく分岐があり、左は「車山湿原」を横切って「車山肩」へ続くルートです。
そして、この分岐から「木道」が始まります。
湿原の周辺はすべて木道になっていて歩きやすいです。
見渡す限りの大草原の中を、風に吹かれながら歩いて行くと、頭の中に流れていくのはジブリアニメの「風立ちぬ」のイメージです。
気持ちのよい、木道歩きが続きます。
車山湿原の向こうには、車山肩の「ころぼっくるひゅって」が見えています。
途中で、蝶々深山から下りてきた大パーティとすれ違いました。
混んでいるという感じではないですが、歩いている人にしばしば出会うので、それなりに人気のあるルートなのだろうと思います。
「沢渡」方面への分岐を過ぎると木道は終わり、土の登山道になります。そして少しずつ傾斜が増していきます。
蝶々深山
山頂に向けて、ほぼ真っ直ぐに続く道を登っていきます。
大きな石が転がる登山道は、それほどの傾斜ではないのですが、ここまであまり急坂を登る場面がなかったのでけっこうな坂道に感じます。
稜線が近づいてくると、まもなく山頂です。
広く平らな山頂に出ると、まん中に大きな石があり、そこに山名の看板が置かれていました。
「蝶々深山」の標高は1,836m。山と言うよりは丘と言った方が似合いそうななだらかな山容です。
何とも不思議な名前の山ですが、その名の由来には諸説あるようではっきりしません。
そして国土地理院の地図にもその名はない「名もなき峰」です。
周囲は見渡す限りの緑の大草原。ここを訪れた人は、何を想うのでしょうか・・・。
しばし景色を眺めた後、来た道を引き返していきました。
今回は、車山に登り始めたのがすでに午後からだったため、この先八島ヶ原湿原まで行くと、午後の遅い時間に「車山肩」までの登りを急がなければならない・・・と思い、「蝶々深山」までの往復としました。
いつものことですが、余裕のある行程でゆっくりと楽しみたいと思っているので、無理はしません。(安全のためには大切なことです)
車山湿原
蝶々深山を下り、再び木道を登り返していきます。
湿原の周辺に花の姿は多くはなかったですが、野鳥のさえずりが響いていました。
車山肩への分岐まで戻り、車山の麓を通る木道に入って湿原を横切っていきます。
蝶々深山は、変わらずになだらかな姿を見せていました。
やがて道は「ころぼっくるひゅって」を目指して、ゆるやかな登りになります。
木道が終わると、「車山肩」までもう少しです。
坂を登り切ると、ころぼっくるひゅって前の広場に出て、車山肩へ戻ってきました。
ボルシチが有名なこちらのヒュッテは、昼を大きく過ぎた時間にもかかわらず、たくさんのお客さんで賑わっていました。
「車山肩」の周辺にもニッコウキスゲの群生地があるのですが、「富士見台」を見た後だと、花の数が少なく寂しく感じてしまいました。
蝶々深山への道は、霧ヶ峰ならではの「大草原の散歩道」でした。山歩きやハイキングが好きな方なら、一度は訪れてみることをおすすめします。
関連情報
今回は時間が足りず、限られた部分しか歩けませんでしたが、交通機関を利用すると、少ない時間でももう少し足を延ばすことが可能です。
この日は運行日ではなかったので利用できませんでしたが、路線バスを利用するという方法もあります。
路線バス
霧ヶ峰周辺のビーナスラインには「路線バス」が走っています。
最寄りの上諏訪駅から霧ヶ峰高原へ向かうバスの他に、高原の上を行き来する路線もあるので、ハイキングの後、往復する時間がない場合に路線バスを利用することができます。
しかし運行日が少ないため、利用するにはかなり条件が限られるので注意してください。
7月下旬から8月下旬までの夏休み期間中は毎日運行されますが、それ以外は土日祝日しか利用ができません。
2023年の運行日は「4⽉29⽇〜10⽉29⽇の間の⼟⽇祝⽇ 及び 7⽉29⽇〜8⽉27⽇の毎⽇」で、本数は1日5本です。
5本あれば、時間帯を選んで利用することができるので、うまく使えば余裕をもって広範囲のハイキングが楽しめると思います。
詳細は下記HPからご確認ください。
アルピコ交通 霧ヶ峰線・八島湿原線https://www.alpico.co.jp/traffic/local/suwa/kirigamine/
※ 掲載された情報は、すべて2023年7月時点のものです。